中国「エンボディドAI」新興、新たに20億円調達。産業用ロボット開発でパナソニック関連会社と協力も

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エンボディドAIを開発する「小雨智造(Xiaoyu Zhizao)」がこのほど、シリーズAで北京信息産業発展投資基金から1億元(約20億円)を調達した。同社は2024年にエンジェルラウンドで中国スマートフォン大手のシャオミやロボット分野の著名研究者・王田苗教授などからも約1億元を調達しており、同規模で2度目の資金調達となった。

人型ロボットに投資家が熱目線。スマホ大手のシャオミ、ベンチャー企業にも初出資

小雨智造は2023年に設立した。製造業に向けた大規模言語モデル(LLM)搭載ロボットの開発に注力し、さまざまなタスクに対応できるロボット向け汎用AIの開発に取り組んでいる。創業者の喬忠良氏はシャオミの立ち上げメンバーで、同社のスマートデバイス向けOS「MIUI」の研究開発責任者を務めていた。また共同創業者の王文林氏は、シャオミのソフトウェアシステムプラットフォーム部のトップとしてAIの開発を主導した経験を持つ。中心メンバーはいずれも、シャオミやマイクロソフト、ファーウェイ(華為技術)、バイトダンス(字節跳動)など大手IT企業の出身だ。

小雨智造が開発したロボット向け汎用AI「Xiaoyu Brain」は、製造業でさまざまなタスクを実行するロボットの頭脳として機能する。さらに、高精度で、高いロバスト性と高度な汎化能力を備えた独自のロボット向けソリューションも作り上げた。

ソリューションの詳細は以下の通り:

・スマート検知と意思決定エンジン:動的解像度を持つ視覚タスク汎用モデルとマルチモーダルの意思決定モデルを開発、ロボットのナビゲーションでは5センチ単位、操作ではミリ単位の分解能を実現した。さらに、マルチモーダルモデルに基づいて高レイヤーでのタスクプランニングと意思決定をサポートすることで、複雑な環境におけるロボットの適応能力を向上させた。

・高度な運動制御技術:シミュレーションと深層強化学習に基づく高精度の運動制御モデルを開発した。ミリ単位の制御精度を実現し、細かな作業を行う際の安定性と正確性を確保、産業用ロボットの操作精度と信頼性を大幅に向上させた。

・動態リアルタイムクローズドループ制御:センシングと意思決定、リアルタイム制御を最適化したクローズドループ制御システムにより、ロボット操作における優れた適応能力と反応速度を実現、高効率で安定した動的作業を可能にした。

・スマートシステムアーキテクチャのモジュール化:モジュール設計を採用してロボットの速やかな導入と拡張をサポートし、異なるシーンにも臨機応変に対応することができる。このアーキテクチャによりシステムの保守が容易になり、拡張性が向上しただけでなく、新機能の開発と運用が簡素化された。

・自己学習と自己最適化能力:Xiaoyu Brainを搭載したロボットは自己学習と自己最適化能力を持ち、経験を蓄積し続けることで、自ら性能を高めタスク実行の効率を向上させることができる。この特性によりロボットは、複雑で変化の激しい製造業でも改善を続け、効率的な運用が可能になる。

小雨智造は2024年7月、パナソニックと唐山開元集団の合弁企業で溶接ロボットを開発する唐山松下産業機器と、産業用溶接ロボットをめぐり全面的に戦略協力することを発表した。両社はLLM技術を活用してスマート溶接ロボット市場を開拓し、使いやすく、効率的なスマート溶接ロボットの提供を目指す。また、建設機械分野でトップクラスの企業や構造設計の企業数社とも協力しているほか、航空宇宙分野や造船分野などの開拓も進めている。

今後10年間で、製造業へのLLM活用をさらに強化し、各分野のトップ企業と連携して業界の開発効率を向上させ、中国製造業のスマート化レベルを高めていくとした。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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