テック系食品企業初、オンライン販売のお菓子メーカー「三只松鼠」が深圳創業板上場

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

テック系食品企業初、オンライン販売のお菓子メーカー「三只松鼠」が深圳創業板上場

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

オンライン販売に特化した食品ブランド「三只松鼠(Three Squirrels)」が7月12日、深圳証券取引所の新興企業向け市場「創業板(チャイネクスト)」に上場した。

公開株数は4100万株、公開価格は14.68元(約230円)で、発行済株数は4億100万株。上場初日の最高値は公開価格を44.01%上回る21.14元(約330円)で、時価総額は84億7700万元(約1300億円)に達した。テック系食品企業としては初の創業板上場となった。

二転三転した上場劇

創業7年となる三只松鼠は、ナッツ、ドライフルーツなどのドライフードを中心とした菓子メーカー。取り扱う商品は12品目、約500SKUに上る。当初はオンラインのみで販売していたが、現在は主要販路のEコマースに加えて、直営店を80店舗以上展開するほか、出店支援プラットフォームを通じて80店舗以上を開業させている。さらに、アリババの小売店向け経営支援プラットフォーム「阿里零售通」などを活用し、オフライン市場を開拓している。

2012年6月のローンチ以来、同社は破竹の勢いで成長を続けてきた。最初の半年で売上高3000万元(約4億7000万円)を達成、同年11月の「独身の日(中国Eコマース業界を挙げた大セール)」ではEC大手「天猫(Tmall)」に出店し、766万元(約1億2000万円)を売り上げて食品部門で1位の成績を残した。その後、2016年まで5年連続で1位を維持している。

同社の売上高は、2014年から2016年にかけて9億2400万元(約145億円)、20億3900万元(約320億円)、44億800万元(約690億円)と倍々ゲームで拡大している。2018年には70億元(約1100億円)の大台に乗った。

一方で、同社はこれまでに2回、上場を断念した経緯がある。2017年3月に中国証券監督管理委員会(証監会)へIPO目論見書を提出したが、同年10月には「内部事情で」自ら上場審査を取り下げた。目論見書を更新して再度上場を試みるも、12月には証監会によって上場申請を取り消されてしまう。その発端となったのは、関連当局から商品の品質問題を指摘されたことだとも言われている。

最終的には今年5月にIPO申請が承認され、今回の上場に至った。これまで同社に出資してきたIDGキャピタル、今日資本(CAPITAL TODAY)、峰瑞資本(FREES FUND)などは同社の上場によって大きなリターンを得た。シリーズAの投資倍率は300倍以上、シリーズDの投資倍率は数倍に達している。

圧倒的シェア握る企業は不在

中国のお菓子業界は急速に成長している。商務部流通産業促進センターが発表した統計によると、2006年から2016年の10年間で、その総生産高は4240億3600万元(約6兆7000億円)から2兆2156億4000万元(約35兆4500億円)へ伸びている。年平均成長率は17.98%で、今年の総生産高は2兆5000億元(約39兆3000億円)に達すると見られている。こうした中、三只松鼠の創始者兼CEO章燎原氏は、同社の今年の売上高を100億元(約1600億円)以上と見積もっている。

しかし、三只松鼠ほどの成功企業でも、市場に占めるシェアは実は1%に満たない。それほどシェアが分散しているのだ。各企業の販路もそれぞれ異なり、オンラインを主力とするもの、オフラインを主力とするもの、直営店を主力とするもの、フランチャイズを拡大中のもの、オンラインを強化中のもの、さまざまだ。いずれにしろ、オンライン・オフラインの双方で大きなシェアを占める企業は現われていない。

オンラインから出発した三只松鼠の場合、Eコマースの伸びに陰りが見え始めてからはオフライン販路の開拓に注力している。IPO目論見書にも、「上場後2年以内に、二~三級都市を中心に100店舗を開業する」と記している。

章CEOは、オンラインとオフラインでは販路開拓のアプローチが異なると語る。オンラインでは豊富な商品ラインナップを展開しているが、実際には売れ筋商品ばかりが集中的に売れていくという。売れ筋商品の利益率は低いため、企業にとっては収益化が比較的難しい。その背景にあるのは苛烈な価格競争だ。将来的には小規模企業の収益化はより一層難度が高くなる。ただし、いち早く大規模化に成功した企業には勝機があると同氏はみている。

一方、オフラインで商品が売れる仕組みは全く異なり、特定の商品だけが突出して売れるという現象はみられない。章CEOは「これまで3年間ずっと模索を続けてきたが、オフラインでの販売スキームはまだ見えてこない」とこぼす。オフライン経由の今年の売上高は4~5億元(約60億~80億円)と推算しているが、来年にはサプライチェーンやバリューチェーンの見直しを図るという。(翻訳・愛玉)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録