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中国の新エネルギー車(NEV)メーカーが次なる成長を目指し海外戦略を加速させている。最近はとくに日本市場や韓国市場での動きが活発だ。
電気自動車(EV)最大手の「BYD(比亜迪)」は、2023年1月に日本で乗用車EVを発売してから、ずっと注目を集め続けている。今年秋には、日本市場専用の軽EV「ラッコ」を発表。その後、初のプラグインハイブリッド車(PHEV)のスポーツタイプ多目的車(SUV)「シーライオン6」も発売し、400万円を切る価格で再び業界に衝撃を与えた。こうした動きは、BYDの日本戦略が大きな転換点を迎えていることを表している。
BYDは日本市場向けの戦略として、製品ラインアップをさらに充実させ、2027年までに7~8車種のEVやPHEVを展開する計画だ。
また、中国自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)傘下の高級EVメーカー「極氪科技(ZEEKR)」は、2026年にも大型EVミニバン「ZEEKR 009」の販売を開始する。商用EV関連事業を展開する京都のフォロフライが独自に輸入して販売する形となる。販売価格は1400万円程度、法人の役員車や富裕層インバウンド(訪日客)の送迎・ハイヤー用途など、いわゆるB2B市場を中心に据えており、トヨタ自動車の「アルファード」「ヴェルファイア」やレクサス「LM」と競合する構図になるという。
小間裕康社長は「すでに数十台の予約が入っており、企業経営者や富裕層からの引き合いが強い。年間1000台規模の販売を目指す」と明らかにした。
中国EVミニバン「ZEEKR 009」が日本上陸、社長車や富裕層インバウンドに照準 フォロフライ1300万円から輸入で提供
一方、韓国市場についてBYDは2025年1月に、SUV「ATTO 3(アットスリー)」、セダン「シール」、クロスオーバーSUV「シーライオン 7」の3車種を投入することを発表した。ATTO 3はすでに販売が開始され、補助金適用前の価格は3150万ウォン(約330万円)から、補助金を適用すると3000万ウォン(約320万円)以下になる。韓国輸入自動車協会(KAIDA)によると、今年4月のATTO3の新規登録台数は543台で、米テスラの「モデルYロングレンジ」を上回り輸入EVの車種別新規登録数でトップとなった。
BYDの新規登録台数はその後も毎月平均200台前後で推移し、8月までの累計は1578台となり、輸入自動車ブランドで14位になった。年間販売台数は5000台近くになると予測されている。
BYDに続き、ZEEKRも韓国市場に狙いを定める。ZEEKRは11月28日に浙江省杭州市の本社で、韓国の自動車販売会社4社、H Mobility ZK、Iron EV、KCC Mobility、JK Mobilityと新エネ車販売についての契約を締結した。BYDがコスパの良さを売りにするのとは異なり、ZEEKRは明確に高級車市場をターゲットにしている。4社の親会社は、ドイツ自動車大手のアウディやメルセデス・ベンツといった高級車を長年取り扱っている。
ZEEKRが韓国で最初に投入するのは中型SUV「7X」だ。韓国・現代自動車(Hyundai Motor)の「IONIQ 5」や、同社傘下の起亜(KIA)の「EV6」と競合する車種で、ゆとりのあるボディや高級感あふれる内装、高性能バッテリーシステムでファミリー向けSUV市場を狙う。それに続いて「007」や「X」も投入するとみられている。
早ければ2026年1-3月期に韓国での事業展開に道筋をつけ、提携する販売会社のネットワークを使い、ソウルおよび首都圏にショールームを設ける。
このほか、小鵬汽車(Xpeng Motors)も2026年に韓国で中型SUV「G6」の発売を計画している。
中国の自動車メーカーにとって、米国と欧州は輸出のハードルが高い。米国は中国の新エネ車に対して100%の追加関税を課し、欧州でも追加関税は最大で45.3%になる。こうした状況を背景に、日本と韓国は、なんとしても手に入れたい市場と考えられているのだ。
とはいえ日本と韓国では自国ブランドが強く、市場も閉鎖的なうえ、中国ブランドはなかなか消費者に受け入れられない。そのため両国の市場は最も攻略が難しいとされている。EV普及率や政策支援、ブランドへのロイヤリティのいずれも欧米とは大きく異なっており、中国ブランドが短期間に成功するのは並大抵のことではない。
(翻訳・編集:36 Kr Japan編集部)
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