グリーン水素の製造コスト、化石燃料水準に接近 中国「Hydo Tech」が資金調達

グリーン水素の製造設備を開発する中国企業「海徳氫能(Hydo Tech)」はこのほど、シリーズBの追加ラウンドで数億元(数十億円)規模の資金を調達した。出資したのは国営⽯油会社サウジアラムコ傘下のアラムコ・ベンチャーズと、中国セメント大手の海螺水泥(CONCH)など。

Hydo Techは2021年12月に設立され、再生可能エネルギーを活用した水電解水素(グリーン水素)の製造技術に注力している。特に、貯蔵が難しい風力発電や太陽光発電などのグリーン電力を、輸送・貯蔵しやすいグリーン水素に変換する技術を強みとする。独自開発の角型電解槽を軸に、コアチップやソフトウエアを含むグリーン水素のトータルソリューションを提供しており、化学工業や海運、航空、セメント、鉄鋼など二酸化炭素排出量の多い業界への導入を進めている。

同社の創業者・姚昌晟氏は、今回アラムコ・ベンチャーズや海螺水泥からの出資を受け入れた最大の意義は、商用化に向けた実証の場を得られることにあると語る。海螺水泥は二酸化炭素資源を豊富に有しており、グリーン水素と組み合わせてグリーン燃料を製造できる。両社は出資者であると同時に、顧客・産業パートナーとしても協業していく方針だ。

姚氏は、グリーン水素業界がすでに政策主導の成長段階を終え、ビジネス性が重視される段階へ移行したと指摘する。2021年前後には、多くの企業が再生可能エネルギー事業を電力系統に接続するための許可を得る目的で、水素製造を付帯事業として導入したため、一時は300社もの電解槽メーカーが乱立したという。しかし、業界が実需に基づくビジネスへと回帰する中で、顧客ニーズを的確に捉えられない企業は徐々に淘汰され、現在、安定して受注を獲得できる企業は10社ほどにまで絞り込まれたという。

Hydo Techは設立当初から、長期的な取引が期待できる顧客をメインターゲットとし、中国石油化工集団(シノペック)、シェル、トタルエナジーズなど世界的なエネルギー企業と緊密な協力関係を築いてきた。2024年から業績を急速に伸ばし、受注額は初めて1億元を突破した。現在の生産能力は年間1GW規模に達しており、これまで20件以上のプロジェクトを通じて、累計700MW超の電解槽を納入してきた。中国のほか、欧州や中東、南米、アフリカにまたがるグローバルなプロジェクト体制も構築している。

内モンゴル自治区のオルドス砂漠にて

技術力もHydo Techの飛躍を支える重要な要素となる。業界で一般的な円形電解槽ではなく、角型電解槽を独自に開発し、風力発電や太陽光発電など出力変動の大きなエネルギーへの対応力を高めて、水素製造効率の向上と設備コストの削減を実現した。また、実際の導入を通じて製品の改良を加速し、技術力に磨きをかけている。現在、グリーン水素の製造コスト(LCOH)は1kg当たり約2ドル(約330円)まで抑えられており、化石燃料を利用して製造するグレー水素の水準に近づきつつある。これにより、グリーン水素の大規模な商用化が大きく前進すると期待される。

中国政府は「第15次五カ年計画」(2026〜30年)で、水素エネルギーを重点的に育成すべき未来産業と位置づけた。姚氏は、今後5年間がグリーン水素産業の成長に向けた重要な時期になるとの見方を示す。Hydo Techは今後も製品性能の向上とコスト引き下げに取り組みながら、技術力と製造力を武器に世界のグリーン水素産業で重要な役割を果たしていきたい考えだという。

*1ドル=約163円、1元=約24円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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