眼科創薬市場はブルーオーシャン Arctic VisionがシリーズAで34億円を調達

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眼科治療薬開発スタートアップ企業「極目生物(Arctic Vision)」は7月14日、シリーズAで3200万ドル(約34億円)の資金調達に関して合意したと発表した。今回のリードインベスターは「晨興創投(The Morningside Group Limited)」。元投資者の「南豊生命科技(Nan Fung Life Sciences)」「鼎豊生科資本(Pivotal bioVenture Partners China)」も引き続き追加投資を行う。これら投資機関はいずれもバイオテクノロジーのベンチャー企業に特化して投資を行っている。うち晨興創投が中国で投資した早期治療関連プロジェクトは100件を超えている。

Arctic Visionは2019年10月に創業。眼科治療薬開発企業で、眼科新薬の開発に特化している。眼科疾患の臨床需要を満たすため、ぶどう膜炎による黄斑浮腫に用いる標的治療ソリューションの研究を行っている。製品導入と社内新薬プラットフォームでの開発を二大業務とし、収益性のある製品ポートフォリオに向け世界規模で開拓している。同社創業者兼CEOの胡海迪(Eddy Wu)博士および管理層は、ノバルティス(Novartis)、アルコン(Alcon)、アラガン(Allergan)などグローバル企業での勤務経験を持つ。

今回調達した資金はARVN001製品の臨床実験に充てるという。

ARVN001は脈絡膜上大静脈注射に用いるトリアムシノロンアセトニド水性混濁注射液で、中国ではぶどう膜性黄斑浮腫(UME)への適応が初めて申請された。この治療法は米クリアサイド・バイオメディカル(Clearside Biomedical:ナスダック銘柄コードはCLSD)が開発したものだ。ボシュロム(Bausch & Lomb)は米国とカナダでの開発と産業化のライセンスを持つ唯一の企業である。Arctic Visionは中国エリアと韓国でのライセンスを持つ。

ぶどう膜炎は虹彩、毛様体、脈絡膜、硝子体、網膜に炎症が起こる病気だ。失明を引き起こす疾患(35%に失明または障害が残る)で、平均発症年齢は33.8歳。世界で100万人が罹患しているといわれている。米国では30万人が罹患、うち3分の1の患者がぶどう膜性黄斑浮腫の症状が現れ、視力低下や失明の主な原因となっている。ぶどう性黄斑浮腫の治療は免疫抑制剤が中心となる。局部療法として糖質コルチロイドの内服や、筋膜下または眼周囲への糖質コルチロイド(デキサメタゾンかトリアムシノロンアセトニド)を注射する。トリアムシノロンアセトニド水性混濁注射液を注射することにより治療薬を眼球後部まで急速かつ十分に分散させ、有効時間が長い上、眼周囲への影響も最低限に抑えられるメリットがある。

脈絡膜上大静脈注射により正確に届けられた有効成分は病変のある脈絡膜と網膜に浸透する

中国国内外の製薬企業は眼科創薬をとりわけ重視している。眼科需要の急増に伴い、ノバルティスの浸潤型加齢黄斑変性治療薬ベオビュ、ロシェの病的近視に伴う脈絡膜新生血管治療薬ルセンティス、バイエルの新生血管浸潤型加齢黄斑変性症治療薬アイリーア、アイポイント・ファーマシューティカルズ(Eyepoint Pharmaceuticals)のFDA認証済の眼疾患徐放療法5種類など、多国籍企業の治療薬が多く市場参入している。

中国国内でもスタートアップ企業がこの市場に参入している。眼科関連のバイオテクノロジー医薬開発メーカー「欧康維視(Ocu Mension)」の眼科治療薬16種が開発段階にある。そのうち、ぶどう膜炎治療薬OT-401、近視治療薬OT-101はいずれも中国国内関連分野で初めて臨床試験を行った眼科治療薬だ。眼科治療薬メーカー「抜雲生物(Cloudbreak Therapeutics)」はこのほど1億8000万元(約27億円)の資金調達を終え、同社のコア・プロダクトである翼状片治療用CBT-001の研究開発に充てるという。またスイスに本部を置く眼科治療薬開発メーカー「Oculis」は2018年、2000万スイスフラン(約23億円)の資金調達を終え、非侵襲性製剤に特化して開発を進めている。

中国の眼科治療薬製造企業は米国と比べスタートが遅く基盤が脆弱で、技術の蓄積も少ない。現在中国国内市場をリードしているのはノバルティス、参天製薬、アルコンなどの外資系企業である。上場した欧康維視は現時点では収益がまだ出ていない。眼病疾患の患者は増え続けている現状では、眼科治療薬市場は巨大なブルーオーシャンであることには間違いない。

(翻訳:lumu)

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