ネット医療の春が来る!?

ネット医療発展における模索

医療は、特に監督管理を要する業種だから、すべての生産要素の介入において、審査の上での承認が必要だ。そして、昨年5月9日に、“国家衛生・計画生育委員会”より非公開で配布された“意見募集稿”の数々の規制は、ネット医療業界の人々に、「今までの苦労は水の泡になるのではないか」との疑念を抱かせるものとなった。 この疑問に対しては、今年回答を得ることができた。2018年4月25日、「中国国務院常務会議」において、《「インターネット+医療・健康」の発展促進に関する意見》(以下、《意見》)を成立し、医療機関によるインターネット病院の発展を認可することを明確に規定した。 それと共に、6月4日、李克強総理が、『好大夫在線』(www.haodf.com) (モバイル医療サービスアプリの一つで評判の良い病院・医師を見つけるための情報交流サービス)等の基地となっている、“銀川スマートネット病院”等を視察し、“リモート診察”や“リモート診断”等の診療方法をすべて肯定した。 36Krは陳秋霖教授に、「この政策前後の変化についてどのように見ているか」尋ねた。陳秋霖教授は、「政策は何も変わっていないと思います。今まで、インターネット病院が初診を行うことは許されていませんでしたが、今現在も許されていません。ネット医療の発展において、明確な規範がずっと欠落しており、市場も、病院も、企業も模索中なのです。昨年の“意見募集稿”にしても、インターネットを用いた診断行為についての規範を探しているに過ぎないのです。」と述べた。 陳秋霖教授は、「2015年以来、ネット医療管理はネット経済全体の規制に関係してきた」ことを強調している。 陳秋霖教授は、“中国社会科学院人口・労働経済研究所社会保障研究室”の主任であり、健康と老人福祉の分野での研究を専門としている。また、昨年からは、“ネット医療”について研究し、その過程の中で『好大夫在線』のようなモバイル医療機関を探し、研究事例としている。 陳秋霖教授は、《意見》を分析し、「我々の国のネット医療に対する態度は明らかに肯定的であり、それを奨励するもので、この《意見》が打ち出されたことは、間違いなくネット医療の発展に加速をつけるものとなるでしょう」と語った。 当局は、ネット医療に対する態度、範囲、責任を明確にした。すなわち、インターネット病院は、実態を持つ医療機関によって設立され、責任の主体はその医療機関にあるということである。 “インターネット病院”の概念は人々に知られてはいるものの、具体的な定義は曖昧ではっきりしていない。36Krは、ネット医療の発展プロセス;“インターネット病院”発展の規律性予測;また『好大夫在線』のような“プラットフォーム型”ネット医療機関の発展の可能性等について、陳秋霖教授に単独インタビューした。

“インターネット病院”の概念

36Kr:“インターネット病院”の概念について、今まではっきりした定義がなかった訳ですが、これについて教授はどのように分析されていますか? 陳秋霖教授:定義は、確かに一つの重要な問題です。“病院”と呼ぶからには、必ず病院管理の条例にマッチしていなければなりません。しかし、実際のところ、病院に関する規範が欠落している状況下で、先に市場で、“インターネット病院”という言葉が率先して使われ始めてしまいました。結局のところ、“インターネット病院”とは何なのか?私の理解では、現時点では関係する規範を制定している過程であり、今年の4月末に打ち出された《意見》は、インターネット病院に関係する登録条件や、診療行為の規範を一刻も早く打ち出すことを要求しています。 36Kr:2017年5月に“意見募集稿”が出されてから、今回の《意見》まで、ちょうど一年くらいになります。この期間、これらに関するメディアの報道が減ってきていると感じますが、業界内ではこの一年間にどのような進展があったのでしょうか? 陳秋霖教授:私はこのように理解しています。確かに、昨年5月の“意見募集稿”はネット医療市場に騒乱を巻き起こしました。しかし、“意見募集稿”は“意見募集稿”に過ぎません。例えば、2009年の“医療改定法案”に先だって、政府は2007年に“意見募集稿”を発表しました。現在、重要な政策を打ち出すにあたって、“意見募集稿”は、みな社会からのフィードバックを受けるものなのです。ネット医療は、一般人、企業、そして病院に関わるものであり、必ず衆知を集める必要があります。私が思うには、『好大夫在線』を代表とするようなインターネット企業は、あらかじめ世論を盛り上げて準備を始めつつ、当局からの《意見》が打ち出された後、もう一歩進んで、自分の戦略を明確かつ十全なものにすることができるのです。

