ヒューマノイド熱狂の裏で危険現場を狙う——中国・Micbot、車輪型四足ロボットを年内に1000台出荷へ

強い磁場、爆発の危険、極寒——。人が近づきたがらない過酷な現場が、ロボット系スタートアップの主戦場になりつつある。

中国発のスマートロボットメーカー「具微科技(Micbot)」がこのほど、シリーズAの追加ラウンドで資金を調達したと発表した。浜州国有資本投資運営集団、魏橋創業集団、浜化集団(Befar)が出資をリードし、和達控股と徳諾資本(DNV Capital)も参加した。2026年の累計調達額は数億元(数十億円超)に達した。資金はコア技術の開発や特殊用途向けの大規模展開に使用される。

具微科技は2025年設立、車輪型四足ロボットの研究開発に注力している。25年は人型ロボット(ヒューマノイド)の大ブームが巻き起こったが、創業者で最高経営責任者(CEO)の王子煊氏、は他社とは異なるアプローチを選んだ。王氏は、移動型ロボットが本当に必要とされるのはオフィスではなく、本来人が入るべきではない危険で過酷な環境だと指摘する。中国にはこうした危険度の高い作業現場が2000万カ所以上あるとされる。

このような考えから具微科技は、「防磁、防爆、防凍、防水」という4つの機能に焦点を当て、強磁場、放射線、低酸素の高地、極寒や高温といった劣悪な環境を始め、石油・石化、電解アルミ製造、消防・緊急対応現場など、危険度の高い現場を想定した。

王氏によると、このような現場に関わる顧客企業は、採算性よりもまず安全性や社会的価値を考慮し、支払い能力が高く、新技術もけ入れやすいという。現時点で数億元(数十億円)規模の受注を抱えており、2026年にはロボット出荷台数が1000台を超え、売上高は数億元になると見込まれている。

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幅広ボディ+短い脚+車輪の組み合わせ

製品の設計も主流とは大きく異なる。従来の四足ロボットは一般的にスリムなボディに長い脚という構造だった。しかし連続して脚を持ち上げる動作はエネルギー消費が大きく、機械の摩耗も激しいことから、産業現場で求められる広範囲かつ長時間の作業には向いていない。

そこで同社は、幅広のボディと短い脚、さらに車輪を組み合わせることで、移動効率を高めつつあらゆる地形に対応できるようにした。高い強度を誇る構造と自社開発の関節モーターにより、動的耐荷重を200キロ、静的耐荷重を400キロと、業界平均の5倍以上の水準にした。電気自動車(EV)のエネルギー回収システムや液冷技術なども取り入れ、連続稼働時間は実測で無負荷時12時間、負荷時8時間と、業界水準を大きく上回るという。

また、制御から認知・判断までを一体化したシステムも開発し、遠隔操作なしで自律的に追従したり障害物を乗り越えたりできる。3次元環境でも、地図データや遠隔操作に頼らない自律航行を実現したとしている。

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出資者がそのまま顧客に

今回の出資者の顔ぶれには強い戦略性が見て取れる。魏橋創業集団が傘下で手がけるアルミ電解事業は、高い磁場耐性や耐干渉性を持つ特殊作業ロボットへのニーズが極めて高い。浜化集団の化学品製造現場は火災や爆発のリスクが高いため、防爆ロボットをそのまま導入できる。出資者がそのまま顧客になる構造により、同社は早期から安定した受注を確保した。

このほか、パートナー企業と協力してロボット関節モジュールの主要部品や電気接続コンポーネントなどを開発し、ハードウェアのサプライチェーン整備も進める。

特殊産業の現場への参入障壁は極めて高い。同社はすでに、AIロボットの耐圧防爆構造と安全増防爆構造を組み合わせた複合防爆認証を取得した。さらに国際防爆認証(IECEx)をはじめ、EUや米国、中国の防爆認証を年内に取得する計画だ。

具微科技は2026年下期に複数ロボットによる協調作業の実現を目指し、27年末には無故障の稼働時間を1万時間以上に延ばす計画だ。外部開発者向けのロボットアプリストアの開設も進める。特殊作業現場の開拓を続け、技術が成熟した段階で生活サービス分野にも広げる考えだという。

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*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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