勢い増す中国産チップ、NVIDIAやTIを猛追。上海モーターショーで鮮明に

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中国・上海市で4月に開催された上海モーターショー(第20回上海国際自動車工業展覧会)は、さながら中国国産チップのオンステージだった。

車載チップを開発する中国企業の地平線機器人(Horizon Robotics)、黒芝麻智能(Black Sesame Technologies)、芯馳科技(SemiDrive)などが急速に存在感を増し、NVIDIAやテキサス・インスツルメンツ(TI)、モービルアイなど海外メーカーへの攻勢を強めている。

高性能国産チップが台頭

自動運転車用の高性能チップ市場で、最初に量産にこぎ着けたのはNVIDIAの「Orin」だ。中国の新興EVメーカー蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(XPeng Motors)、理想汽車(Li Auto)の3社はいずれもこのチップを採用してきた。BYD(比亜迪)も一部の車種で採用しており、高級車ブランド「仰望(YangWang)」のオフロードSUV「U8」に「Orin-X」を搭載している。

今回のモーターショーで発表されたNIOの新型「ES6」はOrin-Xを4つ搭載しており、小鵬「G6」もOrin-Xが搭載されると目されている。

EV市場で版図を広げるNVIDIAだが、そのすぐ後を追うライバルがいる。地平線機器人の車載チップ「Journey5」(以下、J5)だ。

現在のところ、理想汽車がNVIDIA Orin-XとJ5の2種類のチップソリューションを採用している。蔚来汽車の車両はNVIDIA製チップを採用しているものの、同社のサブブランド「ALPS(阿爾卑斯)」は搭載チップにJ5を指定したことを、地平線の余凱CEOが明らかにしている。新興ブランド哪吒汽車(Neta)も今回のモーターショーで、J5をベースに高度な運転支援機能NOA(Navigate On Autopilot)を構築し、その最初のモデルを2024年に量産すると発表した。

地平線J5が狙うのは新興メーカーだけではない。大手ではBYDのサプライチェーンにも参入することとなった。モーターショーではBYDと地平線が共同で、J5チップをベースにしたピュアEV用センサーフュージョン・ソリューションを年内に量産すると発表した。

高度な演算性能を持つチップの中で、J5がNVIDIA Orinに対抗できる重要な存在となっていることは間違いない。これまでに地平線が公表したチップの出荷数は累計300万枚に達している。

黒芝麻智能も、新エネルギー車ブランドの間で引く手あまたとなっている。

上海モーターショーでは、黒芝麻智能の車載チップ「A1000」搭載車として、広州汽車の出資する「合創汽車(Hycan)」のフラッグシップMPV「V09」、東風汽車集団のEVブランド「eπ」のモデルが発表されたほか、吉利汽車傘下の高級EV「領克08(LYNK&CO 08)」にはA1000デュアル搭載のスマートドライビングソリューションが採用されるという。

地平線「J6」や黒芝麻智能「A2000」、さらに寒武紀(Cambricon)や輝羲智能(Huixi Technology)などの高性能チップも開発が進んでいる。なかでも、輝羲智能が手がけているチップは最低でも性能が200TOPS、上位モデルは400TOPSに達する見込みで、最初のチップは年内にもテープアウトが期待されている。

高性能チップ市場で新勢力が着々と力を付けるなか、ローエンドチップ市場ではすでに火花を散らした激戦が繰り広げられている。

ローエンド市場で大躍進

数百TOPSの演算性能を誇る高性能チップに対し、中国の自動車メーカーのニーズは十数TOPSのローエンドチップが大部分を占める。中国メーカーの売れ筋車種はほとんどが20万元(約400万円)以下だからだ。

ローエンドチップ市場では、初期に多くの中国メーカーがモービルアイの「EyeQ」シリーズを採用した。現在はテキサス・インスツルメンツの「TDA4」を選ぶメーカーが多い。

低価格のミッドサイズクーペ「哪吒S」やミッドサイズSUV「嵐図(Voyah)Free」はいずれもTDA4を搭載している。

ただコスト競争に関して分があるのは国産チップメーカーだ。地平線「J3」、黒芝麻智能「A1000L」、芯馳「V9P」といった国産チップが、TDA4のシェアを着実に奪いつつある。

特に目覚ましいのが地平線J3だ。上海モーターショーで発表されたスポーツカー「哪吒GT」はJ3のデュアル構成で、「200万元(約4000万円)以下で最高のスポーツカー」をうたっている。

地平線J3は運転・駐車支援システムのコストを極限まで引き下げている。少し前に、黒芝麻智能は自社製A1000チップを使って、運転・駐車支援システムのドメインコントローラーのコストを3000元(約6万円)以内に抑えることができると発表した。しかし、地平線J3をベースにしたドメインコントローラーはさらにコストを圧縮し、1500元(約3万円)にまで下げることに成功した。

現在、自動運転技術を手がけるFreetech(福瑞泰克)、MINIEYE(佑駕創新)、四維図新(NavInfo)、禾多科技(HoloMatic)など多くの中国企業が、地平線J3をベースとしたスマートドライビングソリューションを手がけている。なかでもFreetechは、地平線J3とTDA4を採用したスマートドライビングプラットフォームを打ち出し、センサー・ドメインコントローラー・アルゴリズムを全て含んで「3000元以下」を実現した。

ローエンドチップ市場では、芯馳科技や寒武紀といったダークホースも登場している。芯馳科技が開発した自動運転用チップ「V9P」は、衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシスト、パーキングアシストなどの機能をシングルチップで実現できるほか、ドライブレコーダーと360度サラウンドビューを統合することもできる。

寒武紀の自動運転レベル2+向けチップ「SD5223」は、演算性能16TOPSで、8Mインテリジェントフロントビューカメラ、5V5R(カメラとイメージングレーダーを5個ずつ使用)、10V10R(同10個ずつ使用)の3タイプに対応している。5V5R方式はシングルチップで運転・駐車支援機能を実現したほか、自然放熱を利用でき、10万~15万元(約200万~300万円)のエントリーモデルにも自動運転システムを搭載できるようにした。同社は演算性能が400TOPSを超える自動運転レベル4向け高性能チップも手がけている。

作者:WeChat公式アカウント「HiEV車研所(ID:XEVLab)」・張祥威

(翻訳・畠中裕子)

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