3Dプリンターで安価なインプラント治療を。米国から事業拡大の中国発ベンチャー、1億ドルを調達

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3Dプリンターで安価なインプラント治療を。米国から事業拡大の中国発ベンチャー、1億ドルを調達

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歯科用3Dプリンターの世界市場は2021年に約35億ドル(約5200億円)規模となり、年平均成長率(CAGR)を15%とした場合、25年には66億ドル(約9800億円)規模に達する見込みだと調査会社SmarTechの調べでわかった。

将来有望なこの市場で、口腔医療のデジタル化を手掛ける「SprintRay」はこのほど、シリーズDで1億ドル(約150億円)を超える資金を調達した。ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)がリードインベスターを務め、毅恒資本(Yiheng Capital)と衆為資本(ZWC Partners)なども出資に参加した。

親会社の「迅実科技」は13年に浙江省紹興市で設立された中国企業だ。設立当初は3Dプリント技術の研究開発を行い、現在ではチェアサイド(歯科医が診療現場で行う診察や治療など)のデジタル化ソリューションを口腔医療機関向けに提供する。700人ほどの従業員のうち約35%を研究開発スタッフが占め、中国国内のほか米国や欧州などに拠点がある。

歯科分野に着目、米国からスタート

迅実科技の共同創業者の金良CEOと張靖CTOは創業当初、3Dプリンティング技術をジュエリーや金型、フィギュアなどに応用しようとしたが、いずれも技術を最も活かすことができる分野とは言えなかった。そこで医療分野に目をつけ、最終的に歯科に取り組むことにした。ただし、3Dプリンティング技術はまず最先端分野で利用されることが想定される。一方、歯科は長い歴史を持つ分野だ。そこで、同社は歯科の最先端市場である米国に目をつけ、まず米国で事業を展開することを決めた。歯科と米国、この二つが同社に成功をもたらした重要な決断だ。

子会社のSprintRayが16年に米国に進出した際、歯科業界では1割程度が口腔内スキャンを導入しており、これが3Dプリンティング技術を市場で広める下地になった。米国の歯科医師は新しいものを試そうという意識が高い。同質化競争が深刻化している状況で、従来のように型取りして歯科技工所に送り技工物を作成するという流れに比べ、3Dプリンティング技術を使えば大幅にコストを削減し、半月必要だった作成時間も2〜3時間にまで短縮できる。米国の歯科医師たちはコストを削減、効率を向上させて歯科医院の機能性を高め、患者の評判を呼ぶために3Dプリンティング技術を導入した。

SprintRayの3Dプリンターは現在アメリカで1万台以上導入され、市場シェアは50%を超えている。張CTOによると、競争を勝ち抜くカギとなったのは、同社が単に3Dプリンターを提供するだけでなく、便利なワンストップのデジタル化ソリューションを提案したことだという。

歯科技工物作成のワンストップサービス

SprintRayは口腔のスキャンから始まり、データを処理・最適化して適切なデザインを直接3Dプリンターに伝達し、プリントして洗浄や硬化など後処理を施して最終製品に仕上げるという、歯科医師がチェアサイドで必要な技工物を作成するまでのフローを構築した。張CTOによると、スキャナーや3Dプリンター、洗浄機、硬化装置など同社のデバイスはいずれもクラウドで連携しており、完璧なエコシステムを構築している。

SprintRayの製品群

これまでの歯科技術では、全ての歯をインプラントにするには費用が数十万元(数百万円)にもなったが、3Dプリンターと新素材の進化でコストは大幅に抑えられるようになった。手の届かない高額というわけではなく、中国の患者にも負担可能なため、後に交換することも可能だと張CTOは語る。

3Dプリンター用新素材「OnX」

また、効率を上げるため、同社はデザイン作業の一部にAIを利用する試みを進めている。インプラントに必要とされる各種のガイドプレートを作るには、歯科医師がスキャニングし、歯科用コーンビーム(CBCT)などの基礎的データを取得して、それに合った3D模型を作成する必要があるが、この一部をAIに代替させることを目指す。現在、インプラント用ガイドプレート、就寝時のマウスピースなどのスマートデザインについては、医師は基本的にデザイン案を見て判断、確定するだけでよく、業務量が大幅に削減された。

中国の口腔医療市場について金CEOは、18年ごろの米国の状況と似ており、高いポテンシャルを秘め、今後成長する市場だと考えている。中国では上海交通大学医学院付属第九人民医院や北京大学口腔医院など公立病院にも顧客を拡大しており、北米や欧州、中国以外にもオーストラリア、日本、インド、中東などへの進出を検討している。
(翻訳・36Kr Japan編集部)

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