ペロブスカイト材料の試作ライン整備へ 中国・日耀光電、車載・宇宙市場狙う

中国のペロブスカイト太陽電池メーカー「日耀光電(Riyao Solar)」はこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。天津創業投資管理と吉林省科技投資基金が共同で出資した。調達資金は主に、年産100キログラム規模の新材料のパイロット生産ライン整備や、開発人員の拡充に充てる。大型の太陽電池モジュールの試験ラインも設け、車載用や航空宇宙向けの製品開発を進める。

日耀光電は2023年に、中国科学院長春応用化学研究所の秦川江研究員チームの研究成果を事業化する形で設立された。現在は自己組織化単分子(SAM)材料、薄膜検査装置、太陽電池モジュールの3つを製品の柱とする。

ペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟性を持たせやすく、低コストでの製造も期待される次世代の太陽電池だ。特に結晶シリコンと組み合わせたタンデム型では、理論上の変換効率が最大約43%と、単接合型の結晶シリコン電池を上回る。

近年、研究段階では変換効率の記録更新が相次ぐ。実用化に向けては、小型の電池で高い効率を達成するだけでなく、大面積での製造や長期安定性、量産技術の確立が課題となっている。

日耀光電が中核技術と位置づけるのが、ペロブスカイト太陽電池の正孔輸送層に使う自己組織化単分子(SAM)材料だ。同社は新型のラジカルSAM分子を開発した。分子内に官能基やねじれ構造を取り入れることで、溶液中での分散性を高めた。これにより、従来は難しかった広い面積への均一な塗布と薄膜の形成が可能になったという。

この材料を使って酸化ニッケルを用いない製造工程の確立を目指す。現在、正孔輸送層に酸化ニッケルを使い、その上に別の層を重ねる製造方法が一般的だという。SAM材料によって工程を簡略化できれば、同社の試算では生産ラインへの投資を約20%、電池の製造コストを約10%削減できる。

同社によると、太陽光パネル大手の隆基緑能(LONGi)と共同開発したペロブスカイト・結晶シリコンのタンデム型太陽電池に、自社のSAM材料を採用した。この電池の変換効率は、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の認証で34.2%に達したという。SAM材料を巡っては、すでに国内外の100を超える企業や研究機関と協力している。

薄膜検査装置について、秦氏は「SAM薄膜は厚さがわずか2~3ナノメートルで、物理的・化学的な特性の評価が難しい。薄膜の性能を総合的に評価できる商用装置は、現在のところない」と話す。

同社は薄膜をその場で評価する技術を確立し、一体型の検査装置を開発した。複数の測定方法を組み合わせ、高精度かつ短時間で材料を選別できるほか、生産ライン上でも薄膜を検査できる。従来は十分に把握できなかった製造工程中の薄膜の状態を確認し、品質管理に生かす狙いだ。現在は製品化に向けて改良を進めている。

3つ目の太陽電池モジュールでは、材料からモジュールまで一貫して手がけている。現在は最大300ミリメートル四方のデバイスを試作できるという。

今後は車載用と航空宇宙向けの用途開拓に力を入れる。両分野では、面積や重量当たりの発電性能に加え、搭載場所に合わせた形状も重要になる。軽量で柔軟性のあるペロブスカイト太陽電池の特性を生かせる一方、実用化には温度変化への耐性や長期的な信頼性を検証する必要がある。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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