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夏はプールや海で泳ぐには絶好の季節だ。水泳は健康的な運動であるとはいえ、水泳中の溺水による死亡のニュースが例年後を絶たない。WHOの報告では、世界の溺水による年間死亡者数は37万2000人で、中国の最新データによるとそのうちの6万3000人は中国での事故であり、状況はこの10年間改善されていないという。
溺水を防ぐために多くのプールではライフセーバーを配置しているが、問題なのは資格を有するライフセーバーの深刻な人材不足やライフセーバーの注意が行き届かなかったために事故の発見が遅れ、救助が遅れることなどであり、事故の発生を未然に防ぐことは容易ではない。
こうした問題を解決するべく、近年は溺水防止グッズが市場に出回っているが、その多くは溺れた人が自ら手動で空気を充填できるようになっている「溺水防止用浮き袋」で、水中で危険が生じた時には役立つが、現段階ではあまり普及していない。溺水の防止に力を入れているテック企業の「浅水科技(Seenwater Technology)」は危険を速やかに察知することに重点を置いた溺水警告デバイスを提供している。
浅水科技の創業者・韓怡氏によると、大半の溺水事故は救援が難しいわけではない。問題は、直ちに発見されないことだという。ライフセーバーを例に挙げると、彼らの勤務時間の大半は監視に費やされ、実際に水の中に入って救助を行うことはあまりない。プールに配置されるライフセーバーは人数や質の点で差があり、また彼らはプール内の死角や光の屈折などにより疲労を感じやすく、ミスを犯しやすい。子どもたちがプールに来るときは家族が付き添っているとはいえ、彼らにも注意が散漫になる瞬間はある。
それゆえ、韓怡氏は事故の発生を防ぐという方面で、溺水のリスクを事前に感知することが極めて重要と見ている。海外では10年以上も前から水中カメラなどによって安全を監視するシステムが導入されている。たとえばフランスの「Poseidon」は、水中カメラなどによって溺れている人を検出し、監視モニターや警告音で通知する。同システムはすでに約100件の救助例を有するという。
浅水科技は、消費者向けのウェアラブルアラーム装置「浅水小白」に加えて、業者向けにプール監視システム「泳池神眼」を自社開発した。
具体的な商品形態として、浅水小白は子ども用ウェアラブルスマート端末(水泳用ゴーグルや水泳帽に装着可)で、さまざまな溺水のシーンを識別することができ、圧力値や信号によって状況を伝送して、装着者が規則的に水面から顔を出して息継ぎをしているかを推測し、危険な場合はライフセーバーや監視員に光とアラームで警報を出す。韓氏によると、浅水小白は主に無線伝送技術と溺水関連のアルゴリズムをベースにしたもので、これまでに試行錯誤を繰り返して水中から水上への信号伝送の問題を解決し、一般的な大きさのプールで最も遠い距離でも作動可能だという。
泳池神眼はコンピュータービジョン技術をベースにしており、中核技術は水中の物体識別および行動予測アルゴリズムだ。同製品はすでにISO規格に従って何度もテスト(マネキンを使用)が実施されており、アルゴリズムの訓練も行われている。
すでに何度もテストを重ねている浅水小白について、クラウドファンディングあるいは資金調達を行ってから発売したいと韓氏は考えており、価格は1000元(約1万6000円以内)以内に抑える予定だという。業者向けプール監視システムの泳池神眼はまだ開発段階だ。今後、同社は「水泳関連の安全サービス(商品と安全サービス)」を提供することで利益を上げることを考えている。
現在、浅水科技は今後2年間の事業発展に向けて、エンジェルラウンドで300万元(約4800万円)の資金調達を計画している。
(翻訳・虎野)
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