赤字でも時価総額4兆円 中国AI半導体「燧原科技」、上場初日に株価2.8倍
中国人工知能(AI)向け半導体メーカー「燧原科技(Enflame Technology)」は9月11日、上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板」に上場した。公募価格は1株当たり142.18元(約3400円)、初日の高値は475元(約1万1400円)をつけ、終値は397元(約9500円)だった。公募価格に対して179.22%高となり、時価総額は1708億5000万元(約4兆1000億円)に達した。
燧原科技は2018年3月に設立。クラウド向けAI半導体と関連する演算製品を開発しており、チップアーキテクチャを4世代にわたり更新し、5製品を展開している。26年上半期の売上高は前年同期比279.08%増の11億2000万元(約260億円)となり、25年通年の9億9000万元(約230億円)をすでに上回っている。
ただし、黒字化には至っていない。26年上半期の親会社株主に帰属する純損失は6億3200万元(約150億円)で、23〜25年の累積赤字は40億元(約920億円)を超えている。26年か27年には連結ベースで黒字化できる見通しとしている。
騰訊控股(テンセント)は燧原の主要株主であり、最大の顧客でもある。2025年、燧原のテンセント向け売上高(直接・間接)は総売上高の83.79%を占め、顧客集中度が高い。インターネット企業に加え、中国国家「東数西算」プロジェクトのハブ拠点にあるインテリジェント・コンピューティング・センターの建設にも参画し、通信事業者などの市場も開拓している。
技術路線では、米エヌビディアやAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)、中国の「摩爾線程(ムーア・スレッド)」、「沐曦股份(MetaX)」などが採用する汎用GPU(GPGPU) 方式ではなく、AI処理に最適化したドメイン固有アーキテクチャー(DSA)を選択している。米グーグルのTPUや中国ファーウェイの昇騰(アセンド)なども非GPGPU系の技術路線を採用している。AI処理の需要が学習から推論へ移行する中、この路線の成長余地にも注目が集まっている。米ゴールドマン・サックスは、AIサーバーにおける非GPGPUチップの出荷比率が24年の36%から27年には45%に上昇すると予想している。

米ゴールドマン・サックスは、AIサーバーにおける非GPGPUチップの出荷比率が24年の36%から27年には45%に上昇すると予想
ただ、燧原の市場シェアは依然として限定的だ。米調査会社IDCのデータと同社の出荷実績を基にすると、25年の中国におけるAIアクセラレータカードの出荷台数は約400万枚で、うちエヌビディアが約220万枚(55%)を占める。燧原の出荷台数は約6万6000枚で、シェアは約1.7%にとどまる。
燧原は摩爾線程、沐曦股份、「壁仞科技(Biren Technology)」とともに「国産GPU四小龍」とも呼ばれている。燧原以外の3社は25年末から26年にかけて相次いで上場した。
*1元=約23円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)