米生鮮食品EC「Sonic+」が中国美団から数億円の資金調達 自社倉庫を持たないことが特徴

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米国で生鮮食品ECを手掛けるSonic+が、エンジェルラウンドで数百万ドル(約数億円)を調達したことがわかった。出資者には生活関連サービス大手の「美団(MEITUAN)」に出資した個人や、米国のテック企業のCEOなどが含まれている。

Sonic+の創業者兼CEOの趙健氏は、中古ブランド品の取引プラットフォーム「只二(Zhier)」の共同創業者兼COOを務めていたが、米国の生鮮食品ECにチャンスを感じ、再度起業することにした。米国の調査会社「Statista.com」によると、米国の生鮮食品ECの取引額は、2019年8月の約12億ドル(約1300億円)から、2020年6月の約72億ドル(約7600億円)へと急増したという。

Sonic+は自社で倉庫を持っておらず、趙氏はこのビジネスモデルを「生鮮食品EC3.0」と呼んでいる。1.0はスーパーと提携する方法、2.0は自社倉庫を指す。趙氏の考えによると、1.0では利便性が低く、2.0はコストが高すぎるのがネックだ。

それに対し3.0は、注文を受けてから直接サプライヤーの倉庫から商品が発送され、プラットフォームが在庫を持つことはない。倉庫、コールドチェーン物流や、倉庫スタッフなどはサプライヤーが持つものをそのまま活用するため、コストが大きく下がる。

Sonic+が受け持つのは、消費者からの注文を、サプライヤーに仕向ける受注システムの開発と運営である。このシステムによって、サプライヤーは注文の数量をすぐに確認し、Sonic+が指定した集積所に商品を発送する。集積所から消費者までのラストワンマイルは、Sonic+と提携する物流企業が担当する。現時点では、当日注文、翌日到着という形がほとんどである。

サプライヤーへの注文が一定量を超えれば、集積所まで無料で届けてくれることが多いため、Sonic+はコストを抑制することが可能。ラストワンマイルにおいても、配達ドライバーへの発注件数が増えれば、単価を安くすることができる。

画像はSonic+より

Sonic+のサプライヤーは、大別すると「US Food」、「PFG」のような大手食品企業と中小の農場の2種類がある。新型コロナ禍で、外食向けの売上が減少した彼らにとって、Sonic+での販売は業績の重要な支えになっている。また、スーパーマーケットへの販売と比べ、個人へ直接販売するほうが、利益率が10%以上高くなる。

しかし、サプライヤーにとって、注文を受けてから、商品を仕分けして配送するのは手間がかかる行為である。特に中小のサプライヤーは、こうした仕分け作業のコスト増を嫌うことが多い。そのため、Sonic+は倉庫管理システムを開発し、中小サプライヤーに導入を勧めている。このシステムを使えば、仕分け作業によって増えた人件費をほぼ回収できるという。

消費者にとってのメリットは、Sonic+の商品価格がスーパーより安い上、スーパーでは販売されていない業務用の食材や商品を購入できることである。今後のSonic+は、ほかの生活関連サービスも同じプラットフォームに統合し、クリーニング、花屋、バイク便、庭の手入れなどのサービスを利用できるようにしたいとしている。

Sonic+は現在ロサンゼルス周辺で利用できるが、今後はカリフォルニア州全域にサービスを広げ、事業が安定した後に米国全国で展開する予定だ。今回調達した資金は、ビジネスモデルの定着、各種生活関連サービスの追加、マーケティングに使われる。(翻訳:小六)


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