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ソースコードなしでアプリケーションの開発ができるノーコードプラットフォームを運営する「黒帕雲信息技術(Hipacloud)」が21日、近くサービスとメンテナンスを終了すると発表した。36Krが複数の記者から得た情報によると、同社はTikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)にすでに買収されており、創業者の陳金洲氏と一部の従業員はバイトダンスが運営するビジネスコラボレーションプラットフォーム「飛書(FEISHU)」事業部門に移籍し、アプリケーションPaaS担当として大口顧客向けの業務に従事するという。
飛書の複数のスタッフによると、陳金洲氏はバイトダンスでも高い職位に就き、同社副総裁で飛書CEOの謝欣氏の直属となっている。
この買収案件について36Krはバイトダンスと陳金洲氏に問い合わせたが、21日時点で回答はなかった。
黒帕雲の発表によると、同社プラットフォームのユーザーは今年5月31日まではデータをエクスポートできる。同日までに契約期間が満了しないユーザーは利用料の返金を申請するか、あるいは提携プラットフォームの「明道雲(Mingdao.com)」へ移行できる。
黒帕雲は2019年、連続起業家の陳金洲氏が設立した。陳氏は過去にフォーム作成・データ収集ツール「金数拠(Jinshuju)」を創業しており、2015年に「AdMaster」が同社を完全子会社化している。
今回の動きについては予兆があった。黒帕雲は昨年7月にシリーズAでバイトダンスから数千万元(数億円)の出資を受けており、登記データによると今年初めには、バイトダンスの子会社「量子躍動科技(Quantum Jump Technology )」などが同社の株主を退いている。
関係者からの情報によると、今回の買収案件は飛書事業部が主導したもので、飛書が表計算シートなどの類似プロダクトを扱っていることから、双方が協議を経て黒帕雲のサービス終了を決めたという。
ローコード/ノーコードプラットフォームは大きく分けて二種類あり、一つは中堅〜大手企業向けにプロジェクト制でサービスを提供するもの、もう一つは中小企業向けにプロダクトを提供するものだ。黒帕雲は後者に当たる。
黒帕雲がサービスを終了することは、中小企業向けのローコード/ノーコードプラットフォームの運営の難しさを表している。ある業界関係者によると、黒帕雲は開発担当者たちは優秀だったが、収益化を軌道に乗せるまではできず、中小企業をターゲットとしたこともサービスの継続を困難にした。実際、黒帕雲に限らず同業者たちも収益化でつまづいている。欧米に比べて中国の顧客はIT化が遅れており、プロダクトを使いこなせる顧客を見定めるのが難しい。また、プロダクトの開発も運営もシステムレベルの技術が必要で、求められる人材のレベルも高くなる。
つまり、中小企業をターゲットにすれば収益化の難易度が増し、資金にしても人材にしてもベンチャー企業にとっては高額なコストがかかる。さらに、ローコード/ノーコードプロダクトは誕生して間もないため、広報費用も高くなる。
さらに、ITジャイアントの参入が不確実性を増している。
2020年ごろからアリババやテンセントなどの超大手企業が参入してきて、ローコード業界は勢力図の書き換えが加速している。アリババ傘下のアリババクラウドは21年初め、自社のローコード開発プラットフォーム「宜搭(YiDA)」をビジネスコラボレーションプラットフォーム「Ding Talk(釘釘)」と連携させ、テンセントもローコード開発プラットフォーム「微搭(WeDa)」をリリースした。同年10月にはアリババが主要ローコードプラットフォーム8社とアライアンスを結成している。
資金が急激に流入し、大手企業が参入してくれば業界の成長は加速できるが、生まれたばかりの市場でベンチャー企業が戦うには、可能な限り早くターゲットとなる市場を定めることがより重要だ。
(翻訳・山下にか)
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