洗濯物を取り込み、部屋を移って家事。中国の人型ロボ、新AIで連続作業を披露【動画あり】

中国のフィジカルAIスタートアップ「西湖機器人(Westlake Robotics)」はこのほど、人型ロボット(ヒューマノイド)向け汎用AIモデル「WR1」の改良版を発表した。同モデルを搭載した人型ロボットが洗濯物の片付けのほか、キッチンなど複数の部屋を移動しながら家事をする様子を披露した。

これまで、人型ロボットが家事をスムーズにこなすのは難しいとされてきた。人間のために設計された空間に適応して一連の家事を実行するには、しゃがんだり体の向きを変えたりする必要がある上、衣類やシーツなど形を保ちにくい柔らかなものも扱わなければならないからだ。しかも、一般的な家事は連続する複数の作業から成るため、1つの作業に失敗すれば、タスク全体に影響が及んでしまう。

過去に公開された人型ロボットのデモンストレーションは、コップをつかんだりタオルを畳んだりといった単一の作業を披露するにとどまっており、多くのステップを要するタスクや作業環境が変化するケースでは、動作の連続性や安定性を確保するのが難しいことが見てとれた。

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改良版「WR1」搭載でスムーズな連続作業が可能に

西湖機器人が今回披露したデモンストレーションは主に2種類。洗濯物の片付けでは、人型ロボットが物干し竿からズボンを取り外し、腕にかける。弾みで隣にかかったTシャツの位置がずれてしまったが、周囲を確認しながら立ち位置を調整し、Tシャツの取り込みも終わらせた。その後、Tシャツの折り畳みはロボットアームに任せ、自身は向きを変えてテーブルの上にズボンを広げ、別の人型ロボットと協力して折り畳んでいく。

同社によると、これら一連の動作の制御に関して、人型ロボット向けAI「WR1」の性能は、米Figure AIの「Helix」を超えたという。

別のデモンストレーショでは、キッチン、リビング、寝室の3カ所にまたがる作業を披露した。ロボットは冷蔵庫からトウモロコシを取り出し、方向転換してエアフライヤーの前まで移動して、トウモロコシをバスケットに投入する。次に片膝をついてバスケットを手に取り、ソファーやテーブルの上に置かれたおもちゃを入れ、最後にベッドに移動して掛け布団を整えた。

同社の説明では、これら一連の作業は、途中で人間がリセットしたり作業を分割して指示を出したりすることなく実行できるという。ただし、今回はエアフライヤーのバスケットにトウモロコシを入れただけで、調理する段階には進んでいない。このデモンストレーションで主に示されたのは、複数の場所を移動しながら物品を扱う能力だ。

「大脳」と「小脳」の役割分担

西湖機器人が今回のデモンストレーションで示したのは、柔らかい物体への対応力、複数の場所にまたがる複雑なタスクを実行する能力、移動しながら作業できる能力の3つとなる。

人型ロボット向けAI「WR1」では、ロボットの判断や計画を担う「大脳」と動作を制御する「小脳」のそれぞれに事前学習を施すアーキテクチャを採用した。大脳は、世界モデルとVLA(視覚・言語・動作)モデルを統合したもので、視覚情報と自然言語による指令に基づいて、移動・姿勢・手元の操作という一連の操作を生成する。小脳となるのは、自社開発した汎用動作モデル「GAE(General Action Expert)」で、大規模な人間の動作データに基づいて訓練を施し、ロボットの全身の動作追従とバランス制御を担う。

長時間タスクの実行中に動作が途切れるのを防ぐため、WR1には動作状態の振り返り機能に加え、リアルタイムの動作分割メカニズムを導入した。ロボットがある動作を実行している間に、システムが次の動作を準備することで、途切れないスムーズな動きを実現する。GAEは、デモンストレーションデータの収集段階と自律実行段階において、同じ制御基盤を用いているため、訓練時と実際の作業時のズレが小さくなるのだという。

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実力が試されるのはこれから

西湖機器人は2024年1月、浙江省杭州市にある新型研究大学「西湖大学(Westlake University)」のAI・ロボット分野の研究成果を事業化するために設立された。汎用AIとロボットの全身運動制御システム、そしてロボット本体を並行して開発し、家庭向けや産業向け、特殊作業向けなどの製品を手がける。また、すでに数億元(数十億円)規模の資金調達を複数回実施している。

今回披露したデモンストレーション動画では、一連のタスクの実行回数や成功率は示されていない。それらのタスクを実際の家庭でも安定的に再現できるかどうかについては、今後の検証を待つ必要があるだろう。

*1元=約24円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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