「この世に不可能な商売はない」アリババが上場後初の営業赤字 利益を犠牲に転換迫られる

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中国IT大手アリババグループが13日、2021年(会計年度)の通期および第4四半期(2021年1〜3月)決算を発表した。

コロナ禍による負の影響を払拭し、同グループは今四半期、売上高ベースでは再び成長軌道に乗った。売上高は市場予想の1803億元(約3兆600億円)を上回り、前年同期比64%増の1874億元(約3兆1900億円)だった。また、グローバル市場における年間アクティブコンシューマー(過去12カ月以内に1回以上の取引を行ったユーザー)は10億人の大台に乗せた。

市場が注目する損益については著しく悪化した。中国当局に独禁法違反の罰金として182億元(約3100億円)を納めたことが重しとなり、同グループの今四半期の純損失は76億5400万元(約1300億円)に上った。上場以来初の営業赤字だ。

ただし、この罰金および若干の項目を除外した場合、純利益はNon-GAAP(非米国会計基準)ベースで262億1600万元(約4500億円)となる。それでも市場予想の296億元(約5000億円)を下回る数字だ。

決算発表後、アリババの株価は同日の取引開始前時点で3%以上、取引終了時で6%以上下げた。

進退きわまる苦境に立たされたアリババだが、関連当局や取引先企業の関心は、かつて「この世に不可能な商売はない」と豪語した同社の今後の身の振り方だ。

成長と引き換えに身を削る

アリババが叩き出す利益は並みいる競合から頭ひとつ抜けており、とりわけ上場後の純利益率は20%以上を保持してきた。今会計年度(2020年4月〜2021年3月)は新規事業や中核戦略事業の成長を目指して大胆な投資を行ってきたものの、調整後EBITDA(金利・税金・償却費控除前利益)は25%に達している。好調な利益は新規事業開拓や戦略投資に対するアリババの意欲の表れであり、主力事業であるEコマース事業に関連したエコシステムの確立にも寄与してきた。

しかし、競争環境や政策面の大きな変動により、従来の好調を維持することは難しくなった。

この1年、アリババは全四半期の財務報告書で「利益の一部を犠牲にしてより長期的な成長を目指す」としている。また、今四半期は販売・マーケティング費用が顕著に増えており、諸経費の13%を占めている。ライバルである「拼多多(Pinduoduo)」と激しく火花を散らした2018〜2020年の期間ですら10%以下に抑えていたにも関わらずだ。

アリババは今回初めて、「利益を犠牲に成長を目指す」目標についての詳細な説明を行った。決算発表後のカンファレンスコールで、武衛CFOは「アリババが今日に至っても利益を維持しようとするならば、長期投資家からは『愚かだ』との評価が下るだろう。多くのライバルが巨額の損失を度外視してでも重要分野に投資を行っている現在、我々の創出するバリューや我々の擁するリソースを投げ出さない理由などあろうか。我々は利益の増加あるいは維持を保証はできないが、我々が厳格なる紀律に基づいて投資を行っていることだけは保証できる」と述べた。

アリババは決算発表と同時に、新たな会計年度において、増分利益および増加資本の全額を出店企業の支援や新規事業、中核戦略にまわすと言明した。こうした方針は、同社が独禁法違反での処罰を受けて以降、管理当局や出店企業に対して打ち出したコミットメントにほかならない。

過去数年にわたりアリババがあり余る利益を享受してきたのに反し、同社へ出店する企業は複雑すぎるルール、不平等な集客支援、厳しすぎるKPI指標などに縛られ、その事業は苦しくなるばかりだった。しかし独禁法に係る当局の取締りが厳しさを増し続け、ECプラットフォーム各社も出店業者に対して手綱を緩めるよりほかなく、今後は自社のビジョンである「この世に不可能な商売はない」をどのように実現していくかがアリババの課題となっている。

アリババは1〜3月期以降、手数料の減額や集客支援、より豊富なツールの提供や出店基準の緩和など、出店業者を支援するさまざまな措置を進めている。
(翻訳・愛玉)

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