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先日、設立からわずか9カ月の汎用型AIチップ設計会社「壁仞科技(Biren Technology)」がシリーズAで11億元(約170億円)を調達した。リードインベスターは「啓明創投(Qiming Venture Partners)」「IDG資本(IDG Capital)」「華登国際中国基金(Walden International)」、コインベスターには「格力創投(Gree Venture Capital)」「松禾資本(Green Pine Capital Partners)」「雲暉資本(V Fund Management)」「国開装備製造産業投資基金(Guokai Equipment Manufacturing Industial Investment Fund)」「華映資本(Meridian Capital)」「広微控股(CCI Holdings)」「耀途資本(Glory Ventures)」などの名だたる投資機関や企業が参加した。
今回の資金調達は、近年の半導体設計企業によるシリーズAでの調達額としては最高額となった。資金は技術製品の開発の加速や市場開拓に充てられる。
壁仞科技は、AIおよび顔認識技術分野最大手の「センスタイム(商湯科技、SenseTime)」で総裁を務めた張文氏が設立した企業だ。2019年9月9日創業の同社は、半導体開発企業として独自の汎用インテリジェントコンピューティング体系の開発に注力しており、高効率のソフト・ハードウエアプラットフォームを構築することに加え、並列コンピューティング分野に対し一体型ソリューションを提供している。
壁仞科技はGPU(画像処理装置)、DSA(ドメイン固有アーキテクチャ)、コンピューターアーキテクチャなどの分野を広く手掛けている。華登国際のパートナーを務める王林氏は「中国産GPUの発展は、CPUやメモリーに比べ著しく遅れを取っている。こうした状況で投資家を半導体市場に引き込んだ壁仞科技が、中国GPU技術の発展に一役買うと期待されている」と述べる。
一方、壁仞科技の技術チームも、同社が投資会社からの期待を集める要因の一つとなっている。同社のスタッフは中国内外の半導体およびクラウド分野の中心的な専門家や開発者からなり、2割以上が博士号、また8割以上が修士号の保有者だ。いずれも中国内外の著名CPUメーカーの旗艦製品開発センターで重要な役割を務めた経験を持つ。
「インテリジェントコンピューティングやAI分野において、半導体はテクノロジースタック全体の価値の4~5割を占め、他の分野の割合は1割以下にすぎない。このため今回は半導体分野におけるここ数十年で最大のチャンスだ。この大きなチャンスに挑むうえで、壁仞科技の完璧なスタッフ陣は最も重要な基盤だ」。啓明創投のパートナーである周志峰氏は語る。
当然ながら、壁仞科技が打ち立てた今回の記録は、中国半導体市場の発展という「追い風」を受けた結果でもある。
中国はかつて世界最大の半導体市場と呼ばれたが、重要分野の半導体自給率はまだまだ低い。ここ数年で半導体関連人材が大量に中国国内に流入しており、AI業界の発展により大きな活用ニーズが生まれている。これらが半導体業界および半導体設計会社に自主開発・製造の好機会をもたらしているのだ。
壁仞科技の創業者兼董事長の張文氏は今回の資金調達結果に関し、「当社の設立はちょうど中国の半導体業界における重要な時期と重なった。厳密な意味においては産業変革の岐路に立っているともいえる。我々は歴史的使命を負い、中国の半導体業界の変革者となりたい」と述べた。
(翻訳・神部明果)
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