中国VC界にウーマンパワー。今、最も波に乗っている投資の女神は?

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テクノロジー業界における女性の権利平等を目指す米NPO「All Raise」が、管理資金2500万ドル(約27億円)以上の米国内のベンチャーキャピタル(VC)に対し調査を行ったところ(コーポレートベンチャーキャピタルおよびライフサイエンス分野は除く)、2019年時点でVCのパートナーおよびゼネラルパートナーを務める女性は52人いることがわかった。前年より37%増えていることになる。

中国でも同様に、女性投資家の実力は見過ごせない存在となってきている。36Krはこのほど中国国内の50人の女性投資家にインタビューを行い、「現在、最も波に乗っている女性投資家は誰か?」との質問を投げかけた。

得票数が最も多かったのは、「今日資本(CAPITALTODAY)」を創業した徐新氏で、50人のうち18人が「最も尊敬する投資家」と回答した。インターネット振興期のネットイース(網易)、京東集団(JD.com)、Trip.com(携程旅行網、当時の英文社名Ctrip)、モバイルインターネット時代に移行してからはフードデリバリーを主体とする「美団点評(Meituan Dianping)」、中古車販売など自動車関連のサービスを網羅する「車好多集団(Chehaoduo Group)」、Q&Aサイト「知乎(Zhihu)」、新興EVメーカー「NIO(蔚来汽車)」、近年ではニューリテール型の生鮮コンビニ「興盛優選(Xingsheng Selected)」、新興コーヒーチェーン「Manner咖啡」などへ出資してきた人物だ。

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他には「ベルテルスマンアジア投資基金(BAI)」のアナベル・ユー・ロン(龍宇)氏、「紀源資本(GGV Capital)」のジェニー・リー(李宏瑋)氏、「啓明創投(Qiming Venture Partners)」のマネジングパートナーを務めるニーサ・リョン(梁穎宇)氏、「SIG Asia Investments(海納亜洲)」のジョアン・ワン(王瓊)氏、「Atypical Ventures(奇創投)」のルビー・ルー(盧蓉)氏などの得票数が多かった。

アナベル・ユー・ロン氏が13年間にわたり率いてきたBAIは、最近になって新規ファンドの募集を開始した。もともとはコーポレートベンチャーキャピタルだったBAIが、より幅広いリミテッドパートナーを抱える市場化されたファンドへ変貌を遂げたことを意味する。

ルビー・ルー氏は、先日香港に上場した短編動画プラットフォーム「快手(Kuaishou)」にアーリーステージの段階で投資を決めている。同氏が設立した新ファンド「Atypical Ventures」は昨年、2億ドル(約220億円)規模の第1期ファンドの募集を終了し、中国のインターネットおよびテクノロジー関連企業のアーリーステージ〜ミドルステージに絞って投資を進めていく。

ニーサ・リョン氏は十数年にわたりメディカル・ヘルス分野を手がけてきた。昨年、間違いなく脚光を浴びた分野だ。啓明創投の創業マネジングパートナーであるデュアン・クアン(鄺子平)氏によると、リョン氏によるバイオ医薬企業「甘李薬業(Gan & Lee Pharmaceuticals)」への投資案件は、メディカル・ヘルス分野への投資案件としては世界でも歴史的なものだったという。

ジョアン・ワン氏の動静も期待を浴びるところだ。過去にはTikTokを世に生み出したバイトダンス(字節跳動)への投資を決断し、近い将来にも世界中のエンジェル投資で最高記録を打ち立てるとみられている。バイトダンスは直近の資金調達ラウンドで評価額を1800億ドル(約19兆6000億円)にまで高めている。

「真格基金(Zhen Fund)」のアンナ・ファン(方愛之)氏にも8人が投票しており、首位の徐新氏に続いて2位だった。中華系プチプラコスメ「PERFECT DIARY(完美日記)」の輝かしい成功が、彼女への評価につながっているのだろう。

今回ランクインした女性投資家の平均年齢は41歳。うち50歳以上が6人、40〜49歳が9人、30〜39歳が23人で、最年少は1990年代生まれのアイリーン・フォン(馮瑶)氏(雲啓資本、Yunqi Partners)だった。若手が最大勢力となっていることがわかる。

年齢構成

36Krの統計では、上位12人にランクインした女性投資家の手がけた最重要案件をすべて足すと、時価総額で1兆2000億ドル(約130兆8700億円)に相当する。

彼女たちが手がけたのは、シャオミ(Xiaomi)、京東、DiDi(滴滴出行)、ネットイース、バイトダンス以外に、ニューエコノミー分野に新登場した大物が揃う。快手(1兆1900億香港ドル=約16兆7000億円)、ビリビリ動画(bilibili、413億ドル=約4兆5000億円)、POPMART(泡泡瑪特、1047億香港ドル=約1兆4700億円)、理想汽車(Li Auto、203億ドル=約2兆2100億円)、Shein、逸仙電商(PERFECT DIARYの運営会社、180億ドル=約1兆9600億円)などだ。

ニューエコノミーにおける注目企業
人気の投資分野

彼女たちによる最も重要な、あるいは最も知られた投資案件は、消費、ハイテク、メディカル・ヘルス分野に集中し、投資業界全体のトレンドと一致している。教育、カルチャー&エンターテイメント、プラットフォーマー、消費・生活全般など消費関連のインターネット企業は彼女たちの投資が集中する分野で、今回調査した50人中22人が同分野を主戦場としていた。また、3年前はテック系を攻める女性投資家といえば紀源資本のジェニー・リー氏以外に名前が挙がる人物はいなかったが、今回の調査ではかなり様相が変わり、11人が法人向け分野を専門としている。

(翻訳・愛玉)

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