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TikTokを世界でヒットさせた「バイトダンス(字節跳動)」によるオフィススイート「飛書(FEISHU)、海外版「Lark」という」が24日、サービスを全面的に無料化すると宣言した。対象は中国国内のあらゆる企業で、企業の規模や利用期間も無制限だ。
飛書が料金体系を改定するのはこれで2度目。今月10日には従業員数100人以下の中小企業および新型肺炎対策に携わる医療機関や地域の行政機関、非営利団体を対象にビジネス版の利用料を3年間無料とする方針を発表したばかりだ。
無料で利用できるサービスはビデオ会議、オンラインオフィス(音声通話)、ドキュメント・表計算ソフト、各企業に専用で割り当てられるクラウドストレージ、バーチャルアシスタント、ミニプログラム(モバイル端末で使用するアプリ内アプリ)、セキュリティサービス、AIマルチ翻訳などだ。すでに有料契約している企業に対しては改めて補てん内容を取り決めるという。
新型コロナウィルス感染症が広がるにつれ、リモートワークへの需要が激増している。飛書もその勢いに乗った形だが、全面無料開放としたことで確実に法人顧客の定着につなげ、法人向け市場のシェア拡大を狙う。
飛書は昨年、戦略面で模索が続いた。もともとは海外市場を含めた中規模~大規模の企業をターゲットにした課金サービスを想定しており、料金体系は「スタンダード版」「ビジネス版」「旗艦版」の三段階に分かれていた。
同製品はバイトダンス社のグローバル化戦略とも方向性が一致していた。アリババやテンセント、バイドゥといった国内IT大手との競争を避け、あるいは共生するため、短編動画アプリや検索エンジンなどのサービスとは別のプロダクトを育てる必要があったのだ。
しかし昨年から現在にかけて、中国内外では「ブラック・スワン(想定外の大事件)」が立て続けに起こり、飛書も戦略の立て直しを余儀なくされた。貿易摩擦のあおりを受けて、バイトダンスの短編動画アプリTikTokも昨年11月、「安全保障上のリスクがある」との理由で米国政府の調査を受けている。これに伴い、国際展開を狙っていた飛書の海外版「lark」も棚上げとなり、飛書は国内展開へ集中した。
そこへ降って湧いたのが新型肺炎によるテレワーク市場の急成長だ。飛書の認知度を高めるには絶好の機会である。今月上旬から段階的に進んだ全面的な無料化も新規客の獲得につながった。
わずか数カ月の間に幾度もの戦略転換を重ねた飛書だが、その軌跡は奇しくもアリババの競合製品「DingTalk(釘釘)」と重なる。IT大手は次々とオフィススイート製品の強化に動いており、DingTalkだけでなく、テンセントの「沸訊会議(Tencent Meeting)」はクラウドサーバーを拡充、バイドゥは社内向けオフィスツール「百度Hi(Baidu Hi)」を対外的にも開放した。
飛書の責任者でありバイトダンス副総裁である謝欣氏も、今月に入って大々的に自社製品のPRにいそしんでいる。「新型肺炎の影響で我々の業務量は増えているが、オフィス向け製品にとっては今こそが大きな試練と挑戦の時だ」と語っている。
新型肺炎が収束した後については、「飛書は単に在宅ワークのために開発した製品ではなく、オンラインで複数の同僚たちが協業を進められることに重点を置いている。多くの企業にはこれを機にオフラインで進めてきた業務をオンラインに移行し、業務の効率化を図っていただきたい」としている。
(翻訳・愛玉)
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