ディスプレー搭載のペーパータオルディスペンサーで広告投入 QRコードから直接ECサイトへ

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ここ数年、テナントビルやショッピングモール、地下鉄などのトイレや待合室に大型ディスプレーを搭載したデジタル広告をよく見かけるようになった。

36Krがこのほど取材した「七十二伝媒(Seventy-two Media)」は、ペーパータオルディスペンサーに大型ディスプレーを搭載し、IoT(モノのインターネット)やビッグデータ分析などと紐づけてピンポイントでの広告投入を行っている企業の一つだ。

2018年に設立された同社は、現在までに売上高は2億元(約320億元)、ユーザー数は100万人を超えている。DAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)は2万人以上で、新規ユーザーも1日当たり2000人以上増加しており、総受注件数は64万件を超えている。

Seventy-two Mediaはこのほど、新規株式公開前のプレIPOで数千万元(約数億円)を調達し、上場コンサルティングを行う「緑専資本(Greenpro Capital )」と提携を結んだ。年内には目論見書を提出するとしている。

同社は政府、関連企業、ユーザーの3者を結び付けたビジネスソリューションを提案している。主な収入源は企業からの広告費、ディスペンサーでのペーパータオルの売り上げ、運営サービスおよびデジタルマーケティングサービスに関する売り上げで、それぞれの粗利益率は平均68.6%に達している。

「Seventy-two Media」のビジネスモデル

同社開発のペーパーディスペンサー「Soleme」は、ユーザーがQRコードをスキャンするとペーパータオルを約70cm取り出せ、1日2回まで利用できる仕組みになっている。これには公衆トイレのペーパータオルの無駄遣いを抑える狙いもある。このディスペンサーには、ハイビジョンの5Gスマート広告ディスプレーが搭載されており、広告主はディスプレー上に直接広告を流すことができる。ユーザーがディスプレー上のQRコードをスキャンすると、ECサイトの「京東(JD.com)」や「拼多多(Pinduoduo)」、「淘宝(タオバオ)」などにつながる。この他、自社開発のミニプログラムとアプリには動画、ゲーム、心理テストなどのコンテンツも入っている。

ディスペンサーの設計や設置箇所の選定、取り付けの他、広告投入も重要な競争力となっている。Seventy-two Mediaの広告投入システムはビッグデータを活用して各ディスペンサーの所在地やユーザー層の特徴などを正確に分析し、広告主に精度の高い広告投入戦略を提案している。また、広告主にはキャッチーな広告コピーの作成や宣伝活動のサポート、オンライン上での広告管理、データのフォローアップや設置箇所の最適化案なども提供している。

同社董事長兼CEOである向科鳴氏は「このペーパータオルディスペンサーは、公衆トイレのペーパータオルを不要な接触をせずに取り出すことができ、衛生的だ。設置した企業には広告収入も入るため、定着率も高められる。これまで必要だった広告看板の取付け費や電気料金、リース代金なども節約できるため、設置箇所が急速に増えている」とした上で、「中国国内19の省と自治区で、商業施設1087カ所、観光地527カ所、オフィスビル208カ所、住宅地498カ所、バス停89カ所、病院78カ所に設置済みだ」と述べた。

ペーパータオルディスペンサーの取り付けイメージ

市場開拓に関しては、一~二級都市向けにはディスプレー搭載ディスペンサーを、消費額が低い都市向けにはディスプレーなしのディスペンサーを展開している。都市部エリアのサービスセンターのネットワーク化を行い、市場拡大を図っている。現在は広東省深圳市、上海市、浙江省杭州市、四川省成都市のほか、広東省広州市、仏山市、福建省アモイ市、江西省南昌市、貴州省貴陽市などに都市運営センター35カ所を設置しており、向こう2~3年で地級市の90%以上をカバーする計画だという。

向科鳴氏によると、同社はすでに仏山市の「愛地球科技(LOVE EARTH)」と共同出資の形で「深圳無塑世界新材料科技有限公司」を設立している、今後は新会社で環境にやさしい製品づくりに取り組む方針で、現在は環境にやさしい新素材を用いたセンサー式のペーパータオルディスペンサーを開発中だという。

広告業界では現在、ビッグデータやスマートコンピューティングなどを活用して消費者の消費環境や行動、好みを分析し、ピンポイントでマーケティングを行うことが主要な流れとなっている。5G(第5世代移動通信システム)の普及もまた広告営業のインタラクティブな方法やコンテンツをより一層豊かなものとし、市場はより一層拡大するとみられる。

(翻訳:lumu)

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