中国の人型ロボット、テニスで人間と対戦。転んでも、自力で立ち上がって試合続行

第2回「世界人型ロボット運動会」が8月22日、北京で開幕した。「銀河通用機器人(Galbot)」のヒト型ロボット「Galbot ET-1(星仔)」が人間の選手とテニスで対戦し、大きな注目を集めた。

会場では人間とロボットの混合ダブルスが行われたほか、元中国テニストップ選手の鄭潔氏がロボットとシングルスで対戦した。ロボットはサーブ、フォアハンド、バックハンドの打ち返し、ベースラインでの走り込み、ネット前の処理を自律的に行う。全速力でボールを追いかける途中で一度転倒したものの、自力ですぐに立ち上がって試合を続けた。

転んでもすぐに立ち上がるGalbot ET-1

同社のテニスロボットは今年3月にすでに公開された動画で注目を集めていたが、今回初めて大舞台の生中継でプロ経験のあるトップ選手と完全自律の対戦を実現した。

中国の人型ロボットのデモンストレーションの重点は、単一の運動能力から、疾走や格闘、サッカー、テニスなど、高速移動下でのリアルタイムな認識、意思決定、全身制御へと転換しつつある。

走る・跳ぶといった動きのパターンが決まっている競技と比べ、テニスはロボットにより高い総合能力を要求する。一瞬で球筋を見極めて移動し、全身を連動させてラケットを振るだけでなく、打ち分けを行ってくる相手へ即座に対応しなければならないためだ。そのため、テニスはエンボディドAI(身体性を持つAI)の性能を試す格好の「超難関テスト」となっている。

Galbot ET-1は、同社初の二足歩行型人型ロボットとして初めて披露された。一般消費者向けやエンタメ分野での活用を見据えている。

これまでの同社の主力製品「Galbot G1」などは車輪式シャシーを採用し、工場や小売りなどで運用されてきた。対するGalbot ET-1はより小型で、全身の可動域が広く、高難度のストリートダンスや倒立、テニスなどのダイナミックな動作が特徴だという。

Galbot ET-1

Galbot ET-1の身長は約1.75メートル。今回のテニスのデモンストレーションでは、エンボディドAIモデル「銀河星脳(AstraBrain)」と、計画・制御アルゴリズム「LATENT」が採用された。あらかじめ組み込まれたプログラムに頼るのではなく、深層強化学習を通じて人間の運動データから自律的に動作を生み出す仕組みだ。高速なラリー(対戦)の最中であっても自然な動きを保ちながら、立ち位置やラケットの軌道をリアルタイムに補正・調整していく。

同社によれば、Galbot ET-1はステレオビジョンにより、時速50キロを超える打球の位置を0.1秒で捉えるという。実測ではフォアハンドの成功率は90.9%を記録し、20回以上の連続ラリーを安定して続けた。

安定した連続ラリー

同社は仮想空間と現実を組み合わせた学習手法を導入している。まず人間の動作データから運動の基本的な動きのパターンを学ばせたうえで、シミュレーション環境での大規模な強化学習とドメイン・ランダマイゼーション(環境条件のランダム化)を通じて戦略を最適化し、最終的に実機へと運用させる流れだ。

(36Kr Japan編集部)

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