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7月11日(中国時間)、「理想汽車(LEADING IDEAL)」が米証券取引委(SEC)にナスダックへの上場を申請した。幹事会社はゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、UBS。公募価格は未定だという。中国の新エネルギー車メーカーで「NIO(蔚来汽車)」に続く2社目が米国上場を目指す。
コストコントロールに長けた理想汽車は財務上でも優れた成績を見せており、新興自動車メーカーとして重要な存在になると期待されている。
健全、安定を示す三大指標
他企業と比べ、理想汽車の財務諸表は相当に健全で安定している。特に「販売額」「利益」「現金預金」の三つの指標にそれが現われている。
まず販売額をみると、上場目論見書では2020年第1四半期の売上高は1億2000万ドル(約130億円)、納車台数は3869台と記載されている。この数字は米テスラには及ばないが、ライバルのNIOとはほぼ拮抗している。同社製のEV「理想ONE」は先月末時点ですでに1万400台が納車されている。
次に利益をみると、2020年第1四半期の売上原価は1億1200万ドル(約120億円)で、売上総利益は964万ドル(約10億円)だ。売上総利益率は8%となる。理想汽車に近しい人物によると、第2四半期の売上総利益率は二桁に乗せてくる見込みだ。これに反して、創業初期に大胆な資金投入を続けてきたNIOは、現在に至るまで売上総利益の黒字化を目指している状態だ。
とはいえ、理想汽車の2020年第1四半期の純損失は1089万ドル(約12億円)だ。昨年の売上高は4016万ドル(約43億円)、純損失が3億4400万ドル(約370億円)だった。
コストコントロールの状況をみると、李想CEOが公開の場で幾度も発言している通り、「ほぼ“変態”といえるまで厳しい方針をとっている」。まだ大規模な納車段階に移行していなかった2018~2019年の2年間で同社が計上した損失は40億元(約600億円)に満たない。財務諸表によると、今年第1四半期の販売管理費はわずか1億1300万元(約17億円)、研究開発費は1億9000万元(約29億円)だ。
今年第2四半期の資金調達状況は目論見書では言及されていないが、理想汽車の複数の出資者によると、同社は今月1日付でシリーズDを完了、5億5000万ドル(約590億円)を調達しており、すでに10億ドル(約1070億円)を超える現金預金を保有しているという。
新興自動車メーカーの争いは第2ラウンドへ
新興自動車メーカーにとってこれから競争の焦点となってくるのが販売数だ。李CEOは同社の事業拡張計画について、今年の新規開店目標を当初の20店から60店へ修正したと述べ、さらに来年に始動を予定していたL4(レベル4)の自動運転技術の開発を今年に前倒しし、10億元(約153億円)規模の予算を投入するという。
理想汽車といえば見逃してはならない要素は、他の大多数の競合が純電動化技術を採用しているのに対し、理想汽車は内燃力発電をベースとしたレンジエクステンダーを採用している点だ。動力電池にかかるコストや動力構造を考慮すると、純電動の大型SUVの場合、BOM(部品表)にかかるコストはガソリン車の30~35%増しとなる。いっぽう、理想汽車が採用するレンジエクステンダーはコスト的にも強い。
こうしたレアな戦略もあり、理想汽車はプライマリーマーケットでの資金調達に苦戦したが、最終的には生活関連O2Oプラットフォーマー「美団点評(Meituan Dianping)」の王興CEOが高額投資を名乗り出た。
上場目論見書によると、王興氏および美団の持ち株は合計3億3266万4073株のクラスA株式で、株主資本比率は23.5%、議決権は9.3%だ。
一方でガッチリと支配権を握っているのが創業者の李想CEOだ。クラスA株式1億1581万2080株およびクラスB株式2億4000万株を保有している(クラスA株式は1株1議決権、クラスB株式は1株10議決権)。李CEOの株主資本比率は25.1%、議決権は70.3%で、もちろん筆頭株主だ。
中国の新興自動車メーカーとして2社目の米国上場企業となる理想汽車は好機を掴んだといえる。2018年9月に上場したNIOは、一時は株価1ドル(約107円)に迫るほどの大暴落を経験し、現在は時価総額170億ドル(約1兆8200億円)にまで成長した。またEVで世界トップを走るテスラは株価が1500ドル(約16万699円)にまで高騰、時価総額は2800億ドル(約30兆円)をつけている。
NIOとテスラはどちらも純電気自動車であり、レンジエクステンダーを採用した理想汽車の上場がどのような結果になるのか期待されている。
(翻訳・愛玉)
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