ネット医療の発展プロセスと規律予測

36Kr:教授から見て、現時点でのネット医療の進展は、どの段階まできたと思われますか? 陳秋霖教授:ネット医療の発展プロセスとインターネット規制の進展とは、シンクロ関係にあります。2015年以来、タクシー配車アプリサービス、EC、ネット金融等で数々の問題が起こってきましたが、このような時、インターネット規制は必ず介入しました。2017年5月の“意見募集稿”は政府介入の合図に過ぎません。ネット医療の発展は比較的ゆっくりですので、まだ発展初期の時点で政府介入段階となったのです。 ネット医療の発展は三段階に区分できます: 1 .医療の情報化:オンライン予約、名医の推薦等。 2 .各地に散在する医師のようなアイドル状態の医療資源を集めてきて、ユーザーの相談を受け付けるサービス。現時点で、ほとんどのネット医療企業はこの第二段階にいます。一つの解決しなければならない核心的な問題は、「どのようにこの“医師”という希少資源を長期的に供給できるか」です。 3 .そして第三段階:医療サービスのプロセスを改造する。つまり、どのように一般国民がより良いサービスを受けられるようにするかといったことです。この段階において、病院とインターネット企業の協力は欠かせません。 36Kr:一人の患者にとって、医療サービスの“プロセス改造”とはどのような意味を持つのでしょうか? 陳秋霖教授:最も簡単な例を挙げるとすれば、患者と家庭医の間をインターネットで結ぶということです。病院の内部、決済方法の改定も、プロセス最適化の一部です。さらに、また難病のリモート診療をも含みます。 36Kr:リモート診断のインターネット化は、実際のところ特に目新しいわけではないですよね? 陳秋霖教授:リモート診療操作の範囲制限も、もう一歩明確にする必要があります。例えば、どの病状については診療が可能であるか?どのように診療するか?といったことです。リモート診断の効果は分野ごとに違ってきます。例えば、皮膚科や精神科等においては、高い効果が期待できます。また、一部のよくある病気や慢性的な病気のオンライン再診等、医師が患者の基本的な病歴資料を知ることができる状況下であれば、再診患者のためにオンラインで薬を処方することもできます。 36Kr:教授の観察からすると、ネット医療が規制に沿った発展をすることは可能でしょうか?可能であるとすれば、どのようにできるのでしょうか? 陳秋霖教授:私はこのネット医療市場についてこのように考えます。ネット医療には、現時点で三つの型があります。 1 .インターネット企業が、医療機関の技術的サポートをするに過ぎないパターンです。例えば、『広東省二院』の例です。この場合、将来の発展はやはり病院システム内部のみにしか見込めないので、比較的限定的なものになってしまいます。 2 .インターネット企業が、自分で病院を開くというパターンです。例えば、『企鹅医生』(TENCENT DOCTORWORK)が一例です。 3 .インターネット企業が、独自のシステムを持ち、たくさんのユーザーと医師の情報資源を有し、企業との協議関係があるというパターンです。代表例が『好大夫在線』です。 一つ目のパターンの場合、病院がインターネットを用いることには利点があります。しかし、発展性としては医療機関内に限られたものであり、多くは見込めません。二つ目のパターンの場合、全国的な医療機関を展開しない限り、大規模化は難しいでしょう。そして、三つ目が、私が個人的に最も良いと思うパターン、すなわち、“プラットフォーム型”です。 例えば、杭州オフィスビルにあるMedical Mall(医療モール)です。これは、大悦城JOY CITY(大型ショッピングモール)と同じ形式を使っています。医師は、そこで個人の診療所を開くことができます。これは、プラットフォームの概念を利用しているのです。もともとは一つ一つ個々の診療所ですが、診療所同士を一つに結び合わせると、病院となります。病院とは個人診療所のプラットフォームなのです。 36Kr:ネット医療のプラットフォーム方式において、どのように利益が得られるのかがよく分からないのですが、私が思うに、利益の大部分はインターネットによる薬品の販売によるのではないかと思うのですが、どうですか? 陳秋霖教授:もしそうであれば、それはやはりかつて言われていた医薬品の収益で病院の経営を支えることになってしまいますよね?私は、プラットフォーム型のネット医療が利益を見いだす部分はやはりサービスにおいてだと思います。

