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男性向けにファッションを提案する定期購入型EC「錦衣盒(JINYIHE)」を運営する「錦衣盒網絡科技(Jinyi Box Network Technology)」が、エンジェルラウンドで500万元(約7400万円)を調達した。出資者は「勁邦資本(JBC)」。同社は昨年もシードラウンドで個人投資家から300万元(約4400万円)を調達している。
錦衣盒は昨年11月に正式ローンチされた男性向けファッションのサブスクリプションコマースだ。入会時に99元(約1460円)を支払えば、回数および期間は無制限で利用できる。顧客の体格やライフスタイル、好み、需要の変化などに応じたその時々の最適な商品6点が、コーディネートのアドバイス付きで配送される。顧客は実際に試着した後、気に入った商品だけを購入し、その他の商品は無料で返品できるシステムだ。
顧客が必要とする商品を定期的に自動配送してくれるサブスクリプションコマースは、中国では2015年ごろから盛り上がりをみせている。生花や生活消耗品、女性向けファッションなど取扱商品はさまざまだが、抜きんでて成功したプラットフォームはいまだ存在しない。錦衣盒の創業者・王宜林氏は起業に当たり、とくに重要なのは取り扱う商品の選定だと見定めた。
男性向けファッションを選んだ理由は三つある。一つ目は、男性が日々の装いに関して時間や手間をかけたがらない点だ。多くの男性は、わざわざ時間を割いてショッピングに出かけたり、コーディネートを研究したりすることを煩わしく感じる。二つ目は、男性はコストパフォーマンスを重視する点。三つ目は、男性はファッションに関して第三者のアドバイスを聞き入れやすい傾向があるという点だ。サブスクリプションコマースは、通常のショッピングにかかる時間や手間を省き、少ない予算で見栄えのする装いを実現できる。
また、中国の男性向けファッションブランドは中価格帯が主流で、美意識の高い若者向けのブランドは認知が広まっていない。錦衣盒ならば、こうしたブランドと顧客を引き合わせることができる。
サブスクリプションコマースのリピート率は、気候の変化や季節のイベントなど時間的要素と大きな関係がある。就職面接、デート、旅行などさまざまなTPOや、「痩せすぎ」「年齢より幼く見える」など容姿に関する悩みに応じて需要が発生し、変化していく。
多くのサブスクリプションコマースが自身を単なる「ショッピングサイト」と位置付け、顧客数や商品を物差しにして運営する中、錦衣盒は「顧客へのブランド認知」を中心に据え、安定したサービスと効率的な運営体制によって顧客のCVR(コンバージョン率)や定着率を高めている。モノではなくサービスを提供するというブランドを確立するのが狙いだ。
その核心を担う3つのプロセスが、データを基礎とした「集客」「サプライチェーン管理」「精密かつ適切な運営」だ。
集客には短編動画アプリTikTokを活用している。ブランド確立の糸口であり、顧客にブランドの精神を伝える窓口となっている。サプライチェーン管理に関しては、AIを導入した自社開発システムですべてのSKUを管理し、入荷時期と数量を決定して仕入れ部門に伝達している。また、ユーザーデータと購入履歴をもとに需要の変化を予測し、需要のピークが訪れる前に新商品の売れ行きを試すこともできる。こうして在庫を常時最高の状態で維持できるのだ。在庫総数に占める積送中在庫の割合は40%だという。
運営に関しては、個別あるいはシーン別の需要をAIが予測する。各ユーザーに細かなタグ付けを行い、嗜好や状況の変化を細かく把握するという。集客、サプライチェーン、運営のいずれにもAI技術が活用されているのだ。また、データを基盤にした運営は、顧客と商品のマッチング効率だけでなく、在庫回転率や広告効果の効率も上げてくれる。
錦衣盒の登録会員数は現在約5万人で、うち数千人が有料会員だ。GMV(流通総額)は現在、月50%のペースで成長しているという。
(翻訳・愛玉)
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