ナトリウムイオン電池のハードカーボン負極材、バイオマス由来で高性能と低コストを実現

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ナトリウムイオン電池のハードカーボン負極材、バイオマス由来で高性能と低コストを実現

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ナトリウムイオン電池のハードカーボン負極材を手がける中国スタートアップ企業の「容鈉新能源(Rongna New Energy)」は、シリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。23年で4回目の資金調達となる。孚能科技(Frasis Energy)系のベンチャーキャピタル(VC)・謹孚基金が主導し、基石資本(CoStone Capital)と既存株主の架橋資本(Bridge Capital)も出資に参加した。

2022年8月に設立された容鈉新能源は、高性能で低コストなバイオマス由来ハードカーボンを提供している。年産1万トンの前駆体生産ラインと年産2000トンのハードカーボン負極材生産ラインを建設し、大量出荷も実現したという。

ナトリウムイオン電池は低温環境に強く、レート特性や安全性に優れるなどの特長がある。原料は低コストで管理しやすく、量産も比較的容易なため、電動バイク、電動三輪車、低速車、蓄電システム、新エネルギー車などの用途で活用が期待されている。

同社の共同創業者・王憲氏によると、ナトリウムイオン電池はすでに市場に投入され、一定の販売量があるという。コストと量産化のボトルネックが改善されれば、ナトリウムイオン電池の市場は広がっていく可能性がある。

公開されている資料によると、ナトリウムイオン電池の部品コスト(BOMコスト)は1ワット時当たり、初期試験段階で約0.82元(約17円)、パイロット試験段階で0.76~0.82元(約16~17円)となっており、小ロット生産段階で0.49元(約10円)に下がり、最終的な理論コストは約0.29元(約6円)になる見込みだという。

新興産業研究機関の伊維智庫(EV Tank)は、今年の世界のナトリウムイオン電池出荷量が3ギガワット時(GWh)に迫り、2030年には347ギガワット時に達すると予測した。

2023~30年のナトリウムイオン電池・用途別予測出荷量(GWh)(画像は企業提供)

市場で現在主流のナトリウムイオン電池負極材のうち、ハードカーボンは豊富な資源、低コスト、高容量、安定性、無毒性、安全性によって最良の選択肢となっている。ハードカーボンの製造に関するさまざまな技術ロードマップの中で、バイオマス由来ハードカーボンは従来の黒鉛を量産するプロセスと似ており、その量産技術と設備が比較的成熟しているため、最も早く量産化を実現している。

こうした中、容鈉新能源もバイオマス由来ハードカーボン負極材を手がけることにした。同社はすでに高容量、高真密度、低コストで、粒径とレートの異なるハードカーボン負極材を複数発表している。今回出資した謹孚基金によると、同社の負極材「RN-C1」は試験レベルにおいて、1グラム当たりの容量と初回充放電効率でクラレの「クラノード Type2」をベンチマークとしており、200サイクル後の容量維持率が95%以上で業界トップレベルだという。

王氏は、顧客のナトリウムイオン電池メーカーと製品の改良を進めた結果、サイクル性能の改善、品質安定性の向上、ガス発生問題の解決、真密度の向上などにおいて大きな進展が見られたほか、一定量の受注を獲得したとしている。

容鈉新能源の製品一覧(画像は企業提供)

今後は原料や前駆体から製品に至る産業チェーンの構築と製造プロセスの最適化を通じて、ハードカーボン負極材の生産コストを減らしていけば、市場は大きく広がる可能性がある。

*2023年11月24日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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