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中国上海市のライブ配信スタジオでは、濃縮コーヒーやドリップコーヒーパック、コーヒーカプセル、コーヒー関連製品が机の上に所狭しと並び、「ライバー」と呼ばれる配信者が販売に熱を上げていた。
売られていたのは中国インスタントコーヒーブランド「永璞咖啡(YongPu Coffee)」の製品。共同創業者の郁曄氏によると、今回のライブ配信は平日の午後にもかかわらず1万5千人が視聴し、濃縮コーヒーは1秒に2杯分のペースで売り上げた。
これは発展著しい中国コーヒー市場の一つの縮図に過ぎない。中国には長い伝統を持つ茶文化や近年注目を集める「新茶飲」(ミルクティーやフルーツティー)がある一方、「舶来モノ」のコーヒーも人気を集め、世界に中国市場の包容力の高さと旺盛な需要を見せつけている。
経済情報メディア「第一財経」傘下のCBNData(第一財経商業データセンター)や上海交通大学文化イノベーション・青年発展研究院などが2023年5月の上海コーヒー文化ウィークに合わせて発表した「2023中国都市コーヒー発展リポート」によると、中国のコーヒー産業の規模は21年の1651億元(1元=約21円)から22年の2007億元に増え、25年には3693億元を見込む。
世界のコーヒー市場を調査、分析する英アレグラ・ワールド・コーヒー・ポータルが23年末に発表したリポートによると、中国のブランドコーヒーショップの店舗総数は直近1年でおよそ6割増えて5万店近くとなり、米国を抜いて世界最大の市場となった。
コーヒーショップは上海だけで8500店を超えており、コーヒーは人々の日常に溶け込みつつある。米コーヒーチェーン大手スターバックスは中国本土の店舗数が既に7000店を超え、25年までに9千店を目指す。同社や多くの国際コーヒーブランドにとって、中国は発展が最も速く、規模が最大の海外市場となっている。
スターバックスのラクスマン・ナラシムハン最高経営責任者(CEO)は23年5月の訪中時の取材で、上海は同社の店舗数が世界最多の都市となったが、上海さらには中国の人々の1人当たり年間消費杯数は増加の余地が大きいとし、これも中国市場に期待する理由だと語った。
外資系コーヒーブランドの多くは中国での増資や事業拡大を加速させている。イタリアのコーヒーブランド「ラバッツァ」は20年、中国でケンタッキーフライドチキン(KFC)やピザハットなどを展開する外食大手の百勝中国控股(ヤム・チャイナ・ホールディングス)と提携し、上海に中国1号店をオープン。米ブルーボトルコーヒーも22年に中国本土市場に進出し、上海市静安区の彭浦鎮に焙煎工場を立ち上げた。
中国食品産業アナリストの朱丹蓬氏は、長江デルタ地域(上海・江蘇・浙江・安徽1市3省)は経済活力が強く、消費需要も顕著に拡大していると指摘。外資系食品・飲料企業の投資拡大は中国経済に対する信頼の表れだと語った。(新華社上海)
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