ショート動画の巨人・快手、生成AI「Kling」を切り出し独立IPOへ

米テック系メディア「The Information」の報道 によると、中国のショート動画サービス大手の「快手科技(Kuaishou)」は、傘下の生成AI事業「Kling(可霊)」を独立分社化し、2027年のIPO(新規株式公開)を目指す計画を進めているという。

直前の資金調達で、Klingの企業評価額は200億ドル(約3兆1800億円)とされており、調達規模は約20億ドル(約3200億円)。テンセントも投資家候補として名前が挙がっている。

Klingは快手のAIモデルチームが独自開発したコンテンツ生成プラットフォームで、動画・画像生成を強みとし、世界のクリエイター層から高い支持を得ている。The Informationによると、Klingの2026年1~3月期売上高は7500万ドル(約120億円)で、その大部分は北米を中心とする海外市場によるものだという。快手は以前、Klingの26年売上高が6億ドル(約950億円)に達するとの見通しを示していた。

中国・快手、25年は増収増益 動画生成AI「Kling」が新たな成長エンジンに

「ショート動画企業」という過小評価

中国2位のショート動画プラットフォームとして、快手の2025年通期売上高は1427億8000万元(約3兆2800億円)だった。25年10~12月期の月間平均アクティブユーザー数(MAU)は7億4070万人、有料会員数は5000万人を超えている。しかし、香港市場に上場している快手本体の時価総額は現在300億ドル(約4兆7700億円)に満たない。

今回の分社化構想の背景には、企業価値の再評価が必要との判断がある。2026年初頭以降、Zhipu AI(智譜)やMiniMax(稀宇科技)などのAIモデル企業は香港上場後にいずれも200億香港ドル(約4000億円)超の時価総額を記録した。快手は「ショート動画+大規模AIモデル」の二本柱を持ちながら、市場ではAI事業の価値が著しく過小評価されているとの見方が広がっている。

資金面での圧力も大きい。快手の金秉・最高財務責任者 (CFO)は2026年3月、同年の資本的支出が約260億元(約6000億円)に達する見通しを示しており、その大部分はKlingなど基盤モデル向けの計算インフラ整備に充てられるという。

動画生成分野は業界内では、「コストを際限なく飲み込む」領域とも見なされている。実際にOpenAIは2026年3月、かつて世界的なブームを巻き起こした動画生成サービス「Sora」の提供終了を発表している。

“Sora撤退は合理的な判断だ”ーー動画生成AIユニコーンPixVerseが語る「勝敗を分けた真因」

*1ドル=約159円、1元=約23円、1香港ドル=約20円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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