新エネ車の精密技術をコーヒーマシンに 中国発CAYE、96億円調達で欧州勢の牙城に
中国発のコーヒーマシンメーカー「咖爺科技(CAYE)」はこのほど、シリーズBで業界最大規模とされる4億元(約96億円)の資金調達を完了した。既存株主の美団竜珠(Meituan DragonBall)が出資を主導し、柏睿資本(Boyu Capital)や高瓴創投(GL Ventures)、蘇州創新投資集団(Suzhou Capital Group)などが参加した。資金はコア技術の開発、生産拠点の拡張、国内外の市場開拓およびアフターサービス体制の構築に充てられる。
CAYEは2022年12月に設立。独自のコーヒー抽出システム「Bionic Barista」によって、コーヒー豆のグラインドからコーヒー粉の計量、タンピング、抽出までの工程を再設計し、次世代の全自動業務用コーヒーマシンを提供する。主力機種「Smart X」シリーズは80カ国・地域で販売されており、すでに複数の有名コーヒーチェーンが導入している。
耐久性と抽出品質で差別化
世界の業務用コーヒーマシン市場では、長く欧州ブランドが主導権を握っており、中国ブランドの多くは安さを武器に戦っていた。この状況を打破するため、CAYEは「食品の安全性にこだわったマシン」「安定したコーヒー抽出」「盤石なサプライチェーン」を武器に市場に切り込んだ。
現在市場に出回る中低価格帯の業務用コーヒーマシンの多くは、抽出モジュールにポリアセタール(POM)樹脂を採用しているため、高温・高圧の環境で繰り返し使用すると劣化しやすい。メンテナンスコストが増大するだけでなく、食品の安全性に影響を及ぼす恐れもある。
CAYEはマシンの耐久性と安全性を高めるため、部品の90%以上を金属製とし、最も重要な抽出モジュールについては100%食品グレードの金属製を採用した。

CAYEの業務用コーヒーマシン「S」「E」「X」「Y」シリーズ
安定した品質のコーヒーを抽出できることも強みだ。従来のコーヒーマシンでは、コーヒーの量やタンピングの均一性を確保するのが難しかった。また、コーヒー豆の銘柄変更や周囲の温湿度の変化、マシンの経年劣化などでコーヒーの味わいが左右されるため、専門スタッフが頻繁に調整する必要も生じていた。
CAYEは独自開発したシステムでこれらの課題を解決した。コーヒー粉向け高精度計量システム「Accu Powder Weigh(APW)」は、コーヒー1杯あたりの重量の誤差を±0.2グラム以内に抑え、抽出品質の安定化につながる。しかも1日の提供数が平均500杯の店舗の場合、1年間でコーヒー豆の無駄を約300キロ減らして、年間約3万元のコスト削減効果が見込めるという。

高精度計量システム「Accu Powder Weigh」
このほか、垂直振動を利用したコーヒー粉の均一化システム「Vertical Vibrating Distribution(VVD)」、全自動コーヒー抽出管理システム「Closed-Loop System(CLS)」、全自動ミルクフォーミングシステム「SuperMix」なども打ち出す。これらのシステムにより、専門スタッフが頻繁に調整しなくても、長期間にわたり安定した品質のコーヒーを提供できる。
主要部品を自社開発
海外メーカの多くが主要部品を外部から調達しているのに対し、CAYEは主要部品を自社開発し、中国の成熟したサプライチェーンを活用して製品開発を行う。例えば、繊維機械メーカーと共同でセラミック製グラインドディスクを開発しているほか、新エネルギー車業界や医療機器業界の高精度な製造技術をコーヒーマシンの生産に取り入れている。
創業者の呉鵬氏は、中国の新エネ車業界の開発能力はコーヒーマシン業界よりもはるかに高いため、その先進的な製造技術を借りることで、製品競争力を高めたいと語る。
CAYEは300件以上の知的財産を出願しており、このうち4割超が発明特許だという。技術成果の事業化率は70%を超える。また、イタリアの「HostMilano」や米国の「NRA Show」など海外展示会への出展も進める。呉氏は「主要部品を含めてマシンを分解し、構造を公開できる数少ないメーカーだ」と技術力に自信を示す。

CAYE独自のシステム一覧

展示会にて
江蘇省蘇州市の生産拠点の年産能力は4万台超。さらに延べ床面積約3万8000平方メートルのスマート工場を建設しており、2028年の稼働開始後は年間出荷台数10万台を目指す。
*1元=約24円で計算しています。
(翻訳・田村広子)