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オープンソースのデジタルコンテンツ制作プラットフォームを手がける「太極図形(Taichi Graphics、北京格拉飛可斯/北京太琦図形科技)」がシリーズAで5000万ドル(約58億円)を調達した。源碼資本(Source Code Capital)、GGVキャピタル、ベルテルスマンアジア投資基金(BAI)、セコイア・キャピタル・チャイナが共同で出資を主導した。
太極図形はオープンソースのプログラミング言語「Taichi(太極)」とそれをベースにしたクラウドネイティブの(最初からクラウドで稼働させることを想定して設計した)デジタルコンテンツ制作ツールの開発を進めており、世界中の開発者やデザイナー、アーティストだけでなく、一般の人々にも活用してもらうことを目指している。
同社の共同創業者・胡淵鳴CEOが開発したプログラミング言語Taichiはすでに世界各地で広く利用されている。ソフトウエア開発プラットフォーム「GitHub」では1万8000以上のスター(SNSのいいねにほぼ相当)を獲得し、150人以上の開発者がコントリビューターとして貢献している。
Taichiは複雑で非効率的な従来のプログラミングプロセスとは異なり、手軽で効率よく作業できる。開発者の習得コストも極めて低く、1時間ほどで複雑な並列計算機能を持つ高性能のプログラムを書けるようになる。またプログラムの移植性が高いため、異なるプラットフォームでも直接実行することが可能だ。
胡CEOは次のように語る。「2021年後半にクラウドプラットフォーム『Taitopia(太極開物)』の構築に取り組んだ。これはTaichiをベースにクラウドネイティブ技術を取り入れて開発したもので、今後あらゆるデザイナーやアーティストが活用できる3Dデジタルコンテンツ制作ツールを生み出すことになる」
Taitopiaが従来の3Dグラフィックソフトウエアより優れている点は主に3つ。まずリモートでの共同作業がしやすいことだ。効率のよい共同作業で生産性の向上を見込める。次にいつでもアクセスできること。ブラウザー上で実行されるため、場所や端末を問わずにクラウド上で作業ができ、モバイル端末からでも基本的なプログラミングを行える。そしてリアルタイムのレスポンスを実現したこと。クラウド上のコンピューティングリソースを十分に活用し高速なレスポンスを可能にしたほか、独自開発のレンダリングエンジン(データを読み込んで描画・表示するソフトウエア)によりユーザーの待ち時間を短縮した。
メタバースブームで市場が沸くなか、デジタルコンテンツ産業も大きな成長のチャンスを迎えている。英ジュニパーリサーチ社のデータによると、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)などスマートデバイス技術の画期的な進歩により、世界のデジタルコンテンツ市場は5年間で105%成長すると予測されている。2026年には4320億ドル(約50兆円)に達する計算だ。
胡CEOは同社の技術が「すでに視覚効果、ゲーム、VR、AIなど多くの分野で活用されている」と胸を張る。「Taitopiaが目指すのはデジタル資産の制作・共有プラットフォームとなることだ。現段階ではTaichiを基盤として年内にベータテストを実施し、オープンなスタンスで市場と連携するとともに、多くのハイエンド人材を迎え入れてチームの拡充を図りたい」
太極図形は2021年に設立された。共同創業者でCEOの胡淵鳴氏は清華大学を卒業後、マサチューセッツ工科大学でコンピューターサイエンスの博士課程を修了。共同創業者でCTOの匡冶氏は清華大学を卒業後、ハーバード大学でコンピューターサイエンスの修士課程を修了。前職はGoogleのソフトウエアエンジニア。同社には国内外の有名大学や大企業出身者が集まっており、半数以上が清華大学や北京大学など名門校の卒業生だという。
(翻訳・畠中裕子)
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