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中国では、2015年から「太平洋人寿(CPIC)」、「人保健康(PICC)」、「太平养老(CHINA TAIPING)」等の大手生命保険会社が、一日あたり数元(1元=約16円約数百円)程度の保険料で保険金額が最高で数百万元(約数千万円)に上る短期医療保険を発売した。
長期の保険と比べ、これらの人気短期保険は貯蓄型ではない。加えて継続条件と免責条件に落とし穴が多く存在する。一方で、宣伝用のチラシなどでは、「連続加入」、「契約の継続を承諾」などの長期保険と混同されやすい記載が行われている。
このような短期健康保険の満期後の継続に関するトラブルについて、最近、中国銀行保険監督管理委員会(以下「銀保監会」)が「短期健康保険業務に関する問題についての通知(意見募集稿)」(以下、「意見募集稿」)を発布し、前述の短期健康保険の販売中止を命じ、その継続条件についても規定した。
意見募集稿では、短期医療保険の定義を「個人向けに販売する保険期間が1年および1年未満かつ契約の継続を約束する条項がない医療保険商品」であると明確にし、当該商品について明確で誤解が生じないように説明することを義務付けた。また保険契約の条項や宣伝に「連続加入」、「自動継続」、「継続を承諾する」等、長期医療保険と混同されやすい用語の使用を禁止した。
中国の経済情報メディア「第一財経(yicai.com)」の調査によると、多くの保険が前述の「意見募集稿」の規定に満たしていないという。「意見募集稿」の規定通りにすれば、現時点で届出済の保険期間が1年間の「百万医療保険」(短期医療保険の1種)が全て2020年6月1日までに発売中止になり、規定に合致した新規商品で代替しなければならないという。
大手企業のみならず、なぜ中小保険企業も短期医療保険に注力していたのか。
背景はこうだ。医療保険は、保険金の支払い、医療サービス、健康管理等の業界が関わる産業チェーンであり、患者の数とデータを把握しているのは医療機構であり、保険会社がそこからデータを取得する必要がある。このコストを抑えることは難しい。十分な医療データがなければ、保険会社が長期医療保険商品を販売するリスクは高まる。そのため、資金力の弱い中小企業は短期医療保険により力を入れているのだ。
これは現在中国の保険市場の各種医療保険が同質化している原因でもある。若者向けの短期保険が乱立する一方、より保健が必要な要介護者や慢性疾患を持つ中高年向けの商品は実はほぼないのだ。
家財保険や生命保険と異なり、医療保険には契約期間が長く、保険会社が強い資金力を持たなければならず、よって大手企業がより有利である。現状は1%の保険会社が医療保険の保険料の1/3を取得している。トップの大手保険企業は百億元~千億元(約2兆~20兆円)の保険料収入がある一方、中小企業は、その1/100にも満たないケースさえある。
また、医療保険は産業チェーンが長いだけでなく、商品の内容も複雑であり、運営とリスクマネジメントコストが高いため、技術面への投資も重要になる。このことも中小企業にとって大きな重石となっている。利益がないままでは、AI、ビッグデータ、ブロックチェーン、およびクラウドアルゴリズムなどへの投資は困難だ。
商品の同質化が進行しているため、価格競争が発生している。しかし、保険料や免責額を下げても、保険金額を上げても、短期医療保険は利益を上げていない。中国の銀保監会によると、2019年の1~8月の医療保険料収入は前年同期比で31.5%増加し、他の保険を遥かに上回っている。一方、保険金支払額は前年同期比で37.6%増加し、保険料収入よりも伸び率が高い。すでに短期医療保険を制限された以上、成長のためにはより新しい商品とサービスの開発に取り組むしかない。
(翻訳:小六)
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