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11月5日夜、ショート動画プラットフォームの「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」が、香港証券取引所に目論見書を提出した。ライバルである「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」より一歩先の提出となった。
では、快手の現状はどうなっているか、以下簡単に見てみよう。
ライブ配信売上トップ
2020年6月30日までの2020年上半期において、快手のライブ配信による売上高は、引き続きトップであった。
2013年にショート動画SNSとしてスタートした快手は、2016年からライブ配信を開始した。ライブ配信の売上は、視聴者が配信者に投げ銭することで発生する手数料からなる。コンサルティング会社の「艾瑞諮詢(iResearch Consulting)」の集計によると、快手は2017年第4四半期から、ライブ配信の売上高において世界トップとなっている。
2019年一年間の快手のライブ配信で課金したユーザーは月平均4890万人となり、課金額は月平均1人あたり53.6元(約800円)だった。2020年上半期の課金ユーザーは月平均6400万人、課金額は月平均1人あたり45.2元(約680円)だった。
快手は過去三年間の事業多角化により、2017年に95.3%を占めていたライブ配信の売上高を、2020年上半期の68.5%に下げることに成功した。収益構造は大きく改善されたが、まだまだライブ配信に偏重しているといえる。
ライブ配信事業でもっとも強力なライバルは抖音である。2019年末頃から、抖音のライブ配信の月間アクティブユーザー数(MAU)と月間売上高が、ほぼ快手に並ぶまでになった。また、ゲーム配信を中心とする「闘魚(Douyu)」と「虎牙(Huya)」がテンセントの主導によって合併したことで、今後テンセントが持つゲームコンテンツを最大限利用することができるようになる。二次元コンテンツに強いビリビリ動画の動向も見逃せない。快手のライバルは、どれも与し易い相手ではないのである。
抖音との巨大な差
プラットフォーム全体の日間アクティブユーザー数(DAU)で見ると、快手は第2位ということになる。トップは抖音であり、両者の差は3億という巨大な数だ。
目論見書によると、快手のDAUは2018年1月に1億を超えた。2020年上半期のDAUは、快手アプリと「WeChat」内のミニプログラム合わせて3.02億であり、ミニプログラムを除けば、DAUは2.57億になる。
快手は今年春節後に、アプリのDAUが3億を超え、ピーク時に3.2億に達したと発表していた。しかし、半期の平均値はこれより5000万も少ない上、現在も減り続けている。
一方の抖音は、2020年1月にDAUが4億を超えた。抖音から派生したアプリの「抖音火山版(huoshanzhibo)」も含めると、2020年8月時点のDAUは6億以上となる。
DAUの差は広告収入に直結する。2019年の快手の広告収入は74億元(約1100億円)で、同社の売上高の19%を占めていたが、この数字は市場予測の120億〜130億元(約1800億円〜2000億円)より遥かに少ない。それに対し、抖音の2019年の広告収入は600億〜700億元(約9000億円〜1兆円)となり、親会社の「字節跳動(Bytedance、バイトダンス)」の売上高の半分を占めている。
ライブコマースは2位
快手はライブコマースでも2位につけているが、この分野のトップは抖音ではなく、アリババ傘下のタオバオである。タオバオのライブコマースプラットフォーム「淘宝直播(Taobao Live)」は、今年の流通取引総額を5000億元(約7兆5000億円)に伸ばすという壮大な目標を立てている。
それに対し、目論見書によると、2018年快手のライブコマースの取引総額は9660万元(約14億円)、2019年は596億元(約9000億円)、2020年上半期は1096億元(約1兆6000億円)だった。しかし、2020年の年間目標は2500億元(約3兆8000億円)であり、まだ1400億元(約2兆円1000億円)足りない計算になる。
快手は目論見書で、今後もライブ配信トップの座を守り、ショート動画プラットフォームとライブコマースでは、2位からさらに上を目指すとしている。しかし、トップを守ることも、2位から1位に躍り出ることも、ライバルとの差を考えれば、非常に厳しい状況だと言わざるを得ない。上場後の快手は、サービスの不断なる改善と、さらなる効率化を求められるだろう。
(翻訳:小六)
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