人型ロボット需要拡大で供給追いつかず。中国の「極小ねじ」、年産1000万本体制へ

中国の精密伝動部品メーカー「諾仕機器人(Nous Robot)」はこのほど、シリーズAの追加ラウンドで約1億元(約23億元)を調達した。出資は順為資本(Shunwei Capital)が主導し、望千銘誠も参加した。調達資金は主に、超小型遊星ローラーねじの生産能力拡大や製品改良、海外市場の開拓に充てる。

同社の資金調達は今回が4回目。これまでに、上海汽車集団(SAIC)傘下の上汽創投のほか、上海半導体装備材料産業投資(SSEMF)や聯想創投(Lenovo Capital)などから出資を受けている。

諾仕機器人は、親ねじ(リードスクリュー)製造に30年以上携わってきた同族企業を母体として、2023年7月に設立された。遊星ローラーねじやリニアアクチュエーターの開発と自社生産に注力している。深圳市に研究開発センターを設け、上海市と蘇州市に生産拠点を構える。創業者の徐楊氏は同済大学で機械製造学の修士号を取得、仏自動車部品メーカーValeo(ヴァレオ)に勤務した経歴があり、自動車の駆動系や精密製造の分野で豊富な経験を持つ。

徐氏は「この8カ月で、市場は様変わりした」と語る。前回の資金調達が完了した2025年12月当時、精密伝動部品の開発は主に米テスラのロボットハンドが想定されていた。しかし、ロボットハンドを手がける企業が倍増し、関連技術も多岐にわたるようになった現在、精密伝動部品のニーズはロボットハンドにとどまらず、手首や腕、さらには首や顔などにも広がっている。

人型ロボット(ヒューマノイド)の直動関節を動かす伝動方式をめぐっては、回転関節方式とねじ方式のどちらが優れているかという議論が長く続いてきた。徐氏は、最終的にはねじ方式が主流になるとみている。

徐氏は、回転関節は制御しやすい一方、高い出力を確保しながら小型化するのが難しいと指摘。さらに、過負荷でモーターが回転できず発熱する問題も常態化しており、いまだ根本的な解決には至っていない。諾仕機器人の開発したねじ一体型の直動関節ならこうした問題を解決できるという。ねじにはセルフロック機能が備わっているため、モーターを常時稼働せずとも関節の位置を保持でき、間欠運転が可能になる。発熱を抑えられるだけでなく、消費電力の削減やモーターの長寿命化にもつながる。

諾仕機器人のロボットハンド向けソリューション、リンク機構とワイヤ駆動方式

同社は直径わずか1.5mm、ナット径5.5mmの世界最小の遊星ローラーねじを量産化している。精度等級C5を実現し、繰り返し位置決め精度は±0.01mm、最大負荷は50ニュートンに達する。この製品を組み込んだ超小型電動リニアシリンダーは、USBメモリほどのサイズで15kgの推力を発揮できる。

世界最小の遊星ローラーねじ

さらに、アクチュエーターのスマート化も進めており、最新の一体型スマート電動シリンダーには、力覚・精度・温度のフィードバック機能を統合した。力の変動を1%の精度で検知したり、発熱でモーターの性能が低下した場合に警告を発したりできる。こうしたさまざまなセンサーデータをロボットの頭脳に送り返すことで、精密操作に必要な意思決定をサポートする。

世界最小の遊星ローラーねじを使用した電動シリンダー

とはいえ諾仕機器人にとって、人型ロボット事業がすべてではない。徐氏は製品展開について、3kgから1トンまで幅広い出力をカバーし、手術支援ロボットやリチウムイオン電池のコーティング、光モジュール、低空経済など、さまざまな分野への進出を目指す構想を示した。

例えば低空経済分野では、すでに大手ドローンメーカーに舵面用リニアアクチュエーターを供給している。自動車分野では、部品や内装を手がける延鋒汽車飾件系統(Yanfeng)のカーシート向けで一挙に8件の部品採用が決まった。超小型・高出力密度の電動シリンダーは、シートの厚みや重量を大幅に抑えることができるため、大手自動車メーカーの上海汽車(SAIC Motor)からも高い評価を得ている。

現在は蘇州工場が24時間フル稼働し、年間300万本を生産しているが、それでも供給が追いついていない。徐氏によると、将来的に人型ロボットが100万台規模になると見込んだ場合、遊星ローラーねじの需要は年間3000万本に達するものの、世界の有効生産能力はそれには遠く及ばないという。今回の資金調達を受け、同社は年内に生産能力を1000万本に引き上げる方針だ。

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(翻訳・畠中裕子)

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