プラットフォーム型ネット医療の未来

36Kr:教授は、プラットフォーム型ネット医療がどのように価値を発揮していくと思われますか? 陳秋霖教授:便利な決済方法と絶え間なく続く医師の供給。現時点で、お金と人についてどれも完全に解決できていません。まず、インターネット診断には費用の徴収についての標準システムが組み込まれていません。先に、医療サービスというプロジェクトがあって、それから医療サービスの価格設定があります。このプロジェクトに着手する前に、コストを調査する必要があります。これらがまだ研究しきれていない段階で、支払いについて語ることはできません。さらに、今回の《意見》からすると、今後、医療保険による支払いシステムが組み込まれていくようですが、やはり具体的な細則に欠けています。 36Kr:2017年3月19日の正式発表の後、『好大夫在線』、『丁香園』(www.dxy.cn)等の20以上の企業が、銀川スマートネット病院基地に駐在するようになりました。今までに、教授も銀川の各地を訪問してこられて、サービス方法についてどんな印象を持っておられますか? 陳秋霖教授:わたしは主に、寧夏の彭陽県を訪ねました。貧しい地域で、当然ながら医療資源はかなり乏しい所です。その時私は、『好大夫在線』のようなプラットフォーム型ネット医療が、医療資源をドッキングさせ、高等医療機関の診察後、『好大夫在線』を通して全国の病院を探すことができれば、このような辺鄙な地域にとって、大きな助けになると感じました。 36Kr:どんな患者がスマート病院に行くのでしょうか? 陳秋霖教授:一般的なモデルとしては、病院は病状と必要に基づいて、患者さんをスマート病院に転院させることになります。インターネット病院では、初診を行なうことが許されていませんので、患者が直接スマート病院に行く例はありません。 36Kr:インターネット病院の将来に関してどんな予測をされますか? 陳秋霖教授:昨年の5月から現在まで、インターネット企業が悩んできたのは、プラットフォームの役割をすべきなのか、病院を作るべきなのかということです。現段階で、ユーザー需要を導く段階には来ていませんし、医療という業種の特殊性を考えると、使っているうちに慣れるという方法で導くのは難しいでしょう。例えば、ビキニを着て薬を買いに行くことはあり得ないですよね?薬品のセールスプロモーションをすることもふさわしくないですよね?或いは、スマート医院に診療にきた人の交通費を無料にするというわけにもいかないですよね?行動を変えるのは非常に困難なのです。 しかし、私が思うには、ネット医療のプラットフォーム型は未来です。個人医療、機関医療、プラットフォーム医療はみなプラットフォーム経済の一部分です。プラットフォーム医療は共有を強調しています。直面しなければならない主な課題は、どのように医療資源をつまり医師を絶え間なく供給してゆくか、という点です。 病院には、独自の訓練システムがあり、医師を養成できます。表面的には、多くの仕事をこなすのは良いことです。でも、実のところ、病院はあまり嬉しくありません。なぜ、私のブランドを持ってあなたのプラットフォームに上らなければならないのか?そう考えるのです。国外の状況と比べてみると、医師は個人であり、医師は自分自身に投資する、そして病院はプラットフォームです。これがプラットフォーム型です。現在、それぞれの医師がプラットフォームに上がり、将来的にはそれぞれの病院さえもがプラットフォームに上がることになるでしょう。それは、淘宝(Taobao)の発展プロセスと同じです。まず先に、個人がプラットフォームに上がり、その後だんだんと旗艦店もそこに上がり駐在するようになりました。

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