面接は「AI対AI」の時代へ 質問から2秒で模範回答、中国で広がる“面接カンニング”

このところ、オンライン採用面接の過程を写したある種の動画が中国のSNSを賑わせている。候補者の目の前にはビデオ面接の画面とAI面接支援ツールのプロンプト入力画面が同時に開かれている。面接官が質問すると、AIが即座に文字起こしから分析、回答の生成までを実行し、候補者はその回答を流れるように読み上げていく。

海外にも驚くべき事例がある。開発者のサンティアゴ・フェルナンデス氏はレイオフ後、コーディングエージェント「Claude Code」を利用して求職活動を効率化するAIツール「Career-Ops」を開発した。フェルナンデス氏はこのツールで求人情報740件以上を評価し、100枚以上の履歴書を生成。最終的にある企業のAI活用責任者に就任した後、このツールをソースコード管理サービス「GitHub」に公開すると、瞬く間に注目の的となった。

AI面接支援ツールの技術体系はすでに確立している。リアルタイムの音声認識だけでなく、語義理解や意図分析を通じ、AIは面接官が候補者の技術力を知りたいのか、ストレス耐性を測りたいのかなど、質問の真意を判断する。

続いて、ナレッジ検索と回答生成を実行する。候補者の履歴書や職務記述書、業界のナレッジベースなどに基づいて、的確で構成の整った回答を生成し、書き言葉から自然な話し言葉に変換。「そうですね…、ご質問に3つの角度からお答えしたいと思います」のように自然なつなぎのフレーズも生成してくれる。面接官が質問してから、候補者のディスプレーに回答が表示されるまでの時間は、最短でわずか2秒だという。

結果的に、候補者同士の能力差はテクノロジーによって平準化されてしまう。全ての候補者の回答が驚くほど似通っているうえ質も高いとなると、「優秀」という評価自体が意味を失うため、採用担当者にとっても頭の痛い問題だ。

AIで書き、AIで隠す——中国の大学で広がる「卒論チェック戦争」

求職・採用活動はAIとAIの戦いへ

採用候補者はAIを武器に面接に臨むようになった。その一方で、企業側もAIを活用した選考を始めている。

米アマゾン・ドット・コムが2026年4月に発表した採用支援AIエージェント「Amazon Connect Talent」は、構造化された音声面接を24時間体制で実施し、候補者を評価する。米グーグルと中国のバイトダンスは、AIによるスクリーニングと人間による質の高い意思決定の「ハイブリッド方式」を採用している。AIは履歴書のスクリーニングとオンライン筆記試験を自動で完了させるほか、視線追跡や画面監視、異常行動の検知なども実行する。しかし、最終面接では人間の面接官が主体となる。

中国の人材採用プラットフォーム「牛客(Nowcoder)」が打ち出すAI面接システムは、実際に行われた3000万回以上の筆記試験と面接試験のデータを使って訓練されており、10万人以上が同時に面接試験を受けられる。すでに美団(Meituan)や騰訊(テンセント)、百度(バイドゥ)、吉利汽車(Geely)などの大手企業が技術職や新卒の採用に活用している。

企業向けのAI面接システムが普及するのに伴い、求職者向けAI面接支援ツールのグレーマーケットも生まれた。オンラインモールの淘宝(Taobao)やフリマアプリの閑魚(Xianyu)では、数十元(数百円)の「面接スクリプト生成ツール」から数百元(数千円)の「マンツーマンリモート面接支援ツール」など多様なサービスが販売されている。一部のサービスは、テンセントミーティングや飛書(Feishu)、釘釘(DingTalk)といった主流のビデオ会議アプリの不正検知システムを回避できるという。面接官が見ている画面には、候補者が終始カメラを見つめている様子が映っている。しかし、実際は別のディスプレーに表示されたAIの回答を素早く読み取っているのだ。

AI面接が普及したことで割を食うのは、AIを使わない、あるいは使えない求職者たちだろう。候補者の半数がAIを使って「カンニング」をしてしまえば、真面目に準備をした候補者が劣勢になってしまう。

しかし、AIの力を借りて面接試験を突破しても、試用期間を乗り切れるとは限らない。実際の業務で求められる臨機応変な対応や突発的な状況での判断については、今のところAIが代行することはできないからだ。

ウェブメディアがAIに飲み込まれていく ― 編集部にくびを言い渡された私がそれでも動じていない理由(メディアとAI:後編)

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原文・雷科技(WeChat公式ID:leitech)、編集・36Kr Japan

(翻訳・田村広子)

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