ライブ配信大手「映客」が香港上場:株価は40%超の上昇、時価は100億に達す

「鐘が鳴る時、心はとても落ち着いていた」―「映客」創業者・奉佑生

2018年7月12日午前9時30分、株式市場の鐘が鳴った。と同時に、中国のライブストリーミング大手・映客(Inke)は正式に香港証券取引所に上場。同取引所に上場する最大規模のエンターテイメントライブ配信会社となった。同社より先に上場した同業他社には、YY、陌陌(Momo)、天鳩互動(TianGe Interactive)、および虎牙(HUYA)がある。

上場初日の時価総額、約107億香港ドルに

上場初日、映客の始値は4.32香港ドルから始まり、発行価格3.85香港ドルに対し12.21%の増加となった。その後、増加率は一度40%に達し、時価総額は約107億香港ドルになったが、 天鳩互動の時価総額は72億香港ドルで、虎牙は73億5000万米ドルであった。

上場の鐘が鳴る前、GSRベンチャー(金沙江創投)のアレン・ジュー(朱嘯虎)氏は36krの取材に対し、「株価下落は心配していない。価格は適正であり、映客の成長についても非常に楽観的だ」と語った。アナリストもまた、最近香港取引所に上場した新株は一般的にすぐに下落するが、映客がこれを避けられたのは、株価収益率が比較的低いことに関係しているかもしれないと話した。

11日、映客はIPOの最新アロット結果を発表した。同社は5714件の有効申請を受け、8061.2万の香港発行株の購入希望があった。これは香港取引所による映客株発行承認総数の3024.4万株の約2.67倍であり、IPO資金調達額は約10.49億香港ドルであった。コーナーストーンの投資家は、主にエレベーター内広告に従事するメディア企業・フォーカスメディア(分衆伝媒)と動画共有サイト・bilibiliだ。調達された資金は、製品のラインラップ強化、マーケティング活動と戦略的投資のために使われる。

創業3年での上場、月間アクティブユーザーは2500万人超

映客が本社を構える北京の西大望路から香港証券取引所までの距離は2212km。ここまで到達するのに3年かかったが、次の3年、さらにその次の3年では、映客はさらに期待できる。

創業以来の3年間、映客のユーザー数が最も伸びたのは最初の1年目であり、その後の成長幅は緩やかに転じた。それでも現在、映客の登録ユーザーは2億人に達し、2018年第1四半期の月間アクティブユーザーは2525.4万人、前年度比14.1%増となっている。 なお、月間アクティブユーザーのピークは2016年4月の3000.6万人だ。

映客の収益モデルは他のライブ配信プラットフォーム同様、プラットフォームの提供、ライブ配信、ユーザーへの課金からなる。既報によると、配信者との利益配分はおおよそ半々だという。

目論見書のデータによると、2015年から2017年までの映客の収益は、それぞれ2870.20万元、43億3500万元と、39億4200万元であった。調整後の純利益はそれぞれ146万元、5億6800万元、7億9200万元であった。映客によれば、同社は現在、約30億元の現金を保有していて、将来の事業拡大と投資の合併・買収に使用する予定だ。

ただ投資先に関して、映客CEO・奉佑生(フォン・ヨウション)氏は「我々の事業に関連する業種、産業チェーンの上下流にいる企業を検討している」と36krの取材時に話した。ただし、現在は明確な目標を持っていないとのこと。

広告収益モデルへの転換

しかし、映客の利益モデルの欠点は、収入構造が単一であり、ライブ配信に依存しすぎていることである。しかし、ショート動画や競合他社に起因するユーザー数の変動は、収益全体に影響を及ぼす可能性がある。現在、月間有料ユーザー数は減少しているが、一部の“優良”ユーザーが市場を押し上げている状況だ。

これに対し、映客は短期間で大きな広告収入を得ようと考えている。今年、映客は広告営業チームを結成し、徐々に広告戦略を打ち出してきた。例えば、香港の大手芸能事務所・EEGと提携して立ち上げたミスコンテスト「櫻花女生」では、映客は健康茶メーカー・碧生源(Besunyen)の協賛を得て、国内のスポーツブランド・喬丹体育(チャオダン・スポーツ)と戦略協力を行った。同時に、広告掲載数や広告効果を上げるために、映客6.0版でSNS化を推進。タイムラインやフォローなどのタグを設置し、多様なシーンの使用範囲を広げた。

中長期的に見ると、映客はこれからエンターテインメント産業のチェーンを広げ、他産業への浸透を図る。奉氏によると、同社は現在4つまたは5つの製品ラインを持ち、中には中小都市在住の高齢者向けソーシャルプロダクトもある。

中国のライブ配信市場、2022年には1000億元規模へ王手

ライブ配信業界に関する限り、発展の余地はまだまだある。

フロスト&サリバンの報告によると、中国でモバイルデバイスを通じたライブ配信プラットフォームの月間アクティブユーザー数は、2012年の560万人から2017年の1.76億人まで増えた。複合年間成長率は99.3%。予測では、2020年にはさらに5.01億人超にまで増え、複合年増加率は23.3%となる。同時に、同市場規模は2012年の1.06億元から2017年の257億元まで伸び、複合増加率は200.0%であった。さらに、2022年には978億元まで伸び、複合増加率は30.6%になると予測されている。

以下は、香港上場の際の奉佑生氏によるあいさつ

ご来賓の皆様、おはようございます!!

我々の上場に際し、遠路足を運んでくださりありがとうございます。私にとって上場の鐘を鳴らすのは初めての体験であり、また私の話す標準語も訛りがあるでしょうね。しかし、映客のパフォーマンスは私の話す中国語よりもはるかに優れています。映客は設立わずか3年あまりで、香港取引所最大のエンターテイメント配信会社となりました。

2015年、私たち22人は北京のある民家で起業しました。当初の願いは、ライブ配信を通して全国の若者をつなぎ、ライブ配信を通してより広い世界を見てもらうことでした。

幸運なことに、このアイデアは若者に受け入れられ、ライブ配信は人気を呼び起こしました。毎月数千万人ものユーザーが映客で素晴らしもの、人と出会い、何百万人という配信者が映客を通じて自分たちの運命を変えました。本当にありがとうございます、みなさんのおかげで映客は24時間終わることのないパーティーになりました。そして、今日、このパーティーは香港証券取引所にも場を広げました。

起業は九死に一生を得るようなこと。上場は自然の流れでした。我々の従業員と家族に感謝し、今日の映客を作ったのは、あなた方の継続的な起業家精神だと伝えたい。同時に、先見の明を持ち、我々をずっとサポートしてくれた投資者の方々に感謝したいと思います。

自由とプロフェッショナルの世界的資本市場である香港において今日、私たちはさらなる自信とモチベーションを持って、エンターテイメントの動画化戦略を推し進め、事業イノベーションを起こしていきます。さらに、収益増加を実現し、投資を進めます。また「楽しみはもっと手軽に」というわが社のミッションを果たし、株主に最大の利益をもたらすように努力いたします。

最後に、香港証券取引所のスタッフの皆さん、私たちの上場のためにサポートしてくれたCCIC、シティグループ、ドイツ銀行の皆さん、全てのパートナー、および私たちの投資者、顧客に対して心から感謝の意を表します。香港株式市の今後一層の繁栄と、全来賓の健康と幸運を願っております。ありがとうございました!

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事