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中国の新エネルギー車(NEV)メーカーは製品と理念をデンマークの人々に届けることに取り組んでいる。
電気自動車(EV)メーカー、小鵬汽車は体験型店舗を首都コペンハーゲンの都心部に構え、店内にはセダン「P7」と新型SUV(スポーツタイプ多目的車)「G9」の二つの主力モデルを並べる。リテールマーケティング部門マネージャーのマティアス・ハゲランド氏は新華社の取材に応じ、これまでは中国製EVの価格優位性が来店の主な理由だったとすると、今では中国製EVの全方位的な体験を実感することになっていると説明。本革を使用した高級感ある内装はデンマークの人々に強い印象を与え、試乗後は車の品質にも一層自信を持つようになるという。
現に「G9」に加え、EV大手の比亜迪(BYD)のコンパクトカー「海豚(ドルフィン)」が、独自動車大手のBMWのEVセダン「i5」やフォルクスワーゲン(VW)のEVセダン「ID・7」などの欧州ブランドとともにデンマークの「カー・オブ・ザ・イヤー2024」の最終候補に残った。
EVメーカーの上海蔚来汽車(NIO)も、小鵬汽車の体験型店舗に近い歩行者天国での旗艦店のオープン準備を急ピッチで進めている。ハゲランド氏は、複数の中国EVブランドが同時に海外進出を行うことで集積効果が生まれ、さらに大きなブランドの結集力と影響力を形成できるとの見解を示した。
モーターショーへの参加や直営店の出店、現地ディーラーとの提携などの形でデンマーク、北欧市場に進出する中国のEVメーカーが増え続けており、中には小鵬やNIOのような新興メーカーのほか、東風汽車集団のような古参メーカーも含まれる。
東風汽車傘下のハイエンド新エネ車ブランド「嵐図(VOYAH)」は今年10月、3車種をデンマークのEV見本市「eCar EXPO」で披露した。そのうち、「追光」シリーズは欧州初公開となり、業界関係者や消費者の視線を集めた。試乗を体験した来場者は「見た目が上品で内装も高級感にあふれている。車内空間もかなり広く、シートはヒーターやファン、マッサージなどの機能を備え、乗り心地が良い」と絶賛した。
自家用車に限らず、中国の電動バスも優れた品質とサービスを武器に「童話の王国」と呼ばれるデンマークで好評を博している。
デンマークでは至るところで、中国バス製造大手の宇通客車製とBYD製のバスが行き交う姿を見ることができる。現地の運転手によると、人々は従来の燃料車より静かな電動バスを利用することを好む。運営会社にとっても電動バスの購入・メンテナンスは長い目で見ればガソリン車より経済的だという。
同国の路線バス運営会社UMOVEのジョニー・ハンセン社長は「電動化の面では中国製がリードしている。さらに感銘を受けたのは中国側が常に耳を傾け、われわれが必要とする製品を生み出してくれる点だ」と語る。
EVを購入・利用するコストはガソリン車より安く、車種も増え続けていることから、デンマークではEV購入を選ぶ消費者がますます多くなっている。自動車輸入業者団体デ・ダンスク・ビリンポートラ―(DBI)によると、今年1~7月の同国のEV販売数は前年同期比2.1倍の約2万9700台だった。
北欧諸国ではEV関連施設の整備も進んでおり、ホテルの前や地下駐車場、道路脇、ガソリンスタンドなどで速やかに充電ポールを見つけることができる。ハゲラング氏は、充電施設の充実化がデンマークでのEVのさらなる発展を力強く支えていると説明した。(新華社コペンハーゲン)
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