「日本でライブコマースは無理」は本当か TikTok Shopで初年度GMV15億円 CREOKが明かす全国FCの勝算

TikTok Shopを中心にライブコマース/ソーシャルコマース支援を展開する「CREOK」は10月16日、ホテル椿山荘東京で一周年記念発表会を開いた。初年度の累計GMV(流通取引総額)が約15億円に達したと報告するとともに、全国7ブロック・13拠点を第1期とするフランチャイズ(FC)展開計画を発表した。

昨年9月に国内最大級の配信拠点「CREOK LAB」を開設してから約1年。自社で蓄積した販売・運営ノウハウを地方の企業と共有し、配信拠点を広げる。桜井吉男CEOは「この1年、自ら売り場に立ち続け、『TikTok Shopは日本でも売れる』ことを証明した。ここからは実装のフェーズだ」と語った。

TikTok Shopで“確かに売れる”仕組みを。日本最大のライブコマース支援拠点「CREOK LAB」始動

1万3000時間の配信が導いた「売れる型」

会場内で再現されたライブ配信スタジオ

日本のEC化率は依然として低く、当初は「ライブコマースは根付かない」という懐疑論もあった。 しかし、桜井CEOはこの1年間で潮目が変わったと確信を強める。

同社がこの1年で積み上げたデータは圧倒的だ。自社運営アカウントと支援(TSP)連携ショップを合わせた累計GMVは約15億円。連携ブランド数は1000社を超えた。自社アカウント3件の合計フォロワーはゼロから17万人を突破し、累計配信時間は1万3000時間(約542日分)に及んだ。

「アメリカではTikTok ShopのGMVの約8割がショート動画経由だが、日本は6割以上がライブ配信から生まれている。世界的に見ても日本はライブコマースの存在感が際立つ特異な市場だ」と桜井CEOは語る。

多くのライブコマース支援企業がインフルエンサー個人の影響力に頼るなか、CREOKが重視するのは「属人性を排した仕組み化」だった。象徴的なのが、開設9カ月でフォロワー10万人を突破した食品アカウント「CREOK FARM」。桜井CEOは「有名なインフルエンサーだから売れるのではなく、誰がカメラの前に立っても商品が確実に売れる台本、演出、データ分析の『型』を1年かけて泥臭く構築した」と述べた。そのうえで、「才能や勘ではなく、手順として再現できるようにしたこと」が、FC展開に踏み切った理由だと説明した。

地方で不足する「配信の担い手」を育てる

日本最大級のライブコマース専用拠点「CREOK LAB」

全国展開の構想は創業当初から存在していたが、直営拠点を増やすには人材確保が壁となった。国内ではライブコマースの運用経験者が限られ、各地で一から採用・育成するには時間がかかるためだ。一方で、地方の中小企業からは、食品や特産品などをTikTok Shopで販売したいという問い合わせが増えているという。商品はあっても、配信者の育成や日々の運用まで担える企業は多くない。

そこで、CREOKのFCモデルは、自社で確立した育成・運用のノウハウをパッケージ化することで、参入障壁を引き下げようとしている。地方企業にとっては、自前投資のリスクを避け、 最も身軽かつ最短距離で事業を立ち上げられる枠組みとなっている。

スタジオ設計から商材紹介まで支援

スタジオ設計から商材紹介まで支援

FC拠点では、営業、クリエイター、運用担当の最小3人体制を基本とする。CREOKは標準スタジオの設計、クリエイターの派遣・育成、AIによる台本作成などを支援し、約90日での立ち上げを目指す。開業後も専任スーパーバイザーが100日間、運営を支える計画だ。

また、独自の仕入れルートを持たない加盟店でも、CREOKの提携ブランドの商品を紹介できるようにし、自ら在庫を抱えずに配信を始められる仕組みを用意する。メーカーとの契約に基づく販売手数料の条件も共有するという。

「私たちが1年間かけて通った試行錯誤の遠回りを全て省き、加盟店はわずか90日で立ち上げられる。型を自社だけで抱え込んでいても意味がない。地域の信用を持つ広告代理店、制作会社、地方局、地域商社などと組み、面で広げていく」(桜井CEO)。

将来的には、複数拠点が同じブランドの商品を展開する共同販促も視野に入れる。自社拠点で得た販売手順を、商材や人材、顧客層が異なる地域でも再現できるかが、FC展開の焦点となる。

市場拡大と越境販売を見据える 

桜井CEOは、日本のTikTok Shop市場について、2026年末から2027年春にかけて普及が加速すると予測。月間約7%の成長が続くという同社の試算では、2028年に年間1兆円規模に達する可能性があるとした。

また、日本国内のTikTok Shopでも将来、越境販売の機会が広がると見込む。実現すれば、日本の地方特産品やリユース品を巨大な海外市場へ直接届けることが可能になる。

国内市場の急拡大と将来の越境EC化を見据え、強力なパートナーシップの構築も着々と進む。すでに米国や東南アジアで実績を持つトランスコスモス、アフィリエイト網に強いOffbeat、相場データとリユース流通を握るオークファンなど、各界のプレイヤーとのアライアンスを締結。

AI時代のなりすましに先手 

市場拡大の一方で浮上するディープフェイクやなりすまし配信の脅威に対し、同社は老舗企業とタッグを組んだ。

発表会では、シヤチハタ、エヴィクサーとの共同プロジェクトを紹介した。配信音声に人の耳には聞こえない「音響透かし」を埋め込み、正規の配信かどうかを確認できる仕組みの構築を目指す。

シヤチハタ、エヴィクサーと共同プロジェクトを立ち上げ

AIによるなりすましへの対策として、偽物を検出するだけでなく、本物の配信に識別情報を持たせる発想だ。桜井CEOは、自社だけで使う仕組みにとどめず、業界で共有できるものにしたいと語った。

(文・36Kr Japan編集部)

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