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スマートロボットが多く導入されるようになった物流業界では、数年前に無人搬送車(AGV)メーカーに象徴される資金調達ブームが起きた。高齢化の進行や人工知能(AI)技術の向上に伴い、企業のAI導入ニーズは設備やハードウェアの面だけにとどまらず、トータルソリューションを通じてハードウェアからシステムに至るスマート化を実現することで、人件費と運用コストの削減をより一層求めるようになっている。
「Geek+(ギークプラス、極智嘉)」は中国国内の物流ロボットを代表する企業で、2015年の創業以来、全世界で1万台以上のロボットを販売してきた。取引先は全世界約20カ国・地域の200社以上に及び、日本とアジア太平洋市場(中国を除く)で80%以上のシェアを誇る。業務内容は、物流ロボットにとどまらず、スマート工場や無人倉庫ソリューションの開発でも事業展開を進めている。
36Krはこのほど、Geek+の鄭勇CEOにインタビューを行い、同社の成長戦略とスマート物流業界の動向について話を聞いた。
――数ある分野の中で、スマート工場と無人倉庫ソリューションを選択された理由は何でしょうか。
「当社は技術開発の方向性として、ロボット工学とAI技術により、高度なフレキシビリティとインテリジェンスを兼ね備えた物流自動化ソリューションの実現を目指している。この目標に向けて、当社ではピッキングシステム、ムービング(搬送)システム、ソート(仕分け)システム、自動運転フォークリフトの四つの製品ラインナップを開発してきた。市場にはGeek+社以外にも「新松(SIASUN)」や「海康機器人(HIKROBOT)」など数多くの物流ロボットが投入されているが、この業界はまだ草創期の段階にある。顧客はトータルソリューションの構築に向けたサポートを望んでいるが、そのためには仕事を行う人間をロボットに置き換えるだけでなく、ロボットそのものの効率的な管理を実現し、工場全体の作業効率と管理レベルを向上させなければならない。
「例えば、当社は2019年に中国第一汽車集団と独フォルクスワーゲンの合弁企業『一汽大衆(FAW-VW)』との共同開発で、自動運転フォークリフトとスマート工場向けのディスパッチング・システムを組み合わせて、マルチロボット・オペレーティングシステムと産業システム機器の統合管理を実現した。ディスパッチング・システムは一汽の倉庫情報管理システムと製造実行システム(MES)にシームレスに接続されており、フォークリフトの自動化やロボットアームなどとの連携により、入出庫の自動化を実現し、倉庫業務の無人化をどう図るかという問題の解決につなげた」
――ロボットをコアとしたフレキシビリティ・ソリューションの強みや、顧客が導入する上での利点についてお聞かせください。
「フレキシビリティの高い自動化ソリューションはロボットが主体であり、他の自動化設備は補完役に回る。大きな強みはシステムの拡張性に優れていることだ。ロボットは自律分散型なので、1台のロボットが故障してもシステム全体に影響することはない。フレキシビリティ・ソリューションは工場の既存施設に基づく改善・改良が可能であり、企業にとっては、より少ない投資で1〜2カ月程度で導入を完了できるという利点がある」
「昨年の『双11(ダブルイレブン。中国で年間最大のECセール)』期間中、当社は4000台を超えるロボットを活用し、セール開始から48時間以内の発送率は86%に上った。そして、72時間以内で811万件の商品を全て発送し終えた。ロボットシステムとフレキシブルな自動化ソリューションの強みを実証できたといえよう。当社が集計したところ、導入企業では人件費を平均10〜20%削減できたことが分かっている」
――御社は川上のソフトウェア・ハードウェアの研究開発から川下のアセンブリ、さらにシステム統合に至るまでのサプライチェーンの構築を実現していますが、この分業体制は今後、より明確になるのでしょうか。
「足元のモバイルロボット分野をみると、サプライチェーンはまだ成熟していない。特に、自律型モバイルロボット(AMR)や次世代型無人搬送車(AGV)に代表される第3世代モバイルロボット技術の商用化の模索が始まったのは2014年以降で、海外に2、3年の遅れをとっている」
「物流ロボットには、主に工場と倉庫の2つの利用シーンがある。このうち工場についてだが、ロボット本体メーカーの役割は、よりフレキシブルでインテリジェントな本体(ボディ)を開発することだ。業種ごとに製造プロセスが細分化されており、システムインテグレーターの参入障壁が高いことから、本体メーカーとシステムインテグレーター間の分業は明確となっている」
――国内市場、海外市場における事業展開についてお聞かせください。また、新型コロナウイルスの感染拡大は業界にどのような影響を及ぼしていますか。
「海外事業は日本とアジア太平洋、ヨーロッパ、アメリカで展開している。海外売上高は2019年から国内市場を上回るようになり、現在では海外売上高比率は約60%に上っている。海外市場では大手と中堅の顧客がメインであり、国内市場のリーディングカンパニーに集約化が進む現状とは異なる。海外市場では顧客が大手から中小まで均一に分散しており、物流インフラも整っている上、先進国の人件費が高すぎるということもあって、事業が急速に拡大した」
「物流ロボット業界は17年から18年にかけて急成長を遂げたが、業界が今注目しているのは、技術を製品化する能力とその製品にどう商業的価値を持たせていくかということだ。新型コロナの流行が業界の再編を加速させており、今後、業界はスケールメリットを持つ大手に集約されていくとみられる」
(今年、NIKE新倉庫にGeek+ロボットを200台以上導入した)
(翻訳・北村光)
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