無人配送車の操舵で中国シェア5割超 漢鼎智能、次は乗用車向けSBW

自動車の操舵システムを開発する中国の「漢鼎智能科技(Handing Intelligent Technology)」はこのほど、数千万元(数億円)の戦略出資を受けた。紅榕資本(Red Banyan Capital)が出資を主導し、車載電子機器大手の徳賽西威(Desay SV)、物産中大集団(Wuchan Zhongda Group)、長江産業投資集団(Yangtze River Industry Group)などが参加した。資金は主にステア・バイ・ワイヤ(SBW)技術の量産や高性能な電動パワーステアリング(EPS)の生産能力強化に充てる。

漢鼎智能は2020年、湖北省武漢市で設立された。主力のEPSは、モーターの力で運転者のハンドル操作を補助する。開発を進めるSBWは、ハンドルと車輪を機械的につながず、電気信号で車輪の向きを制御する技術だ。

自動車の電動化や運転支援機能の高度化に伴い、操舵システムにも一段と高い性能が求められている。乗用車向け市場はこれまで独ボッシュや独ZF、米ネクスティアなど海外メーカーが主導してきたが、技術の変化を機に中国の部品メーカーにも参入の機会が広がっている。

同社は、モーターを取り付ける位置や動力の伝え方が異なるC-EPS、DP-EPS、R-EPSなど、複数の方式を手がける。無人配送車向けの操舵システムで販売実績を積む一方、乗用車向けSBWを次の成長分野と位置づける。

漢鼎智能のR-EPS

無人配送車向け製品は、40を超える車種に採用され、25年の出荷台数は2万台を超えた。同社によると、中国国内でのシェアは50%超という。主要顧客の無人配送車には累計1万6000台以上が搭載され、300を超える都市で稼働している。徳賽西威などにも製品を供給しており、26年分の受注は約4万台に達したとしている。

乗用車向けSBWは21年から技術の検証を進め、電源、通信、制御装置などを二重化した安全設計の試験を終えた。黒竜江省黒河市では零下40度の環境で200時間を超える連続運転試験も実施したという。現在は中国の大手電気自動車(EV)メーカーの開発案件で供給候補に選ばれ、車両に合わせた調整を進めている。

EPSでは、高い操舵力に対応するR-EPSをすでに量産している。東南アジアの自動車ブランドからは、3車種向けのR-EPS案件を獲得した。乗用車向けのDP-EPSも複数の案件で候補に選ばれている。商用車向けには、遊星歯車機構を採用した高出力の操舵システムを開発し、陝西汽車や比亜迪(BYD)、東風汽車などで検証が進んでいる。

同社によると、2025年の売上高は1億元(約20億円)近くに達し、27年には2~3億元を目指す。生産能力では、EPS生産ライン5本(年産100万台超)、EPSパワーパック自動化生産ライン2本(年産100万台)などを整備している。今回の資金調達を受け、無人配送車向けの冗長構成を備えたEPSの生産能力を重点的に増強し、月産能力を現在の1万台未満から10万台へ引き上げる計画だ。

海外では、中国サプライチェーンのコスト競争力を生かし、まず東南アジアで事業を広げ、その後に欧米への進出を目指す。さらに、今後5~10年で大きな進化が見込まれている、各車輪の向きを独立して制御する「コーナーモジュール」の開発にも取り組む。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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