高さ40センチに折りたためる家事ロボット、27年発売へ 中国「KNOWIN」が累計240億円超調達
家事向けの双腕ロボットを開発する中国スタートアップ「諾因智能(KNOWIN」)はこのほど、エンジェル+++ラウンドで数億元(数十億円規模)を調達した。京東集団(JDドットコム)関連のファンドが出資を主導し、正心谷資本、南山戦新投、華登投資が参加した。同社は約1カ月前にも5億元(約120億円)を調達しており、設立以来の累計調達額は10億元(約240億円)を超えた。
調達資金は、基盤モデル「GLOW(Generative Learning of World)」の開発やチーム拡充に加え、同社初となる家庭用人型ロボット「KNOWIN-X1」の技術検証試験や量産準備に充てられる。
KNOWINは2025年8月、ファーウェイやDJIの出身者を中心に設立された。創業者の李銀川氏は、ファーウェイのAI研究所「Noah’s Ark Lab(ノアの方舟研究所)」で生成AI分野の責任者を、パートナーの周凱文氏も同件研究所でAIエージェント分野の責任者を務めた人物だ。26年7月時点の従業員数は190人を超える。
人型ロボットを手がける企業の多くがまずは工場への導入を目指すのに対し、KNOWINは設立当初から、より難易度の高い一般家庭への導入を目指すことを選択した。標準化された工場の環境に比べ、住宅内の環境ははるかに複雑なため、事前に収集したデータに基づいてロボットに全ての状況を把握させるのは困難だ。しかもロボット実機の操作データは収集コストが高く、時間もかかる。これがモデルの汎化を阻む壁となっている。
KNOWINはエンボディドAI向けに生成型の基盤モデル「GLOW」を開発し、ロボットが「動作を記憶する」だけでなく、「未知の環境にも対応できる」よう進化させることを目指している。
GLOWは、KnowinDream、KnowinWorld、KnowinBrain、KnowinAgent、KnowinAcの5つのモジュールで構成されている。KnowinDreamは限られた実データを利用し、さまざまな空間・照明・材質・タスクを組み合わせた訓練環境を生成。KnowinWorldはロボットの行動に関連する世界モデルを構築し、空間や物体の状態、さらにはロボットの動作が環境に及ぼし得る影響を理解する。これをベースに、KnowinBrainとKnowinAgenは理解・計画・失敗のリカバリーを担い、KnowinActが計画を実際の動作に転換する。

KNOWIN GLOW
ロボットは仮想環境の中で多くの試行錯誤を繰り返してから、実際の家庭でタスクを実行する。現場でタスクを実行して得られたデータと失敗の事例は改めてモデルにフィードバックされ、「データ生成〜仮想環境での訓練〜実環境での実行〜反復的なフィードバック」のクローズドループを形成する。
KNOWINが重視しているのは単にデータ量を拡大することではなく、ロボットが未知のタスクに出会った時、既存の能力を組み合わせて自律的に問題解決する能力を向上させることだ。
同社初の家庭向けロボットKNOWIN-X1は、GLOWを基盤として開発された。2本の腕を備えた人型ロボットで、折り畳めば高さ40センチとコンパクトにまとまり、部屋のすみや自動車のトランクに収納できる。展開すると腹ばい・膝立ち・立位の3種類の姿勢をとることが可能で、床・机・棚といった高さの異なる場所をカバーできる。
片方の腕は7自由度、全身で23自由度を備えており、両腕の最大可搬重量は6キログラムとなっている。同社が想定する用途は、机の上の整理整頓や衣服の片付けなど簡単な家事のほか、子どもや高齢者の見守り、異常事態の報告など。

KNOWINは、2026年7月に上海で開かれた世界人工知能大会(WAIC 2026)でKNOWIN-X1を初公開した。同社によると、このロボットは「購入後すぐ使える」設計ではなく、ユーザーが実演を通じて新たなタスクを教え込んでいく設計になっているのだという。例えばテーブルを拭く様子を見せると、その後はお手本どおりにタスクを実行できるようになる。
2027年にも数万元(数十万円)で発売される見込み。創業者の李氏は、今後3〜5年で家庭用ロボットは量産拡大の段階に入ると期待されるものの、最初の1〜2年は初期的な検証段階にとどまるとの慎重な見方を示している。
*1元=約24円で計算しています。
(翻訳・田村広子)