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スマートフィットネス製品を展開する「SPEEDIANCE(速境)」がこのほど、プレシリーズAで1000万元(約1億8500万円)以上を調達した。峰瑞資本(FREES FUND)がリードインベスターを務めた。同社は2021年4月にもエンジェルラウンドで資金を調達している。
SPEEDIANCEは20年12月に設立され、フィットネスのデジタル化、大衆化、プラットフォーム化に取り組んできた。21年末、初の製品が世界最大規模のクラウドファンディングKickstarterで発表されると、平均で2100ドル(約25万円)の値が付き、60万ドル(約7000万円)近くが集まった。
同社の家庭用フィットネス製品は、ウエイトを使う従来型のフィットネスマシンとは異なり、ダイレクトドライブモーターにより重さをデジタル化して負荷をかける。すでに駆動回路設計と制御アルゴリズムのコア技術を確立しており、引き続き製品の改善や開発を続ける。マシンの特長は以下の3点だ。
まず、コンパクトであること。わずか0.3平方メートルほどのスペースに置けるため、家庭やオフィス、小型のフィットネススタジオにうってつけだ。据え付けではなく、折りたたみ可能な可搬タイプで、梱包を解いてすぐに使うことができ、収納にも困らない。
次に、トレーニングのスマート化。AIシステムが毎回のトレーニングデータを記録し、ユーザーの身体データと合わせて適宜調整、パーソナライズされたプログラムを提案する。また、複数のセンサーで身体の動きを感知するので、間違った動きを修正することができ、ケガの予防につながる。タッチパネルから、またバーやバーベルのコントローラーでも負荷を調節することができる。フィットネスの合理化とトレーニング効果の可視化で、習慣づけが容易になる。
そして、ソーシャル化だ。同社はトレーニングプログラムの設計機能向上に重きを置いており、システムがユーザーの要望に応じて自動的に個別のプログラムを作成する。グループトレーニングにすれば、他のメンバーのトレーニングデータを確認し、近所のメンバーとオフラインで一緒にトレーニングすることもできる。同社製品のソーシャルな側面を表している機能だ。
コロナ禍で、好きな時間に思うようなトレーニングをしたいというユーザーのニーズがあり、海外企業のPeloton、Tonalや、中国の「FITURE(成都擬合未来科技)」など家庭向けスマートフィットネス企業が新たなビジネスチャンスを迎えた。
FastDataによると、先進国ではフィットネスが普及しており、アメリカではフィットネスの有料会員の割合は31.1%になる。スマートフィットネス製品に対する需要も大きく、市場は成熟している。一方、中国では有料会員はわずか2.6%と海外市場にはおよばないが、ベースとなる人口は多い。会員の増加率は30%を超え、フィットネス業界の成長が期待できる。
販売チャネル戦略について、創業者の劉韜氏は「中国と海外で同時進行している」とする。海外ではメーカーから消費者への直販や代理店経由の販売がメインで、国内では「天猫(Tmall)」などECプラットフォームに重点を置く。さらに、新しいモノを受け入れやすい男性を最初のターゲットとし、口コミによる情報の拡大を狙うという。デジタル化したウエイトトレーニングをベースに、今後はローイングマシン(ボート漕ぎ運動器)やフィットネスバイクなどモーターが関係する製品に業容を拡大するようだ。
(翻訳:36Kr Japan編集部)
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