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中国の電気自動車大手「BYD(比亜迪)」は、10月30日に開幕した「Japan Mobility Show 2025(旧東京モーターショー)」で、日本市場向けとしては初となるプラグインハイブリッド車(PHEV)「シーライオン6」を披露した。
BYDは2015年に日本で電気バス事業を開始して以降、これまでに約500台を納入し、国内シェアは約70%に達する。2023年1月には乗用車のBEV市場にも参入し、SUV「アット3(中国名:元PLUS)」、ハッチバック「ドルフィン(海豚)」、セダン「シール(海豹)」、SUV「シーライオン7(海獅07)」を順次投入。2025年10月時点の乗用車累計販売台数は7123台となった。
これまで一貫して日本での展開は純電動だったBYDだが、2024年頃からガソリンエンジンを搭載するPHEVの販売も検討中だと明らかにした。2025年1月には正式に日本でもPHEV車種を展開すると発表し、Japan Mobility Show 2025でついに第1弾モデルを発表した次第だ。


日本市場に投入される「シーライオン6」は、中国で「宋PLUS」として販売されるPHEVモデルの最新版。ボディサイズは全長4775 mm x 全幅1890 mm x 全高1670 mm、ホイールベース2765 mmで、既存のアット3よりも大きく、シーライオン7よりも少し小さいSUVだ。搭載パワートレインは仕向地によって異なり、例えば中国では1.5ℓ直列4気筒自然吸気エンジンに出力214 hp/トルク260 Nmのフロントモーターを組み合わせる一方、海外では自然吸気エンジン搭載のFWD(194 hp/300 Nm)とターボエンジン搭載のAWD(362 hp/550 Nm)を用意する。搭載バッテリーでも中国では容量12.9 kWh/18.3 kWh/26.6 kWhの3種類だが、海外仕様は18.3 kWh/26.6 kWhという違いもある。

シーライオン6は、海外展開における主力車種でもあり、欧州市場では「Seal U」、東南アジアやオセアニア市場では「SEALION 6」とさまざまな名称で販売されている。中国本土をはじめ、各市場ではBEVとPHEVの両モデルが投入されているが、今回日本向けに発表されたのは「DM-i」シリーズに属するPHEVモデルのみとなる。この度日本向けに発表されたのは「DM-i」の名を冠するPHEVモデルのみとなる。
また、Japan Mobility Show 2025の会場ではオーストラリア仕様のスペックが掲出されていることから、自然吸気エンジンのFWD(前輪駆動)モデルとターボエンジンを搭載したAWD(四輪駆動)モデルというラインナップで展開されることだろう。


純電動航続距離はそれぞれ92 kmと81 kmと記載されているため、容量18.3 kWhのバッテリーと見られるが、この辺りは正式発売までに変更される可能性もある。アット3も、競合である「ヒョンデ(旧・ヒュンダイ)」が販売する純電動SUV「コナ」もFWDのみであることを踏まえると、AWDの設定はかなりの強みになるに違いない。その他のスペックや価格といったすべての詳細は2025年12月1日の発売と同時に明かされる予定だ。
一方でBYDの担当者への取材により、日本仕様ならではの独自要素も明らかになった。基本的なボディやデザインは他市場と共通だが、日本仕様ではブラックホイールとなる。通常はシルバー仕上げだが、日本では表面処理の腐食を懸念する声が多く寄せられたことを受け、耐候性を考慮してブラックホイールを採用したという。

また、Japan Mobility Show 2025の開幕直前に発表されたSEALのアップデートモデルと同様に、足回りも日本の道路事情に合わせて独自のチューニングを施しているとのこと。
例えば、ヒョンデはこれまでSUV「コナ」とコンパクトEV「インスター」で足回りの日本専用チューニングをアピールしてきたものの、BYDはこれまでに同様の改良を行なっていなかった。それが今回、SEALに加えてシーライオン6で初めてこのような改良を実施したとのことで、日本市場へのコミットメントをあらわにした形だ。同時に発表した日本独自設計の軽規格BEV「ラッコ」とともに、ますます日本市場での展開を加速させていくことだろう。
シーライオン6は11月1日より先行予約を開始。予約はBYD公式ウェブサイトほか、全国各地の正規販売店、そしてJapan Mobility Show 2025(11月9日まで)の会場でも受け付ける予定だ。価格は現時点では公表されていないが、シーライオン7が495万円からという点を考慮すると、政府のCEV補助金を適用した実質的な購入価格は400万円前後になることを期待したい。
(文:中国車研究家 加藤ヒロト)
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