動画生成AIが「記憶」を持つ PixVerseの世界モデル「R2」、プレイヤーの選択で物語が分岐
動画生成AIプラットフォーム「PixVerse」は9月22日、リアルタイム世界モデルの最新版「R2」を発表した。従来の生成AIがプロンプトに基づいて一本の動画を生成するのに対し、R2はユーザーの操作を反映しながら、その場で変化し続ける映像世界をリアルタイムで創り出す。
PixVerseは2026年1月、同社が世界初とするリアルタイム世界モデル「R1」を発表した。今回のR2では、長時間にわたる生成の一貫性や「記憶」の能力を強化。テキストや画像などの参照素材、音声、ユーザーによる操作をリアルタイムで受け取り、それまでに起きた出来事や文脈を保持しながら、その後の世界やキャラクターの行動に反映できるようにした。
例えば、ゲーム内でキャラクターを操作しながら移動し、途中でプロンプトを入力して新たな要素を追加したり、周囲の環境を変化させたりできる。登場人物との会話やプレイヤーの選択に応じて、ストーリーをリアルタイムで分岐させることも可能だ。
従来の動画生成AIでは、一度生成した映像を変更する場合、プロンプトを入力し直して別の動画を生成する必要があった。R2が目指すのは、動画を「完成されたコンテンツ」として出力するのではなく、ユーザーが継続的に介入できる「動的な世界」として生成することだ。
技術面では、長時間生成に必要な一貫性と表現力を担う基盤技術「Omni Causal AR」と、モデルをリアルタイム動作用に圧縮する高速化レイヤーの2段構成を採用した。これにより、生成品質を高めながら、リアルタイム性能も維持できるという。
R2はすでに実際のコンテンツ制作にも導入されている。PixVerseが7月に公開した「PixVerse Game Engine」は現在、R2を基盤に稼働。クリエイターはプレイヤーの操作に応じて内容がその場で生成されるインタラクティブゲームや映像作品を制作できる。
PixVerseは2023年設立。動画生成サービスのユーザーは現在、世界177カ国・地域で1億5000万人を超えるという。2026年3月にシリーズCの資金調達を完了しユニコーン入りした後、7月には追加ラウンドで4億3900万ドル(約690億円)を調達。評価額は20億ドル(約3160億円)を超えた。

日本市場では6月、人気漫画・アニメ「キャプテン翼」とのコラボレーションも実施した。KAGAMIAI Holdingsが構築するIPライセンス基盤「KAGAMI Gate」を通じて実現したもので、ファンは自分の写真をアップロードし、日向小次郎の「タイガーショット」など作中の名場面に自らが登場するオリジナル動画を制作できた。日本の人気IPとの連携を通じ、生成AIをファン参加型コンテンツへ応用する動きも進めている。
(36Kr Japan編集部)