路車協調システムでスマート交通を支援、中国新興企業が資金調達

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スマート交通ソリューションなどを手掛ける「華砺智行(Huali Ismartways Technology)」がこのほど、シリーズA1で数千万元(数億円)を調達したことがわかった。「安徽創谷資本(INNOVAL CAPITAL)」と「前海長城基金(Great Wall Fund)」が共同で出資した。今回調達した資金は製品や技術などのイノベーションのほか、海外での事業展開に充てられる。

華砺智行は2017年8月に設立。AIや高度の通信技術を導入して安全で効率的な自動運転を可能とする自動車「ICV(インテリジェント・コネクテッド・ビークル)」やスマート交通業界に向けて「V2X(Vehicle to Everything、車車間・路車間通信)」ソリューションを提供する。

創業者の邱志軍氏は「V2X技術の本質は、車両と交通に関わるあらゆるものが相互通信を行うことにある。車両だけでは限界のあった検知範囲を拡大し、運転の安全性と交通システムの効率を向上させる」と述べた。

邱氏はさらに、V2Xは車両・道路・クラウドプラットフォーム間の全方位的な連携および効率的な情報のやり取りを可能にするとした上で、同社は主に自動車メーカーや道路交通関連の事業者に向けてサービスを提供していると説明した。

まず、車両が他の車両や歩行者、信号、交通カメラなどと通信できるようにすることで、ドライバーにリアルタイムの交通情報と早期警報を提供する。また、ロードサイドユニット(RSU)とエッジコンピューティングなどの分散型コンピューティングノードに基づき、交通ネットワークの最適化ソリューションを構築。「異なる車種ごとに誘導情報や指令を出し、車両が安全な状況下でより速く走行できるようにする」と邱氏は話す。

邱氏によると、ここ10数年で世界の路車協調システムはかなり成熟し、事業化も進んでいるという。

一方、中国国内の路車協調システムは依然としてテスト段階にある。しかし邱氏は、世界的な自動車のスマート化が進むにつれ、将来的には道路も車両センサーの延長にあるものとして大きな役割を果たすようになるとの見方を示している。

華砺智行はV2X技術と先進運転支援システム(ADAS)、スマートコックピット、ドメインコントローラなどを組み合わせ、標準装備として車両に搭載。V2Xの大規模な実用化を実現しようとしている。同社の車載用ユニットは今年中にも量産される見通しだ。

邱氏は、路車協調サービスは将来的にサブスクリプション方式で提供され、現在の先進運転支援システムのようにユーザーが必要に応じて利用できるようになるとの考えを示した。

道路側のインフラ建設は交通ネットワークの効率を上げ、渋滞を緩和する。華砺智行は路車協調技術を利用し、物流車両などの商用車に冗長性を持たせ、コスト削減を後押しすると同時に都市交通の効率も向上させる。

図版:「華砺智行」提供

華砺智行は北米で10数年間の開発経験がある。世界40近くの都市で路車協調プロジェクトを請け負っており、2019年と20年には黒字を実現している。

同社はこれらの経験を生かし、現在は中国本土にローカライズしたソリューションを構築している。江蘇省蘇州市や湖北省武漢市、湖南省長沙市などでICVの試験運営プロジェクトに参加しているほか、「東風汽車(Dongfeng Motor)」と無人運転車両に関するプロジェクトで提携。武漢市公安局交通管理局とも戦略的提携を締結した。サブスクリプション方式でスマート交通情報を提供する事業なども展開している。
(翻訳・山口幸子)

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