ロボットが「動いた先」を予測 世界モデルの中国GigaAI、半年で840億円調達

世界モデルの開発を手がける中国スタートアップ「極佳視界(GigaAI)」は、8月に開催された世界ロボット大会(WRC2026)で、次世代のエンボディドAI向け基盤モデル「GigaBrain-0.7」を発表した。世界モデルをロボットのリアルタイム意思決定に組み込むことで、ロボットの判断能力をさらに向上させるものだ。

GigaAIは2023年に設立され、世界モデルをベースに物理世界で動く汎用AIの開発に注力している。現在は、世界モデルプラットフォーム「GigaWorld」、基盤モデル「GigaBrain」、人型ロボット(ヒューマノイド)「Maker」などを展開し、世界モデルを使った環境の生成から、ロボットの意思決定、実機による動作までをカバーする技術基盤の構築を目指す。

同社は中国で世界モデルに最も積極的に取り組むスタートアップの1つであり、2026年に入ってからは資本市場で特に注目を集めている。26年3月から6月にかけて、プレシリーズB、シリーズB1、B2と3回の資金調達で総額約35億元(約840億円)を調達、6月に実施したシリーズB2の調達額は10億元(約240億円)に上った。

従来のエンボディドAI向け基盤モデルでは、知覚情報をもとに動作を直接生成するが、GigaBrain-0.7は「理解・予測・行動」の3つのシステムを組み合わせた構造になっている。なかでも予測システムは、世界モデルを通じてロボットが行動したあとの状況を事前に予測し、その結果を踏まえて次の動きを計画する。モデルの事前学習には3万7000時間以上に及ぶ各種エンボディドAIのデータが使用されており、異なるタスクやシーン、ロボット本体に対応できるよう、汎化能力の向上に重点が置かれている。

また、同社は清華大学と共同で、ロボットの全身制御モデル「GigaBrain-WBC-0.5」も発表した。次の動作を生成するだけでなく、ロボット自身の状態や周囲の環境が動作に及ぼす影響を予測することで、段差や椅子、荷重といった複雑な条件にも対応し、転倒や外部からの干渉、無理な指示を受けた場合でも安定した動きを保つことができる。さらに、中国ロボットメーカー宇樹科技(Unitree)の人型ロボット「G1」から、GigaAIの二足歩行人型ロボット「Maker L01」へのモデル移植も可能なことが実証され、異なるロボットでも基盤となる運動制御機能を共有できる可能性が示された。

さらに、WRCでは卓球競技システム「GigaBrain-PingPong」のデモンストレーションも披露された。人を相手にフォアハンド、バックハンド、スマッシュを繰り出し、134回に及ぶラリーを続けた。卓球ではボールを素早く認識して軌道を予測し、全身を高度に連携させて動かす必要がある。物をつかんだり運んだりといった比較的ゆっくりした動作に比べ、高い性能が求められるため、世界モデルやリアルタイム制御の実力を検証する格好のテストケースとなっている。

GigaAIは外部のロボット企業に基盤モデルを提供するだけでなく、消費者向けや産業向けの自社ロボット投入にも乗り出している。




2026年5月には湖北省武漢市で家庭向けの汎用ロボット「拾光S1」を発表。食事の準備から食器の片付け、衣類の整理など、多くのプロセスからなる家事を自律的にこなせるロボットで、湖北省科技投資集団(Hubei Science Technology Investment Group)から100台規模の受注を獲得した。初回の出荷分は実際の家庭に投入され、実環境でのテストが始まっている。製造業向けに開発された「Maker H01」は、材料や加工対象物の投入・取り出しや運搬、組み立てなどの作業に対応できるという。

*1元=約24円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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