GPUの異常を先読み AIデータセンター向け「電流監視チップ」、中国新興が開発

計算インフラ向けに電流・電力監視ソリューションを開発する中国企業「芯感通科技」はこのほど、エンジェルラウンドで聯想之星(Legend Star)と険峰(K2VC)から数千万元(数億円)を調達した。資金は半導体チップの開発・改良、製品検証、市場開拓に充てられる。

AIモデルの学習が大規模化するのに伴い、GPUの消費電力も増加の一途をたどっており、データセンターの電力供給や放熱、エネルギー管理が新たな課題として浮上している。また、宇宙コンピューティングや軌道上データセンターといった新たな分野では、電力監視やシステムの安定性に一段と高い水準が求められるようになっている。

こうしたなか、芯感通は計算インフラのなかでも特に重要性が増している電流および空間磁場センシングに照準を定めた。AIサーバーやデータセンターの電力供給状況をリアルタイムに監視し、電力制御や放熱制御、エネルギー効率の最適化に必要なデータ基盤の提供を目指す。

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多くの場合、AIモデルの学習には数週間から数カ月を要する。電力供給の異常や局所的な過負荷によってサーバーが停止すれば、計算リソースを無駄に使うことになり、学習プロセス全体の進行にも影響が及ぶ。これまでは障害が発生してから原因を調べるケースがほとんどだったが、芯感通はセンシング機能を基板レベルに組み込み、電流の変動が生じた時点でアラートを発する仕組みを目指す。さらに、システムを連動させてGPUの負荷や電力供給、放熱を動的に調整することで、障害の発生率を抑え、AIモデルの安定した学習を支える考えだ。

共同創業者の張乃川氏によると、現在は基板、モジュール、バスの電流をそれぞれ異なるタイプのセンサーで監視する手法が一般的だという。この方法でも電流の監視は可能だが、センサーごとに精度や測定範囲、出力方式が異なるため、データの統合が難しく、データセンター全体を統合的に制御することはできない。

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芯感通はチップ技術を使ってこの課題を解決しようとしている。

通常、電流や磁場の測定にはフラックスゲート式センサーが使用される。同社はこのセンサーを小型化し、MEMS(微小電気機械システム)や3Dパッケージング、オンチップアルゴリズムなどの技術を駆使することで、これまで専用の装置が必要だった高精度の磁場測定機能をチップに統合。高い測定精度を保ちつつ、小型化、高集積化、デジタル出力を実現した。同社初のフラックスゲート式チップはすでにテープアウト(設計完了)を終えており、精度は1nT(ナノテスラ)、直線性は0.5‰(パーミル)に達している。

テープアウトに成功した芯感通のフラックスゲート式チップ「PerMAG3001」の櫛歯構造

芯感通はセンサー単体を扱う企業とは異なり、システム全体としての価値を提供することに重きを置いている。チップ、ASIC(特定用途向け集積回路)、システムプラットフォーム、AIデータセンター管理ソフトまでをカバーする総合的な技術体系を構築し、サーバー、ラック、データセンターの各階層にまたがる電流や電力データを一元的に収集できるようにした。

これらのデータを一元管理することで、ラックの負荷やモジュールの電力消費といった稼働状況をリアルタイムに把握できるようになる。電力供給や液冷システム、GPUリソースなどを自動調整することで、エネルギー消費の最適化とスマート運用が実現する。

目下、AIデータセンターの電流検査装置を中心に商用化を進めている。サーバーメーカーや完成品メーカーでは製品の採用に時間がかかるため、2026年は顧客による製品検証とソリューション導入をメインに行い、27年から小規模出荷を開始して、徐々に売上高の拡大を図る。本格導入の段階に入れば、顧客1社当たりの導入規模や継続的な調達規模は他の用途を大きく上回るとみられ、さらなる市場の拡大が期待されるという。

同社のソリューションは宇宙コンピューティングの分野でも活用が見込まれている。現在、衛星事業を手がける企業との協業を進めており、関連する製品はすでに基本的な性能の検証が終わっている。計画では、モジュール製品を2026年の下半期に投入し、顧客によるテストを開始する予定だ。

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(翻訳・畠中裕子)

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