AIユニコーン「4Paradigm」が香港上場へ 2020年の売上高伸び率105%

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中国の人工知能(AI)ユニコーン企業「4Paradigm(第四範式)」が8月13日、香港証券取引所メインボードへ上場申請書を提出した。ゴールドマン・サックスと中国国際金融(CICC)がスポンサー(保薦人)を務める。目論見書によると、IPOで調達した資金はAIプラットフォームに関わる基礎研究やスキル、製品開発の強化や新たな事業分野への進出に充てるという。

2014年に4Paradigmを立ち上げた創業者の戴文淵氏は、AI分野で12年のキャリアを持ち、バイドゥ(百度)のチーフR&Dアーキテクトを務めていたこともある。戴氏は同社の筆頭株主でもあり、従業員向けのインセンティブ制度などを含めると、共同管理している株式は発行済み株式の約41%に達する。

中国の大手AI企業が画像認識技術に特化しているのとは異なり、4Paradigmは意思決定AIの開発に注力している。同社の提供するAIソリューションは、データに隠れている規則性を探り、人知を超えた方法で意思決定プロセスを進めることにより、企業の意思決定能力を全面的に向上させることができる。

目論見書では2018年から現在に至るまでの詳細な事業データが明らかにされている。

中国のコンサル大手「灼識諮詢(China Insights Consultancy)」によると、プラットフォーム主体の意思決定を支援するAI市場で、4Paradigmがトップシェア(2020年の売上高ベース)を占めているという。

売上高は右肩上がりで増加しており、2018年は1億2800万元(約22億円)、2019年は4億6000万元(約78億円)、2020年は9億4200万元(約160億円)だった。2021年の上半期は、前年の年間売上高に迫る勢いの7億8800万元(約133億円)に達している。売上高の伸び率は2019年が259.7%、2020年が105%だった。

4Paradigmの目論見書

AI分野のスタートアップは技術開発への投資がかさみ赤字が膨らむ傾向にある。4Paradigmの営業損失は2018年が3億3600万元(約57億円)、2019年が5億5100万元(約93億円)、2020年が5億6000万元(約95億円)となっており、2021年上半期は8億5700万元(約145億円)だった。

研究開発費は2018年が1億9300万元(約33億円)、2019年が4億1600万元(約71億万円)、2020年が5億6600万元(約96億円)、2021年上半期が5億7800万元(98億円)で、売上高に対する研究開発費率はそれぞれ151.2%、90.6%、60%、73.4%となっている。

粗利率は2018年の42.7%から2019年には43.5%、2020年には45.6%と向上し、AI業界では平均的な水準になっている。

顧客となっている業種は金融業、小売業、製造業、電力エネルギー、通信、医療など。2020年には「フォーチュン・グローバル500」企業や上場企業47社にサービスを提供した。4Paradigmは提携を強化し各社のニーズを効果的に満たしたことで、これらの企業から得た収益は2019年に250%増、2020年に167%増となった。

同社のAIソリューションを活用すれば、金融機関で不正利用の検出精度を上げることができる。小売業では販売量の予測や的を絞ったマーケティング戦略の構築が行え、製造業でも品質コントロールの改善を図ることができる。

4Paradigmは今年1月にシリーズDで、2020年以降AI分野で最高額となる7億ドル(約760億円)を調達した。同社はまた中国のスタートアップとしては初めて、中国の五大国有銀行からの資金調達にも成功している。
(翻訳・畠中裕子)

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