翻訳もAIアシスタントも、スマホに頼らず 中国発AIグラス「INMO」、約230億円調達

中国発のスマートグラスメーカー「影目科技(INMO)」はこのほど、シリーズC3で資金を調達した。出資は四川振興科創基金が主導し、静安資本や市北高新なども参加。2026年初めに実施したC1~2と合わせ、シリーズCでの調達額は10億元(約230億円)近くに上っている。

資金は主に、空間知能を搭載した次世代製品の開発やオペレーティングシステム(OS)「INMO AIOS」の改良、ブランディング、販売チャネルの構築に充てられる。同社の売上高はここ数年にわたり200%以上の伸び率を保っており、上場に向けた準備も開始したという。

2020年末に設立されたINMOは消費者向けのスマートグラスを手がけており、スマートフォンなどの外部機器と接続するセパレート型ではなく、演算機能や人工知能(AI)を搭載した軽量な一体型製品の開発に注力している。

テック市場分析の洛図科技(Runto Technology)によると、中国の2026年1~6月のスマートグラス販売台数は前年同期比85.5%増の90万9000台、売上高は同98.7%増の18億8000万元(約430億円)だった。うちARグラスの販売台数は、一体型とセパレート型の比率が25年1~3月の9:91から26年4~6月に47:53へと変わった。

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スマートグラスは機能を増やそうとすれば、開発の難易度が上がる。スペースの限られたフレームにバッテリーやチップ、アンテナ、スピーカー、光学部品を収めながら、消費電力や放熱性、重さ、装着感も考慮しなければならない。INMOの創業者・楊龍昇CEOは、スマートグラスがスタンドアロンデバイスとなるためには、スマホなどの外部機器に依存せず、スマホには無い価値を提供できるかが鍵になるとの見方を示した。

同社の主要製品は「INMO AIR」と「INMO GO」の2つで、「AIR」シリーズはディスプレイと空間知能が、「GO」シリーズはAIアシスタントや翻訳、テキスト表示などの機能が特長となっている。2024年に発売された「INMO AIR3」は、世界初となる0.44インチのソニー製マイクロOLEDディスプレイを搭載し、解像度は約200万画素(1920×1080)、前世代に比べ輝度は3倍に向上した。

どちらのシリーズも、OSは同社が独自に開発した「INMO AIOS」だ。

「INMO AIOS」は端末とクラウドを連携した仕組みとなっており、自己位置推定やレンダリングといったスピードの求められるタスクを端末で、大きなデータをクラウドで処理させ、演算処理や消費電力といった端末にかかる負荷を軽減する。AIについては、基盤モデルを独自に開発するのではなく、さまざまなAIモデルを使って環境認識やタスク管理、ツール呼び出しなどの機能を開発している。

また、ユーザーをギークから一般消費者へと広げるため、2026年に人気歌手の王嘉爾(ジャクソン・ワン)氏がデザインに関わったAIグラス「INMO Magic AI」をリリース。初回の予約販売台数は5万台に達し、7月にまず北米市場で発売された。

スマートグラスは、ディスプレイデバイスからAI搭載ウェアラブル端末へと進化しつつあるが、依然として重さやバッテリー持ち、演算性能、使いやすさなどが課題となっている。参入メーカーが増えるなか、上場を目指すINMOは一体型製品や独自システム、利用シーンをさらに検証しなければならない。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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