世界で利用広がる再生プラスチック、独自のアプローチで急成長の中国企業に旭化成も投資

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

世界で利用広がる再生プラスチック、独自のアプローチで急成長の中国企業に旭化成も投資

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

環境に優しい再生プラスチックを手がける中国企業「上海睿莫環保新材料(Re-mall)」(以下、睿莫環保)がシリーズAで数千万元(数億円超)を調達した。武岳峰科創(SummitView Capital)と旭化成の中国投資会社が出資した。

睿莫環保は2015年に設立され、プラスチックのリサイクル技術の開発や環境に優しい再生プラスチックのソリューションに注力している。主力製品は、再生ポリプロピレン(R-PP)、再生ポリエチレン(R-PE)、再生ポリスチレン(R-PS)、再生ABS樹脂(R-ABS)という4種類の再生プラスチックで、すでに家庭用化学製品や玩具、繊維、自動車、包装材、日用品などさまざまな分野で活用されている。

世界でカーボンニュートラルに向けた取り組みが進むなか、環境に優しいエコ素材が二酸化炭素(CO2)の排出削減において重要な部分を占めるようになった。再生プラスチックとは、廃プラスチックを洗浄・選別したのち、粒状に加工したり化学的に分解したりして作られたプラスチックのことを指す。再生プラスチック産業は主に、廃プラスチックの回収、プラスチックのリサイクル、再生プラスチックの活用の3つの段階に分けられる。

睿莫環保はこのうちのリサイクルにフォーカスしている。廃プラスチックのリサイクル手法には、燃焼させてエネルギーを利用するサーマルリサイクル、化学的処理を施して原料にまで分解するケミカルリサイクル、熱で溶かして再製品化するマテリアルリサイクルなどがある。同社が採用しているのはマテリアルリサイクルだ。創業者の朱寛氏は、マテリアルリサイクルが現時点で最も成熟しており、CO2排出削減効果が高く、コストパフォーマンスに優れた技術だとし、新品と同等品質の再生プラスチックを生産するうえで経済的メリットが大きいと説明する。

マテリアルリサイクルで高品質の再生プラスチックペレットを得るためには、廃プラスチックの回収と選別が重要になってくる。睿莫環保は選別効率を高めるため、資源ごみの自動選別装置を開発する「弓葉科技(Databeyond Technology)」と協力して、フードデリバリー・テークアウト用使い捨てフードパックのAI自動選別装置を開発した。朱氏は「中国では基本的に手作業で選別しているが、明確な選別基準がなく、効率も低い」と指摘したうえで、「私たちが開発した業界初のPP製フードパック自動選別装置なら、選別に関わる課題を首尾良く解決できる」と話す。

中国発のスマートごみ分別装置、AIと光電子工学で高効率の識別を実現 日本でも投入

加工の段階では、技術改良や工程改善に取り組み、低炭素や品質向上の要件に合わせて生産の自動化と標準化を進め、再生プラスチックの品質を全面的に高めてきた。そして事前処理、洗浄、選別、造粒を集約したリサイクル工程を作り上げた。また、プラスチックのリサイクルにおけるCO2排出量を可視化するカーボンフットプリント・プラットフォームも提供している。同社の生産する高品質の再生プラスチックは、厳格な材料基準のある分野を含め、多くの業界で新たなサステナブル素材として活用が進んでいる。

青い海を取り戻す「For Blue(蔚藍)」計画

再生プラスチックの需要サイドでは、ネスレやペプシコ、コカ・コーラ、マース、ユニリーバなど1000以上の大企業や政府機関が、プラスチック削減に向けて世界的な目標を設定した「ニュープラスチックエコノミー・グローバルコミットメント」に署名している。コミットメントに署名した企業が使用するバージンプラスチックは、2021年にピークを迎えたと見られ、25年には20%近く減少すると予測されている。すでに国際社会では、プラスチック包装税や国境炭素税などの強制的措置を通じて再生プラスチックの利用を促す動きが始まっており、再生プラスチックの使用比率は増加の一途をたどっている。

睿莫環保が江西省に建設したフードパックのリサイクル生産ラインは、2022年に稼働を始めている。米国食品医薬品局(FDA)がその使用に対し異議のないことを示したオピニオンレター(No Objection Letter)を取得しており、すでに世界のハイエンド市場のほか日常消費財、スーパーマーケットチェーン、化学工業など大手企業のサプライチェーンに参入している。

(翻訳・畠中裕子)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録