コロナの陰に覆われるアリババ、消費の需要は高まるが追いつかぬ供給と物流

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新型肺炎の影響により、中国のアリババグループのニューリテール事業を含む同業界は大きな試練に直面している。

アリババグループはこのほど、2020事業年度第3四半期(2019年10月~12月)の財務データを公表した。データによると、2019年12月31日現在、アリババの同四半期の売上高は1614.6億元(約2.6兆円)で、前年同期比で38%増となった。アリババが2度目の上場をしてから初めて公表した完全な四半期財務報告であり、ニューヨークと香港の投資家に注目されている。

画像はアリババが提供

現在までに発表された論文と報道によると、新型肺炎は2019年12月に発生しているが、同四半期におけるアリババやその他大手IT企業に対する影響は見られていない。だが、財務データ発表後の電話会議およびアリババ関係者の発言によると、新型肺炎の今後の動向が最も注目されているという。

難題に直面しているタオバオ系列のEC

同四半期において、アリババ傘下のEC モール「タオバオ(淘宝網)」と「天猫(Tmall)」の出店料とコミッション収入の増加が減速したが、生鮮スーパーの「盒馬(Hema Fresh)」、ネットスーパーの「天猫超市(Tmall Mart)」、越境ECモールの「天猫国際(Tmall Global)」等のニューリテールおよび直営事業は前年同期比で128%増となり、すでに前四半期からグループ全体における売上高の割合がコミッション収入の割合を超過したという。

この財務データからすると、オフラインとより緊密な関係にあるニューリテール事業、物流サービス「菜鳥網絡(Cainiao Network)」、および生活サービス事業は成長が加速している。

一方、新型肺炎の影響により、全国各地における交通と移動の規制が行われているため、オフラインサービス事業は今後大きく影響を受けると見られる。

アリババグループCFOの武衛氏は、財務データ発表後の電話会議で、菜鳥は現在財務データは悪くないが、実際には既に大きな影響を受けていると話した。

中国各地で、配達員が仕事に戻れず、交通も寸断されている。まだ運営中の物流サービスは、マスク等の医療物資の輸送を優先している。

春節の連休時に突如発生した新型肺炎の流行により、人々は家に閉じこもらざるを得なくなり、全ての生活消費をフードデリバリーと宅配で解決しようとしている。よって、ECとデリバリープラットフォームの需要が急増している。しかし、大量の配達員たちが仕事の場に戻れず、工場も再開の見通しが立たないままで、商品の供給は通常レベルにも及ばない状況だ。

アリババグループは直接物流会社を運営していない。このような緊急時になると、提携先の中国国内の物流業者では大手の「順豊(S.F.ホールディング)」以外に、物流サービスを維持できる業者がほとんどなく、消費者からの受注に対しうまく配送できないでいる。

盒馬がとった行動

次世帯スーパーの盒馬は春節期間中に次から次へと対策を打ち出している。仕事に戻れない多くの飲食チェーン店スタッフを一時的に雇用し、一方で、今年3万人の社員を募集する予定も発表している。

人々は外食をしなくなり、自炊をしないわけにはいかなくなった。よって、都市部の生鮮食品のECサイトなどの事業は伸びが著しく、通常の配達水準ではとても対応しきれなくなっている。盒馬は配達員を確保するために、上記のポリシーを打ち出した。

アリババと比較すると、同じく大手ECサイトの「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」の反応は明らかに遅い。拼多多はより純粋なオンラインサービス業者であり、製造業や農業への関わりは深まっているものの、まだ物流をコントロールできるまでに至ってない。また、拼多多は消費者の需要に応じて供給側のサプライチェーンを改造するという経営理念を持っている。しかし、このような特殊な状況下で、一部の商品に対する需要が異常に高まり、一部の需要が極端に低下すると、生産と消費のバランスが崩れ、この局面が続けば、ユーザーをより契約履行能力の高い自社直営店があるECサイトに奪われる可能性が高い。

現在、新型肺炎がいつまで続くのかは分からない。最も楽観的な予測でも4月まで続くという。即ち、2020年の第1四半期は中国経済全体が疫病の陰に覆われることとなり、アリババも今後の影響について予測ができないでいる。

(翻訳:小六)

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