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ニューリテール企業「KK館(KKguan.com)」が10月下旬に新たにシリーズDの資金調達を行ったという。調達額は1億ドル(約109億円)で、会社自体もグループ化した。今回の資金調達のリード・インベスターは「eWTP(世界電子貿易プラットフォーム)」、コ・インベスターは「五岳資本(N5Capital)」、及び既存株主の「経緯中国(Matrix Partners China)」、「黑藻資本(Black Algae Capital」)」等も出資した。
今回の資金調達後、KKグループは評価価格が10億ドル(約1090億円)となり、中国ニューリテール業界のユニコーン企業になる。なお、当該調達金額は2019年のニューリテール業界で最大だ。
2014 年に、KKグループは、最初のブランド「KK館」で、お菓子、化粧品、パーソナルケア用品等輸入FMCG(日用消費財)のオフライン小売事業を始めた。また、サプライチェーンの面では、規格化した店舗と商品の直接仕入れの方針で、売買チャネルを構築した。KKグループの創業者兼CEOの呉悦寧氏によると、ここ最近、KK館チームは主に以下の3つのポイントに注力し、これらは今後の事業の中心でもあるという。
まず、複数ブランド展開戦略の継続的なアップグレードだ。今年5月以来、KKグループは「KKv」と「THE COLORIST」の2つのブランドを打ち出し、それぞれインテリア・雑貨とメークアップ用品を販売している。次に、海外サプライチェーンと仕入れチャネルの整備だ。最後に、オンライン店舗はSNS型ECを主眼とするが、全体的に重点をオフラインに置くという方針を続ける。オンライン店舗の目的はオフライン店舗のためにユーザーを集めることにある。
これまでKKグループといえば「ニューリテール」だった。呉氏は、ニューリテールは従来の小売業と大差がないが、より細やかな管理と運営が求められ、従来の小売業より反応が速く、結果的には顧客体験と効率に繋がる。すなわち、消費者に素晴らしい顧客体験をもたらし、内部管理では高い効率が実現できると説明した。
特に前述の効率については、KK館が複数ブランド展開の方針はそのよい例となっている。
KK館は比較的に成熟したブランドとなり、創業当初は直営店だったが、2018年からフランチャイズ化を始めた。現在、中国では数百店舗を展開し、店舗の投資回収期間は12~14ヶ月で、全体の10%の店舗の月次売上高が百万元(約1500万円)を超えている。
今年の5月から、ライフスタイル関連商品を中心とする「KKv」とメークアップ用品を中心とする「THE COLORIST」も展開し始めた。SNSでの拡散スピード、店舗の収益も運営チームの予想を超えたという。
KKvは5月から10月末まで、武漢や東莞などの都市に十数店舗を展開し、1店舗の平均月次売上高が約250 万元(約3750万円)で、最も売り上げた店舗では売上は月400~500万元(約6000~7500万円)に達している。THE COLORISTは10月から広州と深圳に出店し、スキンケア用品を除き、メークアップ用品のみを取り扱っている。店舗面積は約300~400平米となっている。
KK館、KKv、THE COLORISTの3つのブランドは異なる商品と市場をターゲットにしている。一般的には、試行錯誤のリスクが高いことから、従来の小売業は新しい商品の種類の取り扱いには慎重になる。
KKグループが3つのブランドで成功している理由としては、データに依拠して経営することが挙げられる。延べ1億人のユーザー及びクラウド側でのユーザーマネジメントを通じて、チームは直接業界の趨勢を把握でき、市場のキャパシティーの判断と最終的に展開する商品の選定に繋がっている。
CEOの呉氏は、3つのブランドが取り扱っている商品は異なるが、十分なサプライチェーンと新ブランドの運営力は共通していると説明している。例えば、THE COLORISTは商品選定の際に、KKグループのブランドリソースデータベースのデータを利用している。また、顧客体験の面では、すべての商品が試用可能で、且つBA(ビューティーアドバイザー)による説明をなくし、より自由気ままな購買体験を確保した。
このように、KKグループのニューリテールは根本的には人と人を繋げる構造を規格化した運営システムに転換し、このようなシステムにより複数のブランド展開を実現しているという。KKグループにとって、複数ブランド展開戦略は資源を分散することではなく、シナジー効果となる。
呉氏は、多くのオフライン小売は見直しが必要だと考えている。新ユーザー、新商品、新消費シーンがグローバル的な小売市場の再構築と変革を促している。この背景のもとで、KKグループはデータ化、オムニチャネル化による輸入商品小売業ないし小売業全体の再構築を望んでいる。
(翻訳:小六)
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