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3Dプリンティング技術の使用シーンはここ数年、日用品の生産にとどまらず、建築分野にも広がった。建築分野への応用は試験段階を経て本格的な商業化へと向かっている。
建築分野のコンクリート3Dプリンティング技術では、さまざまな原料を混ぜた高い靭性(破壊に対する抵抗の程度)と強度を持つコンクリートの材料を使い、特殊な3Dプリンターによって床、壁、天井を作ることができる。この技術は施工にかかる労働力を減らし、工期の短縮と施工中の事故減少にもつながる。
「RIC Technology」は中国から海外に進出する「スマート建設」企業で、ロボットのコンクリート3Dプリンティング技術を建設工事に応用し、現在は米国市場に目を向けている。
同社が使うコア技術は、清華大学の徐衛国教授を中心とする研究チームが開発したものだ。3Dプリンティング技術はすでに中国の大規模な商業施設や公共施設に広く応用されており、中国の建築業界で反響を呼んだ。
徐教授のチームは自動化された3Dプリンティング技術を「スマート建設」と定義し、労働集約的で比較的後れている建設工事の作業効率を上げ、労働環境を改善しようと考えた。中国でも米国でも建設工事は製造業に比べ、依然として多くの工程で人手を要するため作業に時間がかかり、作業員のリスクも高い。スマート建設はこれらの問題をほぼ解決し、自動化技術が作業の効率を上げるだけでなく、溶接や打設(コンクリートの流し込み)を人に代わって行うことで建設事故や作業リスクを減らせる。
スマート建設ではプロジェクトの初期に正確な予算を組むことができ、自動化技術が労働力に取って代わるため、工期の延長や施工費の予算超過など人的要因により生じる不確定な要素を減らせる。自動化された3Dプリンティング技術によって工期が明確になり、プロジェクトのコスト管理の水準が向上する。
同社の製品ラインは屋外家具、平屋住宅、大型の都市景観工作物の3つだ。新興の屋外消費市場に対応するため、中国でコンクリート3Dプリンティング技術をもとに住宅の庭や住宅街の公共空間に設置する花壇などの屋外工作物を設計した。こうした屋外工作物は成長が期待される新興市場となっている。
コンクリート3Dプリンティング技術を用いればモジュール設計による設備の柔軟性を生かして、小規模な低所得層向け住宅や宿泊施設を手軽に建てられる。大人2人が住める家を3~4日で作ることができ、地域で複製すればホームレスや生活困窮者を支援する住宅の提供も可能だ。
徐教授のチームが提供するスマート建設技術は造園や公共空間整備にも応用され、住宅の庭や都市の公園、大規模な商業施設で使われている。
スマート建設はさまざまな収益源をもたらしている。工期に関しては、プロジェクトの初期に建築設計のプランや実行可能性の評価を提供することで、顧客が建築物の商業的価値を認識し、プロジェクトの工期と必要な労働力を検討しやすくしている。同社は施工中、顧客に建設機材の販売やリースを行うほか、プロジェクトの規模や顧客の想定する工期に応じて購入を助言したり製品を提供したりする。
同社の社員はスマート建設業界の未来に期待を示し、「長期的には、人工知能を通じて自動化技術を建築分野に普及させ、デジタル建設技術により建築業界の生産力を強化することで、建築業界の高付加価値化を図り、建築産業に対する資本と技術の集約度を高めたい」と語った。
(翻訳・大谷晶洋)
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